テラーノベル
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どれくらいの時間が経ったんだろう。
「っ、すいちゃ、!」
突然に、頭が冴える。
「え、?」
生きている。
でも、それだけではない。
「ここって、」
鼻に少しこそばったく触れる匂いで目が冴える。
[綺麗だ]
満開の桜の大木を囲むように、花びらが美しい舞を舞っている。
頬を生暖かい雫が伝うと共に、枯れた笑いが込み上げてくる。
「ははは、な、んでぇ、?」
すいちゃんと初めて会った桜の木の下の丘に立ち、降ってくる花びらと共に視界に捉える。
神のイタズラにしては度が過ぎるな、
水でぼやけた視界に映るのは、
今でも大好きな人。
星空のように蒼い髪に瞳。
少しキリッとした顔つきや、美しい足取り。
「なんでこんなとこに居るの、すいちゃん、」
柔らかい地面を踏みつける。
此処はどこなんだろう。
やけにふわふわしている頭の中を整理して、目指すべき場所を探す。
…私は、死んだんだろうか?
自害したはずの私が生きている。
それだけで不思議でならないのに、
どこか見覚えのある景色で余計に頭が混乱する。
「もし、もしすいちゃんが死んで、ここが死後の世界なら、?」
ありえない。
その筈なのに口にした言葉は、妙に納得が出来た。
そして、ここがもしその通りで死後の世界なら、
「みこちと、会いたいなぁ」
随分と歩いたけど…
「っはは、死後の世界作ったのが神様なら、随分と悪趣味だね、神ってやつは。」
目の前の景色は、
少し恨めしい程綺麗な桜並木。
ここを通れと言わんばかりの綺麗な道を潜り抜けて見えるのは、みこと初めてあった場所。
「いつ来ても綺麗なんだね、この桜の大樹は」
やっぱり、居ないか。
頭のどこかで期待しては居たが、
やっぱり、無理なのかな。
「また、みこと、くら、したかった”なぁ”」
木本のベンチに腰掛けてみこの顔を思い浮かべながら鼻歌交じりに思い出にふける。
ふと鼻歌をとめて風を感じる。
「なんでこんなとこに居るの、すいちゃん。」
?!、
まさか、と思いながら首を回転させる。
「み、こ、?」
そこに立っていたのは、紛れもなく彼女、
みこ自身だ。
コメント
2件
うわっ、なにこのストーリー うますぎて切なすぎて泣くんだが やめてくれただでさえ推しは涙腺が緩いんだ‥