「次は絶対大丈夫なヤツにしろよな」
「はーい」
ジェットコースター同様人気のアトラクションってついつい乗りたくなっちゃうけど、私には合わないみたい。
これに懲りた私は無難なアトラクションを選択していくも、律と一緒だからかな。どれに乗っても楽しいと思える。
律も、何だかんだ言いながら付き合ってくれるから好き。
混んでいたけど意外と沢山のアトラクションに乗ることが出来た私たち。
楽しい時間はあっという間で、気付けば陽も暮れかけた夕暮れどきになっていた。
「さてと、そろそろ帰るか」
という律の声に反応した私は、
「待って! 最後に観覧車乗りたい! 駄目?」
遊園地の最後はやっぱり観覧車! っていうのは定番じゃないのかな?
「観覧車? めちゃくちゃ混んでんじゃねーか」
「遊園地の締めは観覧車なんだよ、きっと」
「そういうモンか?」
「多分……混んでるし、帰りも遅くなっちゃうから、やっぱり駄目?」
「……ま、滅多に来れねぇしな、今日は特別だ。付き合ってやるよ」
「本当に!? 律、大好き!」
「お、おい、分かったから、人前でそんなくっつくなよ……」
嬉しくなった私が律にひっつくと、ちょっと恥ずかしそうにして焦っていた。
観覧車の待機列に並んだ私たちはそれから一時間かからないくらい経ってようやく順番が回ってきた。
「うわぁー! 陽が落ちたから街の灯りが綺麗に見えるね!」
「だな。夕焼けよりこっちのがいいんじゃねーの?」
「確かに! 夜景綺麗だもんね」
私たちが観覧車に乗った時には辺りはすっかり暗くなり、街の灯りや車のテールランプが暗闇に映し出されて綺麗に光り輝いている。
「律、今日は連れて来てくれて、ありがとう!」
「楽しめたか?」
「うん! すっごく楽しかった!」
「そりゃ良かった」
こんな風に遠出のデートはなかなかないから、今日は本当に楽しい一日だった。
「また、連れて来てくれる?」
「そうだな、こういうのもたまには悪くねぇから、また今度な」
「本当に?」
「ああ」
「嬉しい!」
横に並んで座っていた私たち。
律の言葉に嬉しくなった私は彼の肩に寄りかかる。
すると、律が私の肩に腕を回してきて身体を引き寄せられ、
「――琴里」
「律――?」
名前を呼ばれて顔を上げると、ふいに律が唇を重ねてきた。
「……ん、……」
触れるだけの、優しいキス。
何度かされて唇が離れていくのが名残惜しかった私は律の服を掴むと、
「……律、もっと、して?」
恥ずかしいけど、おねだりしてみる。
「お前……そういう事言うの、禁止。つーかもうすぐ降りるのに、今したら止められなくなるだろーが」
律はそう文句を言いながらも、私の顎に指をかけると持ち上げてきて、
「――んんっ」
今度は強引なキスをしてくる。
「……んっ、は……ぁ、り、つ……」
さっきとはまるで違う、激しい、大人なキス。
「その顔、エロすぎ」
「……っや……、はずか……しいっ」
キスだけなのに、もの凄くいけないことをしているみたいな感覚になって、身体が熱く熱っているのが分かる。
「名残惜しいけど、もう着くからここまでな」
「……うん」
何だか中途半端にスイッチが入ってしまった私たちは何とか押し留まり、観覧車を降りる。
「さてと、帰るか」
「うん」
そして少し淋しい気持ちを感じながら、ワンダーランドを後にした。
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