テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
朝のホームルーム前。
ひなが教材を抱えて廊下を歩いていると、
角を曲がったところで誰かとぶつかった。
「あっ、ごめんなさい!」
慌てて顔を上げると、
そこにいたのは柔らかな笑顔の少女だった。
「ううん、こちらこそ」
明るく優しい声。
Bクラスの中心的存在、
一之瀬帆波だった。
落ちたプリントを一緒に拾いながら、
一之瀬さんはにこやかに言った。
「天白さんだよね?前からお話ししてみたかったの」
「えっ、私と?」
「うん。みんなから好かれてるって聞いてるよ」
その言葉に、
ひなの頬がほんのり赤くなる。
昼休み。
ひなは桔梗ちゃん、恵ちゃんと一緒に食堂へ向かう途中、
偶然一之瀬さんと再会した。
「一緒に食べない?」
一之瀬さんの誘いに、
三人は顔を見合わせる。
「もちろん!」
恵ちゃんがすぐに答えた。
食堂では、
一之瀬さんの明るい人柄もあって、
自然と会話が弾んだ。
「天白さんって、ほんとにふわふわしてて可愛いよね」
「坂柳さんに似てるって噂も聞いたことある!」
桔梗ちゃんと恵ちゃんがうんうんと頷く。
ひなは照れながらも、
他クラスの友達ができたことを嬉しく思った。
放課後。
教室へ戻る途中、
ひなは廊下の窓際にもたれている綾小路くんを見つけた。
「綾小路くん」
「一之瀬と一緒だったな」
開口一番のその言葉に、
ひなは少し驚く。
「うん。綾小路くんも知り合いだったんだね!すごく優しい人だったよ」
「ああ」
短い返事。
けれど彼の表情には、
どこか考え込むような気配があった。
「……もしかして、気にしてる?」
ひながそっと尋ねると、
綾小路くんはひなを見つめた。
「別に」
そう言ってから、
ほんの少しだけ間を置いて続ける。
「ただ、お前の周りには人が増えてきたなと思っただけだ」
「嫌だった?」
「いや」
彼は静かに首を振る。
「お前が笑っていられるなら、それでいい」
そして、
ほんの少しだけ声を低くする。
「ただし」
「うん?」
「一番近くにいるのは、俺でいたい」
その言葉に、
ひなの胸が大きく高鳴った。
「……うん」
頬を染めながら頷くと、
綾小路くんはわずかに目を細めた。
それは他の誰にも見せない、
あたしだけが知っている優しい表情だった。
友情は、世界を広げてくれる。
恋は、その中心に確かな場所を作ってくれる。
クラスを越えて広がっていくつながりの中で、
ひなの心には揺るぎない想いがあった。
どれだけ世界が広がっても、
帰る場所はいつだって――
綾小路くんの隣だった。
コメント
1件
ひなちゃん、第30話お疲れさま〜!🌸✨ 一之瀬さんとの出会い、めっちゃナチュラルで素敵だったよ!「みんなから好かれてるって聞いてるよ」って言葉、ひなちゃんの人柄が周りに伝わってる証拠だね😭💕 そして綾小路くんの「一番近くにいるのは、俺でいたい」…もうここで胸がきゅん死にしたわ!!😇💘 クールなのにたまに見せる独占欲、最高すぎるよ…!世界が広がっても帰る場所は綾小路くんの隣っていう締めくくりもエモすぎて泣ける😢✨ 続きも楽しみにしてるよ〜!応援してる⋆♡
3