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星螺💫
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mzybのnmmn
em愛され(?)
モブ視点
今回はちょっと仄暗い話です。
以上が大丈夫な人どうぞ
ーーーーー
『知らぬが花よ』
これからやって来る患者には、少々酷な現実を突き付けねばならない。
心を落ち着けるため深呼吸をする。
医者になって五年、様々な患者を診てきたが、こういったことには慣れる気がしない。驚くだろう、泣くかもしれない。信じられず怒りだす可能性だってある。
コンコン
ノックの音に背筋を伸ばして扉の方へ向き直る。
「どうぞ。」
ガラリと扉が開いて一人の男性が入ってきた。
「こんにちは、先生。」
「こんにちは、エーミールさん。こちらへどうぞ。」
その男性ーーこのヤバシティで市役所職員を務めるエーミールさんが椅子に腰掛けたのを見て、早々に本題に入る。
「お忙しい中呼び出してしまってすみません。先日受けていただいた健康診断の結果についてお伝えしたいことがありまして…」
「どこか、悪くなっていましたか?」
「いえ、とても健康です。しかし…」
少し不安そうな彼に告げる。
「…人外の残存影響力が、非常に高いんです。」
人外と人間の入り交じるこの街では、人外の力により人間が物理的にだけでなく精神や健康、魂などへの目に見えない被害を受ける事も多い。そのため数年前、患者の身体にどれほど人外の影響力が残っているかを測定し治療に役立てる方法が確立された。エーミールさんは数多くの人外と関わり、時に戦う市役所職員という職に就いている唯一の人間であるため定期健康診断でこの測定を受けている。
「私は職業柄以前の検診でも少し高めと診断されていたと思うんですが、それよりも更に、ですか?」
「はい。大怪我をした時人外の能力で治療された、という場合であればこの結果にもなるかもしれませんが、エーミールさんはここ一年大きな怪我はされていないとのことですから、この数値は異常です。」
ここまで話して、手元に用意していた資料を渡す。明るい色の上に『人外残存影響力測定改善のためのお願い』という文字が踊るパンフレット。
「こちらの研究をご存知ですか。」
「ああ、人外さん達に協力をお願いしていたやつですね。うちの職員も行ったみたいで。」
「はい。数多くの人外の方々に協力していただき、より詳しい診断ができるようになりました。それによりーーー指紋鑑定の様に、残存影響力が誰によるものか判別できるようになったんです。」
ここからが本題だ。一瞬躊躇って、それでも告げねばならないと無理矢理口を開く。
「エーミールさんの身体に残存する影響力は、同じ市役所職員の、仲間の方々によるものです。あなたは五人に、何らかの影響を受けさせられています。それも、意図的に。」
うっかり力の制御を間違えて、などということをそうそうしない方々だとは分かっている。二代前に人外の血が混じっているだけの私ですらその力の強さを本能的に感じ取れる程の存在だ。制御を間違えるなんてしたらただの人間は影響力など超えて消し飛んでしまうだろう。
「外見では分かりませんが、体内に影響が蓄積しています。健康状態も、年齢や生活習慣から考えると異常なまでに健康です。内臓の組成にも僅かですが変化が見られて、このままではエーミールさんは人外になってーーーー」
「先生、」
穏やかな声が、私の言葉を遮った。
いつの間にか俯いていた顔を上げる。戸惑うだろうと、ショックを受けるだろうと思っていた彼は、平然としてそこにいた。
「実はね、私、気づいているんです。」
「は、」
「大先生がたまに分けてくれる煙草が彼の“特別製”であることも、咳き込んだとき周りを見ると大抵赤いキノコがあることも、シャオロンさんと目を合わせるとき彼の目が一瞬金色に光っていることも、ショッピさんが触れたときパチっと弾けるものが静電気ではないことも、ゾムさんから渡される飲み物に時々黄緑の粒々が混じっていることも、全部。」
言葉が出ない。
恐ろしく思うはずだ。仲間に意図的に肉体へ影響を与えられていることも、それで自分の身が人間から外れていっていることも。
市役所内唯一の人間、制御を間違えれば自分が消し飛ぶような力を仲間達に使われて、それに気づいているのに、なぜそんなにも普段通りで居られるんだ?!
瞬きすらできない私の前で、彼は目を細めて笑った。
「嬉しいんです。人間の寿命だけじゃ足りないと思ってくれることが。その気になれば私のことなんて一気に人外に出来るのに、人間でいたいと言う私にバレないよう少しづつ人外に寄せていこうとしていることが。ーーー影響力は今すぐに人外になる程ではないんですよね?」
問われて、医者としての意識で反射的に応える。
「…はい。完全に人外になるには三十年ほどはかかるかと。しかし、少しずつ人間から外れていく訳ですから、いつまで“人間”の範疇で居られるかは…」
「その時はちゃんと“人外”になりますよ。」
笑みを深めた彼が、しぃ、と人差し指を立てる。
「だからそれまでご内密に。“まだしばらくは”人間として生きていたいので。」
イカれている。それこそ、あの人外達に並び立つほどに。
ああ、残存影響力の判別方法なんて開発されなければこんな事実を知らずに済んだのに。
初めて、医術の進歩を恨めしく思った。
コメント
6件
すごい雰囲気好きです💕 メンバーの皆様のemさんへの執着がすごいなぁって思いました。emさんもemさんで自分が人間じゃなくなるはずなのにそれを受け入れて「人間の寿命じゃ足りないと思ってくれることが嬉しい」って皆さん激重感情持ってるなって思いました笑 あとメンバーの皆さんごとに人外に近ずけるための方法が色々あってすごい設定凝ってて尊敬します✨️
モブ視点から語られる人外からの影響に対するemさんの覚悟の決まりよう、異常なまでのybメンツの執着が凄まじくて読んでいてリアルで「ほぉ〜!」って声が出るくらい素晴らしい作品でした、、、!! フォロー返しありがとうございます、これからも無理のない範囲で素敵な作品を作っていってください☺️
ああ、なるほど…この仄暗い優しさにやられました。 医者が「おかしい」と思うほど平然と受け入れるエーミールさんの、あの嬉しそうな笑顔が忘れられないです。「人間の寿命だけじゃ足りないと思ってくれることが嬉しい」って、もうその愛情の重さが素敵すぎて…。人外の仲間たちがこっそり彼を少しずつ変えているのも、それに気づいて尚「内緒にして」と笑う彼も、全員が大事に思っているからこその距離感なんですね。 最後の“知らぬが花よ”で締める切なさ、とても好きです。続き、気になります🌷