テラーノベル
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午前7時45分。
校門前は、いつもより少し騒がしかった。
「ねえ、今日も一緒に来てる!」
「ほんとだ、あの5人!」
「朝から顔面偏差値高すぎない……?」
生徒たちの視線の先を、5人の男子高校生が歩いている。
3年生の佐野勇斗。
2年生の吉田仁人、塩﨑太智。
1年生の山中柔太朗、曽野舜太。
学年は違う。クラスも違う。
それなのに、彼らは毎日のように一緒にいた。
校内ではすっかり有名な存在で、ひそかにアイドルグループのような扱いを受けている。
そんなことはつゆ知らず、5人は今日もいつも通りだった。
🩷「仁人、今日眠そうじゃない?」
💛「……そう?」
🩷「うん。昨日何時に寝たの?」
💛「12時くらい」
🩷「遅くない?」
💛「勇斗に言われたくないんだけど」
🩷「え、俺そんな遅くないよ?」
💙「嘘つけや。勇ちゃん、昨日俺に夜中までゲームしよって言うてきたやん」
🩷「太智、それは言わなくていいの」
💛「……何時まで?」
💙「2時」
💛「バカなの?」
🩷「仁人、言い方(笑)」
そのやり取りを聞きながら、柔太朗が小さく笑った。
🤍「仁人、今日も勇ちゃんに厳しいね」
💛「普通だろ」
🤍「俺にもそれくらい優しくしてよ」
💛「柔太朗には十分優しくしてると思うけど」
🤍「えー、そう?」
💛「そう」
🤍「じゃあ今日、数学教えて」
💛「……それは嫌」
🤍「なんで!?」
💙「柔ちゃん、仁ちゃんに教えてもろても分からんやろ」
🤍「太ちゃんうるさい」
❤️「俺、数学なら教えられるで!」
🤍「舜ちゃんは頭いいもんね」
❤️「えへへ」
💛「……柔太朗、舜太に教えてもらえば?」
🤍「仁人がいい」
💛「なんでだよ」
🤍「仁人の説明、分かりやすいから」
💛「……そう?」
🤍「うん」
柔太朗はさらりと言った。
仁人は少しだけ照れたように目を逸らす。
それを見た勇斗が、にやっと笑った。
🩷「仁人、照れてる?」
💛「照れてない」
🩷「耳赤いよ?」
💛「朝からうるさい!」
💙「勇ちゃん、仁ちゃんいじめたらあかんて〜」
🩷「いじめてないよ(笑)」
❤️「仁ちゃん、俺も今日一緒に帰りたい!」
💛「いいよ」
❤️「やった!」
🤍「俺も帰る」
透過
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ねおん🪼🫧
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💙「俺もー」
🩷「じゃあ俺も」
💛「……全員?」
🩷「うん」
💛「なんで?」
5人は顔を見合わせた。
💙「なんでって……いつも一緒やん」
❤️「せやで!」
🤍「今さらじゃない?」
🩷「仁人と帰りたいから?」
💛「…………」
💛「……はいはい」
適当に流して歩き出した。
その後ろで、4人が顔を見合わせる。
🩷「……ねえ、今の聞いた?」
💙「聞いた」
🤍「絶対分かってないね」
❤️「仁ちゃん、かわいいなぁ」
💛「お前ら、何してんの。遅刻するよ!」
4人は慌てて仁人を追いかけた。
1時間目・休み時間
2年生の教室。
仁人が席で次の授業の準備をしていると、クラスメイトが声をかけてきた。
「吉田、今日の数学の課題見せてくれない?」
💛「いいよ。はい」
「助かる! ほんと吉田って頭いいよな」
💛「そんなことないよ」
「いやいや、テストいつも上位じゃん」
💛「……まあ、勉強はしてるから」
そこへ、廊下から聞き慣れた声が飛んできた。
🩷「仁人ー!」
💛「……また来た」
教室の入口に立っていたのは勇斗だった。
3年生の先輩がわざわざ2年生の教室まで来たものだから、周囲がざわつく。
