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そしてクッションは投げられた

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そしてクッションは投げられた

1 - そしてクッションは投げられた

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2023年12月14日

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「あ、また怪我したの?」

医務室の扉を開けようとした手を止めるかのように、その男は話しかけてきた。

「しょうがねーだろ」

近接だし。

「それはそうと、今硝子出張中でいないんだよね」

私は力が抜けるかと思うくらいだった。

それを知っているならわざわざ「怪我したの?」なんて嫌味を言わなくなって普通に硝子さんがいないことを伝えてくれればいいだけなのに。

「あっそ」

「あれ、いいの?」

「大した怪我じゃねえし。ほっときゃ治るだろ」

「大したことない、ねぇ」

じろじろと私の体を見回す悟。

いい加減にしてほしい。この男に見られると、自分の真意を探られているようなのだ。

「ここのけがもどうってことないわけ?」

脇腹を強めにつつかれて、思わず体が引けた。

悟は当たり、といやらしく笑う。

「僕さぁ、昔は割と怪我して硝子に治してもらってたんだ」

「それがどうした」

「でも、僕治療もできちゃうんだよね~」

なんてったって最強だから、と付け足すのは忘れないらしい。

ああ、嫌な予感がする。

「ほら、入っていいよ。応急処置くらいしてあげる」

鍵のかかっていない医務室を開け、ベッドに私を座らせる。

悟はやけに楽しげだ。

「はい、怪我したのはどこですかー」

「腕と背中と足‥‥脇腹も」

「よく言えました!」

「子ども扱いすんな」

「まだ未成年だし子供だよ」

悟は消毒液を出して、綿にのせる。

「しみるけど我慢してね」

「いてえ」

「だから我慢してって」

腕と足の傷にばんそうこうを貼られて、いかにも怪我人といった様子になってしまった。

「そういえば背中って?」

「後ろから殴られてあざ」

「湿布かなぁ。貼ってあげる。取ってくるからその間に背中の準備しといてね」

背中の準備ってなんだよ、という質問は置いておいて。

悟のあった、という声が響くまで私はしばらくぼうっとしていた。

「あれ、準備してないじゃん」

「何するんだよ」

「まあいいや。痣ってどの辺?」

「上の方。肩くらい」

「いや、ならお願いだから下着くらい外しといてよ」

「外すか馬鹿!」

「だってそうしないとそこに湿布張れないじゃん!」

「‥‥」

私は渋々服の中で下着をはずして、背中を向ける。

湿布のひんやりとした感じが伝わってくる。

「てゆーかさ」

「あ?」

「女子生徒が男の教師に背中に湿布張ってもらってるってなんか」

「なんだよ」

「エロくない?」

「ふざけんな変態か!」

そういわれると嫌気がさして、すぐに背中を隠した。

「はい、じゃあ次。ここだよね、問題は」

「わりーかよ」

「もっと素直になりな、痛いんでしょ」

「‥別に」

「包帯‥っていうか止血しないと。さっきまで止まってた感じだけど、真希がエロいエロくない論争始めちゃったからまた血が出始めちゃってるよ」

「私の所為じゃねえし」

「どうだろうね」

悟は私の脇腹にタオルを押し当てて止血を試みる。

私は特に動きたくもないのでじっとしているが、悟はいつの間にか目隠しをはずしていた。

「ねえ、気になったんだけどさ」

「何」

「これって呪いにあてられたわけじゃないよね?」

「攻撃で吹っ飛ばされて怪我した」

「そいつ最低じゃん」

「お前みたいなもんだろ」

「はあ~?僕そんな酷いこと真希にしません~!」

「どうだかな」

そんなことを言ってる間に血は止まっていて、消毒をしてから包帯を巻かれる。

悟は私の汚れた服を回収して、医務室に置いてある新しい服を持ってきてくれた。

「なんかスカートと上の服が合ってないんだけど」

「お前が渡してきたんだろ。責任はお前にある」

「はいはい」

どこから取り出したのかもわからないが、悟が鍵を閉めて、私は自室へ戻っていった。

まだ少し傷は痛むけれど、先ほどの医務室での私たちの行動を振り返ると、とてつもなく恥ずかしい気がして、私はクッションを手に取った。

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