更新遅くなってしまい申し訳ございませんでした!
ノリと勢いで始めたせいで思ってたより苦戦を強いられております。
長男編より短めです。
では、どうぞ……
俺が憶えている1番古い記憶
それはひとつ上の兄、ウツに手を引かれ、弟のショッピと一緒に真っ暗な中を歩いていた記憶。
あまりハッキリ覚えては無いが、歩いている時も酷く眠たくて、ずっと目を擦っていた。
しばらく歩いていると大きな壁?があって、3人でそこに座り込んだ。
疲れたからか、また強い眠気が押し寄せてウトウトしていると、ウツが俺とショッピの背中をさすってくれた…気がする。
ただ、その手が小さく震えていたから、寒いのかと思って2人にぎゅうぎゅうと寄って
そのまま眠った。
次にある記憶は、ウツの泣き声だ。
普段クールで飄々としていた兄が、年相応に泣きじゃくって居た。
そしてそれを包み込むみたいに優しく抱きしめる大きい男の人。不思議とその男は怖くなかった。
と言うより、それどころじゃなかった。
あのウツがあんな風に泣くところなんか見たことがなかったから
どこか体が痛いのかと心配で堪らなかったのを憶えている。
ショッピも泣き声に気付いたのか、驚いた様な顔でウツの事を見つめていた。
「うつ?」
「にぃに?」
「ぅ”…シャオロン…ショッピぃ……ぐす…」
「だいじょーぶ?いたい?」
「……」
動揺して2人して泣きそうになってる俺たちを落ち着かせるように、ウツが俺達を抱きしめてくれる。
しばらくそうしていると、男が口を開いた。
「君達のお名前はなんて言うんかな?」
泣き止んだウツが名乗ったのを皮切りに、俺も元気よく名前を言った。ショッピはよく分かっていないみたいだった。
名前を言うとその男はパッと笑って、大きな手で俺達の頭をわしゃっと撫でてくれた。
それがめちゃくちゃ嬉しくて、自然と口角が上がった。
男の名前はエーミールと言うらしい。
俺たちがエミさんと呼ぶと、エーミールは顔を綻ばせて嬉しそうに笑った。
それからしばらくの間エミさんと、よく分からない青いヒヨコ(?)と一緒に遊んだりして過ごしていた。
俺もウツもショッピも、全員エミさんに懐いていた。
次の日、エミさんに話があると言われて、よく分からないまま話を聞いていた。
新しい家族?とか何とか言ってたのは何となく覚えてる。
申し訳なさそうな顔をしたエミさんが、意を決した様に口を開いた。
「私の家に住むのでもええかな?」
そうやって俺らは家族になった。
今からもう18年も前の話。
その後はエミさん…いや、父ちゃんに引き取られて父ちゃんの弟のトントン、そして兄弟3人で暮らす事になった。
ショッピが小学校に上がる頃にトントンは仕事の関係で家を出たけど、それからも平和に暮らしてた。
それはもう極々普通に
俺が10歳になるまでは
小学四年生、まぁそれなりに自我が芽生えて恋愛的な話も出てくる年頃だ。
どの子が可愛いとかあの子が好みだとか、同級生の男子達はそんな話で盛り上がっていた。
でも、俺はいつもそんな会話についていけずにいた。
「なー!シャオロンはどの子が好きなん?」
「田中さんとか?」
「ん〜?よぉわからんわそんなん」
「えー?」
ただ単に女子に興味が無かったというか、かと言って男子が好きという訳でもないし
ただあの時は恋愛感情って言うものをよく理解してなかったんだと思う。
「ただいまー」
「あ、おかえりシャオロン」
「はっ!?っえ?父ちゃん!?仕事は!?」
「市長が『たまには早く帰ったら?』って言ってくれてな、今日も野球やろ、送ろうか?」
「うん!!」
父ちゃんに抱き着くと、いつも大きな両手でわしゃわしゃと頭を撫でてくれる。
そうすると心がポカポカするから、昔っからそれが大好きだった。
でも、この日感じたのは、いつものポカポカした温かい感じじゃなくて
(…?……なんや、この感じ)
なんだか体が熱くて、走り込みの後みたいに心臓がドクドクと早く、うるさいくらいに動いていた。
「シャオロン?顔赤いけどどうしたん?」
心配した父ちゃんがしゃがんで顔を覗き込む
それにまた心臓がうるさくなって
「なっ!なんでもない!だいじょぶやから!!」
「えぇ…ホンマに?しんどくない?」
「大丈夫やって!準備してくるわ!」
「無理せんようにね」
自分の部屋に逃げ込んで深呼吸をする。
なんやろう、あの感じ
俺は未知の感覚にドギマギしたまま、同級生との会話を思い出した。
『好きっつってもどっからなん?』
『え〜そりゃあさ、ちゅーしても嫌じゃないとかちゃうん』
「……ちゅー…」
嫌じゃ、ない…かも
俺はこの時初めて、自分が普通じゃない事に気が付いた。
だって普通は大体、男は女を好きになるもので
同性…それも、血が繋がってないとは言え自分の父親を好きになるなんて明らかに普通じゃない事くらいは、俺にも理解出来たから。
「…あ、そっか。血ぃ繋がってないんか」
なら、まだセーフか?