「え、佐野先輩?」
「吉田に用事?」
🩷「仁人、今日の昼、一緒に食べよ」
💛「いいけど。わざわざ来たの?」
🩷「うん」
💛「連絡すればいいじゃん」
🩷「顔見たかったから」
💛「……は?」
教室の空気が、一瞬止まった。
勇斗は何でもないことのように笑っている。
💛「……そういうの、誰にでも言ってるの?」
🩷「え? 仁人にしか言わないけど」
💛「…………」
「…………」
教室のあちこちで、声にならない悲鳴が上がった。
💛「……もういいから。授業戻って」
🩷「はーい(笑)」
勇斗が去っていく。
ー数秒後ー
「吉田」
💛「……何?」
「佐野先輩と付き合ってる?」
💛「付き合ってない!!」
その声は、廊下まで響いた。
ー昼休み
仁人が弁当を広げた瞬間。
💙「仁ちゃーん!」
💛「……太智、声でかい」
💙「ええやん! 昼やで!」
太智が隣に座り、勝手に仁人の弁当を覗き込む。
💙「今日卵焼きあるやん。ちょうだい」
💛「自分の食べなよ」
💙「一個だけ!」
💛「……一個だけね」
💙「やった!」
そこへ、柔太朗と舜太もやってきた。
🤍「仁人、隣いい?」
💛「いいよ」
❤️「仁ちゃん、俺も!」
💛「舜太もどうぞ」
🤍「……太ちゃん、俺にも卵焼きちょうだい」
💙「なんで俺のやねん!」
🤍「仁人のもらってたから」
💙「自分でもらい!」
❤️「俺も卵焼き食べたい!」
💛「……はい、舜太」
❤️「ありがとう、仁ちゃん!」
💙「えっ、舜ちゃんにはあげるん!?」
💛「舜太は一個しか取ってないだろ」
💙「俺も一個やん!」
💛「太智は自分の弁当があるでしょ」
💙「ひどない!?」
柔太朗が笑いながら、仁人の隣に座る。
🤍「仁人って舜ちゃんに甘いよね」
💛「そう?」
❤️「仁ちゃん、優しいもん!」
💛「はいはい」
舜太は嬉しそうに笑った。
その顔を見て、仁人も自然と笑う。
少し離れた席では、そんな5人を見ている生徒たちがいた。
「吉田くんって、あんなに笑うんだね」
「佐野先輩といるときも楽しそうだよね」
「ていうか、あの4人、吉田くんのこと好きすぎない?」
「分かる……」
当の本人は、そんな会話が聞こえていることにも気づいていなかった。
ー放課後
帰りのホームルームが終わると、仁人は教科書を鞄にしまった。
スマホを見ると、勇斗からメッセージが届いている。
『今日、一緒に帰ろ』
その直後、太智からも。
『仁人、今日帰りコンビニ寄ろや』
さらに柔太朗。
『仁人、数学教えて』
最後に舜太。
『仁ちゃん! 今日一緒に帰ろ!』
💛「…………」
仁人はスマホを見つめた。
💛「……なんで全員、俺に連絡してくるんだよ」
そう呟いたところで、教室の入口から声がした。
🩷「仁人ー、帰ろ!」
💙「仁ちゃん、コンビニ!」
🤍「数学!」
❤️「一緒に帰ろ!」
💛「……分かったから、一気に喋らないで」
4人が笑う。
仁人も、呆れたように笑った。
💛「……ほんと、お前らうるさい」
🩷「でも、嫌じゃないでしょ?」
💛「…………」
少しだけ考えてから、仁人は鞄を肩にかけた。
💛「……別に」
その返事に、4人は顔を見合わせる。
そして、誰からともなく笑い出した。
学校中から注目される、アイドルみたいな5人組。
その中心にいる吉田仁人は、今日も自分がどれだけ愛されているのか知らない。
少なくとも、今はまだ。
コメント
1件
読了!第1話からもう5人それぞれの関係性の空気感が最高ですね。特に仁人が「バカなの?」的にツッコミつつも舜太には卵焼きあげちゃう緩さとか、勇斗の「顔見たかったから」のナチュラル強火っぷりが刺さりました。まだ1話なのに「ああ、この5人はこうやって成り立ってるんだ」と自然に飲み込める作り、巧いなあ。続きが楽しみです。