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勢いでした契約結婚なのだから、1年後はどうなっているかわからない。離婚してバツが付いてしまう可能性はかなり高いだろう。
それでも、報告するべき人には言っておかなくてはと、まずは碧に会った。
龍聖君と私からの突然の結婚報告に、碧はすごくびっくりしていた。
『すごいよ。こんな嬉しいことないよ! 琴音、良かったね。必ず幸せになるんだよ』
『う、うん。碧、ありがとう』
とても喜んでくれて、笑顔で何度もおめでとうと言ってくれた。しかも、自分から絵麻ちゃんに話すからと、大変な役も引き受けてくれた。
きっと……絵麻ちゃんは悲しむだろう。
高校時代から、あんなに龍聖君にアピールし続けてきたのだから。
『そっかぁ、鳳条 琴音になったんだね! 何だかさ、俺の方がドキドキしてしまうなぁ』
碧は、瞳を潤ませながら微笑んだ。
鳳条 琴音――
いつまでその名前でいられるのか。
そう思うと、碧にだけは本当のことを伝えておきたかった。両親と同じく、大切な仲間を騙してることに罪悪感を感じてしまう。
でも……
やっぱりまだ言えない。
そして、次は、ずっと返事を待ってくれていた綾井店長。
緊張したけれど、キチンと報告をし、相手が誰なのかも話した。
『正直、ものすごく驚いたよ。突然過ぎて』
『すみません。本当に……急に色々なことが進んで』
『鳳条グループの御曹司との結婚なんて、そんな素晴らしいことなら本当は祝福したいよ。でも……相手が誰だろうが、すぐに君を諦めることはできない』
『店長……』
綾井店長の真剣な表情。
なぜそこまで私のことを想ってくれるのか、未だにわからない。だけれど……今はもうその想いに応えることはできない。
『とにかく、その報告は聞いておくね。ただ、大切な人材である君に今辞められると困るし、仕事は続けてもらいたいな。いいかな?』
『……あ、はい。仕事に関しては責任を持って頑張りたいと思ってます』
『良かった。これからも……頑張って』
『ありがとうございます。急にすみませんでした。よろしくお願いします』