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『BLUE AMBER THE LUV』
〜俺の気持ちに気付いて欲しいです〜
プロローグ
初夏のある日。書庫。
『フェネス、この本面白いね。』
『ふふ、喜んでもらえて嬉しいです。』
『ボソッ。あの人も喜ぶかな。』
『え?』
ボソッと呟いたそれを聞き逃さなかった。
『あ、えっとね。最近仲良くなった人なんだけど、貴族の人で。悪い人じゃないんだ。悪魔執事のことも尊敬してる人で、懇意にしてる人なんだ。その人も本読むの好きでね、この本勧めてみようかな。』
『そう、ですか……。』
主様だって1人の人間だ。誰かを好きになることなんて、必然だよね。でも、なんだろう。この気持ち。俺の勧めた本を貴方以外の誰かに教えるなんて――俺は嫌だ。
俺は主様の隣に座る。
ガタッ。
『フェネス……?』
『主様、俺、嫌です。主様が他の男の人の話をしてるのは……。』
『それって、どういう……。』
『っ……。』
言ってしまったら、貴方は俺のことを執事としては見てくれない。それなら、執事の方が1番近くに居れる。意識はされずとも、貴方の傍には居れる。でも、俺は――。それでも貴方に気付いて欲しい。
初夏のある日。キッチン。
『ふぅ……疲れたな。甘いものでも食べるか。』
『ここは、こうして……よし、出来た!』
『主様?何か作ってたんですか?』
『ハウレス!うん、最近仲良くなった貴族の人にお世話になってるからお菓子を……』
『!』
顔を少し照れさせて話すその姿に胸が痛んだ。
『その人とはいつから……』
『最近かな。天使に襲われてた子供を助けたとき、一緒に傍にいてくれて。天使には目もくれず、子供を助ける為に命を張って…凄いと思ったの。』
『……。』
俺だって、いや、俺もそれくらい出来ます。
貴方を守る為なら、命さえ賭けれます。
なんなんだこの気持ちは。
『だからその人にお礼も兼ねてお菓子を作ってたの。チョコマフィン。喜んでくれるかな。 』
『主様は…その方が好きなのですか?』
『…え?いや、そんなんじゃないよ。ただ…その…。』
『……俺は嫌です。』
止まらない。止まれない。
グイッ!
主様の手を引き寄せる。
『わっ…。』
ポトッ。お菓子の入ったラッピング袋が落ちる。
『俺じゃダメですか?』
『ハウレス…?』
鈍感な貴方は気付いてくれないでしょう。
この気持ちにも。この言葉の意味にも。
あぁ。伝わらないというのは…どこまでも辛いな。それでも俺は――。好きなことを諦めない。
そして、2人はお互いに主様のことを好きだということに気付いてしまう。
『そっか。ハウレスも主様のことを…。』
『もってことは、フェネス…』
『うん。俺もだよ。主様のことを見ると胸が苦しくなるし、他の執事と話してると辛い。』
『俺もだ。なんなんだろうなこの気持ち。』
『…独占欲だ。この気持ちは。他の誰にも渡したくないっていう俺の汚い心。』
『フェネス…。』
『…俺、負けるつもりないよ。』
『え…。』
『剣の腕や、執事としての振る舞いは君には劣るかもしれない。だから……。』
ダンッ!
ハウレスの座るテーブルに手を着く。
『主様のことだけは絶対に負けたくないし、譲れない。』
『っ…!そんなの、俺もだ。』
グイッ。
フェネスの蝶ネクタイを掴み、睨みつける。
『フェネスだからこそ、負けたくない。真剣勝負だ。』
『望むところだよ。』
300年以上一緒にいて、誕生日も同じの彼らの仲は少しずつ決裂してゆく――。
『私、私が2人の仲を引き裂いたの…?』
『っ、それは違う、主様。主様は悪くない。』
『でも、私、2人が仲違いしてるのは…嫌だよ…っ。』
『主様――。』
『お前ら、主様を奪い合って真剣勝負するのは構わねぇよ。だけどな。』
ガキンッ!
俺は剣をぶつける。
『泣かせるのは違ぇだろっ!!』
『『っ…!』』
『主様に、自分のせいで仲違いさせてるなんて思わせんな。例えお前らのどちらかが、選ばれても。今までのお前らでいろよ。完璧主義で仕事バカのハウレス。優しくて物知りなフェネス。そして、飴と鞭のお前ら。その関係でいることこそが、主様の為だろうが!!』
『『ボスキ……。』』
『主様は、主様の決めた道を歩んで下さい。私はそれを尊重します。どんな結末になっても、誰も貴方を責めません。』
『……うん。分かった。』
夕暮れの青と橙が交差するその空の時間。
私の答えは――。
『BLUE AMBER THE LUV』
〜俺の気持ちに気付いて欲しいです〜
5月22日 投稿予定。
これは、切なくて、儚い恋の物語だ。