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元貴side
「よし……そろそろ行くかっ、」
俺は護岸壁から立ち上がりコートの両ポケットに手を入れて歩いていく。はぁ…吐息は全て白くなり上に上がっていく。
「ここか…」
浜に落ちている貝を拾い上げる。はぁ…。懐かしい。家に置いてある貝と似ているが、瓜二つというわけではない。やっぱり若井と来た場所と見た景色は格別だったな。今とは比べ物にならない。
持っていた鞄は護岸壁に置いたまま。
あの日と何も変わらない青い空と頬をくすぐる冷たい風。今の時刻は14時半といったところだろう。ちょうど2年前病院から若井が死んだと連絡を受けた頃だ。
波の音が耳に残る。靴と靴下を脱ぎ浜に置く。そしてゆっくりとつま先を海につける。
「んっ…冷たッ…」
3月と言っても福島はまだまだ水温も気温も冬と変わらない。すぐに足の裏がチクチクと刺されているように痛くなった。
ここで引き返すと言う選択肢がまだ俺の心の中にあるわけもなく、海の奥の方へと足を進める。
水が膝の上へと上がってきた。ううん、上がってるんじゃない。俺が下へと向かってるんだ。
それでも俺は足を止めることはせず、さらに深くへと足を踏み入れる。この震える手と震えている呼吸はきっと怖いからではない。寒いだけだよ。そう、きっとそうだ。
あっという間に水の高さが腰まで来た。
肺が痛い。というか体が寒いを通り越して痛みを発している。指先なんて2年前の今日、病院で触れた若井の指先と変わらないくらい冷たかった。
俺にイルミを見せてきた若井。東京の12月。あの日も寒かったなぁ…。
若井がいれば暖かくなるのかな。
脳内で再生される若井の声。
『元貴〜!見て見てっ!』
そういう無垢な笑顔。若井の好きなところのひとつだ。
今は写真の中で息をしている若井の言葉がずっと脳内でリピートされる。
あぁ…若井に会いたいな。会いたい。会いたいよ。若井。
若井から借りっぱなしの手袋をつけることもせず、ただギューっと握っていた。
会いにきてよ。届けにきたよ。若井。
次回、最終回です‼︎
長いようで短いものですね。始まると、
最終話を読んだ後、皆さんぜひハッピーエンドだったかバッドエンドだったか教えてね。
楽しみにしてます!
最後まで楽しんでいただけると幸いです!
この作品が完結後、1話だけ番外編でます!
楽しみにしててください!
お願いします‼️
コメ返します(*.ˬ.)”
それではまた!
コメント
6件
メリバ?かな、最終回楽しみ
若さんー!今出てくる時だよ!愛しの人が待ってるじゃないか
続き待ってる(*´∀`) おやしゅみ🌙.*·̩͙