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#パニック
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放課後。
文化祭が終わってから、教室は少し静かになっていた。
「……終わったなぁ。」
奏斗が机に突っ伏す。
「何が?」
「文化祭。」
「数日前に終わった。」
「分かってるけどさ。」
冴が小さく笑う。
「でも、なんか寂しい。」
「……俺も。」
「え?」
「みんなで準備すること、なくなったから。」
「そっか。」
二人はしばらく窓の外を見る。
-–
「神崎。」
「ん?」
冴が少し真剣な顔をする。
「聞きたいことがある。」
「何?」
「……神崎は。」
少し間を置いて。
「俺といるとき、どんな気持ち?」
「……。」
奏斗は固まった。
「急だな。」
「ごめん。」
「いや、いいけど……。」
奏斗は考える。
楽しい。
安心する。
もっと一緒にいたい。
会えないと、少し寂しい。
でも。
「……分かんない。」
正直に答えた。
冴は黙っている。
「でも。」
奏斗が続ける。
「嫌な気持ちではない。」
「うん。」
「むしろ……。」
奏斗は少し照れながら笑う。
「一緒にいると、時間が早い。」
「……。」
「帰る時間になると、もうちょっと話したいって思う。」
冴の表情が少し柔らかくなる。
「そうなんだ。」
「うん。」
-–
「じゃあ。」
冴が聞く。
「俺が他の人と一緒にいたら?」
「……。」
奏斗は考える。
なぜか。
胸の奥が少しだけざわついた。
「……ちょっと嫌かも。」
「どうして?」
「分かんない。」
「……そっか。」
冴はそれ以上聞かなかった。
けれど。
少しだけ嬉しそうだった。
-–
教室に夕日が差し込む。
「石川は?」
奏斗が聞き返す。
「俺?」
「うん。」
「俺が神崎といるとき、どんな気持ちか。」
「そう。」
冴は窓の外を見る。
「……安心する。」
「え?」
「一人でいるより。」
「神崎といるほうが、楽。」
「……。」
「それに。」
冴が奏斗を見る。
「神崎がいると、話したくなる。」
「……俺も。」
「うん。」
二人とも笑った。
-–
帰り道。
「今日の話。」
「うん。」
「誰にも言わない?」
「言わない。」
「秘密?」
「秘密。」
二人だけの約束。
奏斗は歩きながら考えていた。
(俺は、石川といるとき……。)
楽しい。
安心する。
嬉しい。
そして――
もっと一緒にいたい。
でも、それが何なのか。
まだ分からない。
「……。」
隣を見る。
冴もこちらを見ていた。
目が合う。
「どうした?」
「……なんでもない。」
「?」
悠真は笑った。
「明日も一緒に帰ろう。」
冴も笑う。
「うん。」
-–
その夜。
奏斗は机の上に置いた写真を見る。
文化祭の日。
二人で笑っている写真。
その横には、冴からもらったしおり。
『これからも、思い出を増やそう。』
奏斗は写真を見ながら、ぽつりと言った。
「……もっと増やしたい。」
その言葉を口にしてから。
少しだけ考える。
そして。
「……これって、何なんだろ。」
まだ答えは出ない。
けれど。
その気持ちは、確実に少しずつ大きくなっていた。
-–
第36話 おわり
次回・第37話「ちょっとだけ、嫉妬」
ある日の昼休み。
冴が別のクラスメイトと楽しそうに話しているのを見た奏斗。
なぜか、いつもより気になってしまう。
「……なんだよ、これ。」
自分でも理由が分からない。
そして放課後、冴から、
「今日、どうしたの?」
と聞かれて――。
コメント
1件
美月ゆめか🌸ですっ!! 第36話、めっちゃエモかった〜😭💕💕 「ちょっと嫌かも」って言っちゃう奏斗、心臓ぎゅってなったよ…!! しかも冴、嬉しそうにしてたの絶対バレてるやつ〜〜!!笑 二人だけの秘密とか、もはや青春の沼すぎる…!! 次回“嫉妬”とか来た…? もうダメ、尊死待ったなし🙏💞 風花さん、今回も素敵な時間をありがとうございます🌸