MEN視点です
LINF→みんながよく使う緑のあのアプリ
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ぜんっぜん既読つかん。
あのおんりーチャンが30分以上経っても既読すらつけないだと…..?
もう何回LINFの画面を確認したことか。せっかく久しぶりに家で一緒に遊べるようになったから誘ったのに。
先程から全く変わらないスマホの画面に流石に心配になり電話をかける。しかし向こうが応答する気配が無く、本格的に焦り始める。
もしかしたらおんりーチャンの身になにかあったのではないかと思い、スマホと財布だけ持って家を飛び出した。
とりあえず無事で居てくれ、と心の中で強く願い、高校以来の全力疾走をした。
家の前に着いた。が、様子が変だ。カーテンは閉め切ってあり室内が見えない。
インターホンを何度も押してみるが出てこない。家に居ないのかと思ったが、それならスマホは持って行くはずだ。家に忘れたか、誘拐か何かで電話に出れないか、家の中でなにかあったか。
俺はまず先に家に入ることにした。
「おーい、入るぞ〜!」
一応声をかけてみるもやはり反応は無く、ドアノブに手をかけてみれば、それは無防備にもガチャリと開いてしまった。
躊躇っている時間はない。おんりーチャンの安全を確認出来ればいいのだ。そう思い家の中へ足を踏み入れる。
薄暗く、とても人が居るようには思えないくらい静まり返った室内。
「おんりーちゃーん?」
返ってくるのは外の風の音くらい….って風?
窓が開いているのか?
外から見たときはカーテンも窓も閉まっていた。ということは奥の部屋か。寝室辺りかな?
そっと寝室を覗いてみる。
「ッ!」
思わず息を呑んだ。
サイドテーブルに置かれたカップラーメンのゴミ。その近くに缶ビールの缶と空っぽになった大量の風邪薬。開けたドアの隙間からは、ほんの少し鉄の匂いがする。
そしてベッドに山が一つ。
「おんりーチャン!!?」
自分でも信じられないような大声を出した。そこに散乱しているものを見ればおんりーチャンが何をしてたかなんて嫌でも理解出来てしまって。
死んだように眠るおんりーチャンを必死に起こそうとした。
「おんりーチャン!おんりーチャン!おい!起きろ!
おんりー!!!」
どれだけ叫んでもその瞼は固く閉ざされていて。
でもまだ温かさの残るおんりーチャンの体はまだ死んでない。助かるかもしれない。
色々な感情が溢れて手が震える。それでも何とかスマホを操作し救急車を呼ぶ。
いち、一、9。
声も震えているがそんなのは関係ない。早く、早く来てくれ、救急車。
目の前の消えそうな命はかけがえのない大切な仲間。
おんりーチャンがこんなことする前に気付けなかった自分が憎い。
こんな状況でも自分のことしか考えていない俺自身に嫌気がさす。
ああ、どうしてこんなことに。いつから、どこから間違っていたんだ。
叶うなら、もう一度やり直させてくれ。
なんて、
時の流れは残酷で。
決して、戻りも止まりもしない。ただ、地獄のような明日へ向かって行くだけ。
おんりーチャンが居ない明日なら、あっても無くても同じだ。
そう思えるほど大切なものだったんだ、と今更ながらに気がついて。
空っぽな明日が来ることが怖くて
どうか、最低で最悪な明日が来ませんように。