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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

100 - 第四章 永遠の愛を、二人で EP.3「贈られた指輪の意味とは…」⑤

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2025年03月10日

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もう一冊は、洋書のアンティークで、「先ほどのは割りと新しい書籍なんだが、こちらは海外のレトロな広告を扱った、古いアート集なんだ」と、彼が教えてくれた。


「海外の広告アートですか、楽しそうですね」


自分でもやや仕事を連想しがちだったさっきの本とは異なり、単純な好奇心が湧く。


「ああ、見てみるか?」


「はい!」と、わくわくして返事をした後で、そういえば……と思い出したことがあり、ふと口を開いた。


「……貴仁さんて、もうメガネは掛けられないんですか?」


「メガネ?」と、彼が首を傾げる。


読書とメガネがセットで浮かんでのことだったのだけれど、彼からしてみればいかにも唐突だったよねと感じる。


「えっと……最近は、メガネ姿をあんまり見かけないかなって、ちょっと思ったものだから……」


わけを言いつくろいながら、なんでその場の思いつきをつい口に出しちゃったんだろうと、無性に気恥ずかしくなってくる。


「メガネを、してほしくて?」


そうストレートに尋ねられて、「そ、それは、そのー……」と、ぼそぼそと口ごもった。


「メガネは元々ダテだから、仕事以外ではあまり掛けないかな」


「そう、ですよね……」──メガネは仕事で圧をかけるための演出だって以前に聞いていたし、本を読むからってやっぱりしないよね……。


「ただ君が望むなら、掛けるが?」


「エッ?」と、あからさまに色めき立つ私に、彼がデスクの引出しからメガネを取り出す。


「……私のメガネ姿が、好きなのか?」


そのセリフに、かつてレセプションパーティーに向かうリムジンの中で、ぎこちなく交わした会話がにわかに呼び覚まされた。


あの時は上手く言えなかったけれど、今ならきっと言えるよね……と、意を決して口を開いてみたものの、


「……す、好きです、あの……とってもステキで、そ、それにカッコよくて……」


前とたいして代わり映えのしない、しどろもどろな口調になってしまった。


「君が、そう言ってくれるなら」


彼がフッと笑って、銀フレームのメガネを掛ける。


「……似合うか?」


レンズ越しに顔が覗き込まれると、裸眼よりもさらにドキドキとさせられる。


「すごく、似合っていて……」


「……ありがとう。嬉しい」


耳元の髪をそっと指で掬われて、そう囁やきかけられると、耳たぶがぼっと熱くなるのを感じた。

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