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「 ラウールくん、スタイルやばい~!! 」
俺はたくさんの歓声を浴びながら ステージを歩く。
ライトアップされ美しく輝く、 完璧に仕上げた体。
研究し尽くしたメイク、ヘアセット。
そして、自分を魅力的に見せるための ポージング。
「 The way he presents himself is very impressive. (彼の魅せ方はとても素晴らしいです。) 」
『 Thank you. (ありがとうございます。) 』
当たり前かのように、審査員からは褒められ
X では急上昇に載る。
そして日本のニュース番組では話題になり
こちらの国でもアジアの代表だとして注目を浴びる。
気持ちが良くて仕方がない。
俺の美しさは 日本、アジアだけに限らず 全世界に通用するんだ。
本業の人達と張り合えるんだ。
そう思いながら 賞賛の声に溺れた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ある日
突如 こんな記事が出た
【 モデル業界に革命が!? 】
“どこの事務所にも所属せず、 突如現れた神秘“
「 目黒蓮 」(28)
彼が今、世界中で大注目となっている
彼は 今 あの肉体美を求めて
多くのファンションデザイナーから依頼されており 、 とても忙しい日々を送っていると言う。
彼の驚くべきポリシーは “自分が惹かれた衣装だけを着る“という事だ。
たとえ、相手が大企業であったとしても
自分の心が惹かれなかったら 仕事受けないと言う。
「 僕は、 本当に素敵だと思ったものを身につけている自分を世間の方に見て頂きたいんです。」
「 僕の場合…僕自身が惹かれたということは、その衣装に似合う体にしたいって思ったという事なんですよ。」
「 何においても、自分が好きでなければ やる気が湧かないタイプなので…中途半端な感情で素敵な衣装を汚したくないんです。 」
彼のポリシーは 今の現代社会に語りかけているようだった。
「 僕は、僕自身がやりたい、やり遂げたいと思ったことを行っていきたいので…縛られないように、事務所には所属していません。 」
俺はこの記事を読んだ時
なぜか、自分のことを指されて言われているような気がした。
事務所の言いなりになり、ただひたすら渡された物を着用してステージに立つ。
彼のポリシーとは真反対の活動の仕方。
『 …こんな出始めの奴に負けたくない、 』
俺はそう思うようになった。
気づけば 俺は “ 目黒蓮 “という存在を敵対視するようになっていた。
「 この素敵な衣装を着させていただけて、とても光栄です。 僕が好きなものを身につけられて…感謝しかありません。 」
彼の活動を追って追って、
その度に自分の功績と比較していた。
『 …まだ目黒蓮はこの舞台に立てていない…、 』
『 …まだ負けてない、。 』
俺はそう思いながらも
心のどこかで焦っていた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『 えっ、…俺が…外された、? 』
毎年出演していたイベントの運営から
今年は出演無しだという連絡が届いたらしい。
『 な、なんでッ…、 』
「 それが…分からないんです、 理由も送られてきていなくて、…とりあえず無しだということだけ…、 」
『 … 』
俺は 頭を抱えた
なぜ急に、出演無しとなったのか。
俺の実力不足だろうか、
それとも… 代わりができたのだろうか。
俺は自信を無くし、イベントでのパフォーマンスもミスが目立つようになった。
【 出演者 一覧 】
そう書かれたサイトを開いた。
ページをめくっていくと
★ スペシャルゲスト
そう書かれた出演者がいた。
アイツ が頭よぎった
そう。
“ 目黒蓮 “ だ。
もしや、目黒蓮を使えるということになったため 人数の関係で俺が外されたのだろうか。
そんな妄想を 果てしなく行う。
『 …あははっ、…そんなわけないか、… 』
「 トップバッターは 𓏸𓏸 ~! 」
俺を外したイベントへ 見学に来た
後輩も出ると聞いたし、
スペシャルゲスト…も気になるから。
『 …。 』
( 大したメンバーでは無いな。 )
とても有名な人が出るわけでもなく、
本当に基本的な部分を抑えたファッションショーとなっていた。
( 面白味のないランウェイばかりだな…。 )
そんなことを考えながら見ていると
あっという間にMCの時間になった。
「 本日のスペシャルゲストは~! 」
『 ッ、あいつ…!? 』
「 こんにちは。 」
アイツ が、
手を振って あのランウェイを歩いている。
去年まで、俺が歩いていた道を
俺が行っていた役割を
アイツが 担っている…、?
『 …意味がわからない、 』
俺は 彼のパフォーマンスを見ながら 涙を堪えた。
「 本日は、目黒蓮さんに質問をさせて頂きたいと思います!お願いしま~す! 」
「 よろしくお願いします。 」
Q. 事務所に所属しない理由は?
「 僕は、受けたいお仕事を自分で選んでいきたいので…フリーでやらせていただいています。
あと…僕は、気が乗らないお仕事は頑張ろうって思ってても やっぱりいいパフォーマンスができないんですよね… それを防ぐためでもあります。笑 」
前にも聞いたはずの回答なのに、
俺の心にグサグサと容赦なく刺さる。
Q. あなたの憧れの人は?
「 …僕の…憧れの人… 」
「 …お恥ずかしながら、年下の方なんですが… 」
『 …は、? 』
俺…だと、?
突然出てきて、 俺が 5年の年月をかけて辿り着いた舞台に たったの9ヶ月で追いついたオマエが、…?
『 俺が…憧れ、… ? 』
そんな訳ない。
そんな訳ない。
そんな訳ない。
そんな訳ない。
そんな訳ない。
そんな訳ない。
そんな訳ない。
そんなわけ…、
『 ないだろうッ、… 』
俺は涙が止まらなかった
俺の努力を、9ヶ月で越したアイツに
憧れだと謳われる。
その屈辱的な状況。
それを賞賛する世間。
俺を 救ってくれる人はいない 。
『 …もぅ、ダメだ…。 』
【 あとがき 】
こんばんは。
. です。
深夜投稿で申し訳ないです。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
私は 突然の気温差に対応できず しっかりと体調を崩しました。
夜、 窓を開けて寝るのは控えてくださいね。
雑談はここまでにしておいて。
今回のお話について、 少し書かせていただこうと思います。
このお話は TOPに立っていた R u がどん底に堕ちていく というのがベースになったものです。
ずっとTOPで走ってきていたのに 、自分よりも長けた人を見つける。
自分より 注目されるあの人を羨み、恨む。
そして 自分が長期間かけて 上り詰めた 立ち位置に 短期間で 追いついてくる。
その屈辱感。
でも、あの人 は 自分のことを憧れだと謳っている。
世間からは あの人が 褒め称えられる。
あの人に嫉妬していた 彼 は
次第に壊れていく。
その美しさを書き表せていたら嬉しいです。
人の弱さを メインにした お話がとても好きなので、
この短編集も そのようなお話が増えると思います。
私の 書く snow_man が 誰かに刺されば嬉しいです。
また次回も お待ちしております。