コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『お頭!あぶねぇ!』
「え…?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…」
[そこまで気にやむな、お頭]
「ヤソップ…」
ベックが怪我をした。原因は…言わずもがな俺だ。よそ見をして背中を空けてしまった瞬間を狙われ、ベックが庇ってくれた。おかげで俺は無傷、ベックは…
〈麻酔かけたから、しばらくは目ぇ覚めないだろう。傷は深いが、致命傷ってほどでもない。副船長ならすぐに覚めるだろう。〉
船医であるホンゴウはそう言っていたが、俺は素直にうなずけなかった。
[珍しいな、お頭がよそ見するとは。見聞色、使ってたんじゃねぇのか?]
「たまたま使ってなかった…使うほどの相手じゃねぇと…過信しちまったんだ…」
[そうか…。とにかく、そんなに気にすんな。副船長のことだ。すぐに目が覚めるさ。]
俺の頭をガシガシと撫で、離れる。
そうは言われても…俺の不注意でこうなってしまったものは、俺が拭うべきだ。
「ホンゴウ」
〈お頭、どうした?〉
医務室を訪ね、寝ているベックを横目に見ながらお願いをする。はじめは断られたが、無理を聞いてくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ん…』
痛みに耐えながら目が覚める。窓からは月明かり、体を見ると包帯でぐるぐる巻きになっていた。
『あぁ…あん時…』
戦っている最中に、シャンクスを庇って刺されたことを思い出す。
ふと、視界に入ったのはホンゴウの髪ではない赤い髪の毛。そんな色しているのは1人しかいない…。
『お頭』
「…ベック?その、大丈夫か?」
少し気まずそうにするお頭に、だいたいを察する。
『あぁ。とりあえずは。ホンゴウは?』
「俺が無理を言って、今夜の看病を引き受けた。あいつは自分の部屋で寝てる。」
『そうだったか…』
しばらくの沈黙が流れ、シャンクスが口を開く。
「…すまなかった」
『…なにがだ?』
「…怪我、させたことだ。俺が油断しなければ、こんな怪我せずに済んだのに…。俺が、もっと強ければ…」
『お頭』
「俺のせいで、お前は…」
『シャンクス、落ち着け』
「俺は…船長しっか…むぐっ…!」
((チュッ))
『…その続きを言うなら、俺は船を降りるぞ。』
「っ…!」
『なぁ、シャンクス。俺はあんたに命をかけている船員であり、あんたの右腕だ。俺が今までの人生で、あんたになら命を捧げてもいいと思ったんだ。…シャンクスを守れて俺は光栄だ。だから、それ以上の言葉は口が滑っても言うんじゃねぇ。俺がかけた命が霞むだろ?まずは、なんて言うんだ?』
シャンクスの髪の毛から頬を伝って撫でる。目の淵には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだ。
「…ありがとう、ベック」
『…どういたしまして、シャンクス』
「ん…」
もう一度頭を撫でると、気持ちよさそうに擦り寄ってくる。
『シャンクス、看病してくれるんだよな?』
「ん?あぁ、そうだが」
『なら、1つ願いを聞いてくれねぇか?』
「…?」