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昼休み、教室の端でプリントをまとめていた○○は
風に飛ばされそうになった紙を追いかけて
廊下へ走り出した。
その時。
「危ないよ」
紙をひょいと拾って差し出したのは、
同じクラスの宮舘涼太。
普段は落ち着いてて、
ちょっと近寄りがたい“貴族みたいな人”。
ちゃんと話すのは今日が初めてだった。
「あ、ありがとう…!」
「…これも、落ちてたよ」
そう言って彼が差し出したのは、
○○のバッグからこぼれた 白いハンカチ。
端っこに小さく刺繍されたイニシャルまで見られて、
なぜか少し恥ずかしい。
「綺麗に畳んであるね。大事にしてるの?」
「う、うん…お気に入り」
「そう。大事なものは、落とさないように」
そう言って、微笑む宮舘くん。
その笑顔が想像以上に優しくて、
胸の奥がじわっと熱くなる。
「じゃあ…返す。でも」
彼は少しだけ、
○○の手を包むようにしてハンカチを渡した。
「また落としたら、次も俺が拾うから。…癖にならないでよ?」
その言い方がやけに意地悪で、
でも優しくて、なんだか心臓が落ち着かない。
「……落とさないように気をつけるよ!」
「ふふ。 そうして」
彼はスッとあなたの横を通りすぎ、
ほんの一瞬、肩が触れた。
すれ違いざまに、彼が小さくつぶやいた声が届く。
「でも…また拾えるなら、それも悪くないけど」
え、今なんて?
振り返る頃には、宮舘くんはいつものクールな顔で
教室に戻っていた。
胸がドキドキして止まらない。
白いハンカチをぎゅっと握りながら、
○○はそっと微笑んだ。