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1,レンタル彼氏
「悠〜斗さんっ」
そう言いながら朝食用にパンを焼いている俺にバックハグをかましてきた
「離れろ」
俺はこんな真夏に抱きついてくるクソ兄、中原 拓人を思い切り突き飛ばした
「っい”っった?!何食べたらそんなんなるの?!?」
「黙れ近寄るな失せろ」
折角の土曜日、こんなクソ兄貴のせいで最悪の始まりだ
「わーお、悪口オンパレードやね♡」
こいつの頭をトースターにぶち込んでやろうかな。とうま思ったがもっと苦しめたいで却下だ
「何しにきたんだよ」
「えっ2枚焼いてるじゃん!もしかして俺の分もぉ?」
俺の言葉をフル無視し兄貴は自分の分も焼いてもらえてると勘違いしている。きも
「んなわけねぇだろ」
早くどっか行ってくんないかな。俺は呪われたように俺の足元をすりすりする愛犬、テヌを見つめた。これだけでも癒されるな
「そっかそーだよね残念…まぁ俺が悠斗んとこに来たのは理由があります!」
「当たり前だろ理由無かったら兄貴八つ裂きにして内臓テヌに食わしてるわ」
「相変わらずグロいねぇ…全てが」
そう兄貴が言ったあと、タイミングを測っていたかのようにチンッ言う音が鳴った
「いただきます」
「いただきまーす」
俺と兄貴は冷たくて気持ちのいいソファーに座り2人でパンを食べた。兄貴が買ってるのは俺のパンの耳だ。これでもありがたいと思った方がいい
「ったくー…悠斗ってもう逆に天才だよ発想が」
「ありがと」
俺はそんな兄貴の言葉ではなく外でミンミンミンと鳴いている声の方をじっくり聴いていた
「ごちそーさまでした」
「ごちそうまさでーした」
「よし!食べ終わったことだし!本題に移ろう!」
「本題に入るのが遅せぇ」
「ごめんごめん」
兄貴はそう謝りながら何かの紙を俺の前に出してきた
「レンタル…彼氏?」
「そう!」
これがどうしたって言うんだ。まさか兄貴が始めたとか言わないよな?やめてくれよ?鳥肌が…
「これがなに…」
「悠斗にやって貰います!」
は???????????????????ついに頭のネジどころじゃなくて本体まで飛んでったか。この俺がホストみたいなこと…できるわけがない
「無理」
「だめだよ!悠斗はもうバイトできるんだから!」
だとしてもだ。なんで…よし!バイトしよう!ってなってレンタル彼氏に辿り着くんだよ
「うんうん、大体悠斗の思ってることはお兄ちゃんよくわかる 」
「わかってないからやらせようとする」
「…お兄ちゃんだってこんな下品なアルバイトさせたくない。俺の悠斗が1秒でも誰かのモノになるのは考えられない。想像もしたくない」
うわー…出たこのモード。1週間に2回は出るんだよな、メンヘラモード
「だけど、兄弟って付き合えないじゃん?でも、俺が悠斗をレンタルすることにやって事実上付き合ってるってことになるだろ?」
「兄貴きもいぞ」
果てしなくキモい。真夏にエアコン壊れるよりきもい。
「でも、お兄ちゃんそんなに金はないんだ…でも、悠斗のこと俺だけがレンタルできるようにお仕事頑張るから、だから…ね?」
だから なんだよ怖いな。………ていうか、なんかもう色々めんどくさいな…レンタル彼氏って1時間くらい女の子と飯食ったりするだけだろ?…ご褒美じゃん…え、やる
「兄貴…俺,やるよ」
「ほんとに?やるの?」
「うん 」
「さっすが!やっぱ悠斗はそう来なくっちゃね!」
そう言いながら兄貴は俺にまた抱きついてきた
兄貴特有の香水の匂いが俺の鼻を通る
「どけ」
俺はそう言い朝と同じように引き離した
「相変わらず辛辣…でもそんな彼氏も売れるよきっと!悠斗ならね」
お世辞かよ。
「って事で早速仕事頑張ってきてね〜」
「え?」
もう?俺は今さっきやると宣告したはずだ。なのになぜ今から仕事?……もしかして
「うん,そうだよ悠人が思ってることと同じ 」
こいつ、俺が何言ってもこのバイトさせるためにもう俺を仕事に就かせたんだ……マジでぶっ飛ばそうかな
「あーこらこら。いけないこと考えない!悠斗はもう仕事だからね!えーと待ち合わせ場所は……⚪︎×△駅前だって!ほら行ってらっしゃい 」
兄貴は俺にそう言い残し俺を玄関に押し付けた
まだ準備もなってないのに
「ちょ、まだ早いだろ」
流石に今日バイトだといえどまだ朝の9時だぞ?そんなに早いのか?
「ううん、早くないよ。俺がこの時間でって伝えちゃってるからね」
何してくれてんだよクソ兄貴
「って事ではい行ってらっしゃい〜金もなんも要らないからね!」
兄貴はそう言って俺を本当に家から追い出した
「……意味わかんねぇ…」
こんなの、嘘だと信じたい…
でも、もし本当にお客さんが駅で待ってたらなんか申し訳ないから俺はスマホでダチを呼び、車で送ってもらうことにした
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡10
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