楽観的なのは俺の短所で長所だ。俺はウツやショッピ程賢くないし、ウダウダ考えるのは性にあわない。
なら、もう流れに身を任せてしまおう。
しばらくすれば父ちゃんへのこの感情も消えるだろう。うん、おっけー。
もし消えなかった時は……
まぁ、その時考えよ
…てな感じで先送りにしまくった結果
「未だに拗らせてんだよなぁ!」
「えぇ…何を?」
あれ、父ちゃんが居る
あー、そうや父ちゃんが晩酌してたから乱入したったんやったわ。アイツらはトントンと出かけたしな。
「シャオロン酔ってるやろ…うわ、顔真っ赤」
「んぇぇ……でも最近めっちゃ酒強なってんて!」
「言うて2杯目やけどねそれ」
「はい水」なんて手渡された水を飲みながら、ぼーっとエーミールを眺める。
エーミールもなんだかんだ酔ってるみたいで、ほんのり顔が赤くなっている。
エロい
まぁ相も変わらず父親への恋愛感情を拗らせ続けてる訳だが、楽観主義もここまで来るとやべぇなってレベルで焦りとかの感情が湧いてこない。
なんというか、自分の性格と「父ちゃんなら許してくれるやろ」なんて謎の安心感が自然と心を落ち着かせてくれていた。
最近気が付いたが、他の兄弟2人もエーミールに対して特別な感情を抱いているらしい。
もとから3人揃ってファザコンだったが、3人揃って父親が恋愛対象となって来ると複雑だ。
父親が違うから顔も性格も似てないが、好みのタイプだけは似てしまったらしい。
「…難儀やなぁ……」
「なにが?」
「ん〜、なんでもなぁい」
いくら俺が楽観的とは言え、それでも父であるエーミールが好きだと直接言える程単純なものじゃない。
もし、もっと別の出会い方をして、親子じゃなくて、友人とかだったら
…もう少しくらい、素直な気持ちを伝えられたんだろうか
いや、伝えても良いとは思うが
結局の所怖いんだ。今の関係が崩れる事が。
確かに父ちゃんの事が好きだけど、今の父ちゃんとの関係も大好きで大切だから
「…父ちゃ〜ん」
「ん〜?」
あと少し、勇気と決心が付くまで
「大好きぃ〜…」
「!…んふふ、久々に聞いたわぁ……俺もやで〜」
どうなっても良いって思えるまで、待っとってな。
シャオロン 年齢21歳[ヤバシティ大学三回生]
スポーツ推薦で大学入学。成績は中の下くらいだがほぼほぼサークル活動やらなんやらでカバーしてる。授業は兄弟内では1番真面目に受けてる。
恋愛に関しては夜の経験もあるがどちらかと言えば無関心。ただエーミールに対しては押し過ぎず引き過ぎず、機会を伺っている。兄弟内ではエーミールへの想いを自覚したのはちょうど真ん中くらい。
無邪気な青年の皮を被ったファザコン
父親であるエーミールに恋愛感情を抱いた事に最初は混乱したがマジで一瞬だった。それからは流れに身を任せるまま過ごし、やっぱり好きだと言うことを最近改めて自覚した。
野球大好き青年。野球を始める時エーミールがプレゼントしてくれたボールをめちゃくちゃ大切にしてたら爆速で付喪神が憑いた。
兄弟の事も大好きだが他の兄弟達もエーミールに特別な感情を持っている事に気が付いておりちょっと複雑。
好きなAVはお姉さんモノ
はい、いかがでしたでしょうか?
今回shoem初挑戦なんでね、ちょっと微妙かも知れません…
これからもゆっくり続けてくんで、日常編とかも書けたら良いですね。
それでは、また次の作品で……
コメント
3件
マジで最高すぎます!続き楽しみにしてますね!