・意味不明な世界線
・もはや名前お借りしてるだけ
・この世の全てと無関係
・シャンティrt×オノマトペtt
・rtttの口調が普段(配信時など)と違う
・性格迷子
・文章の破綻
・捏造しかない
・落語関連はほぼ無知
tt side
噺を終えてその場で一礼をすれば、聴衆からの拍手の音であふれかえる。
内心今日も最後まで上手くいったことに安心しながらそのまま舞台袖にはけた。
楽屋に移りふぅ、と肩の力を抜き一息ついていれば、こんこんと控えめに扉が叩かれる音が聞こえた。
「与太郎先生、入ってもええですか?」
「嗚呼、緋八君か。どうぞ」
扉の向こうにいるであろう声の主に許可を出せば、扉が開き目を爛々と輝かせんばかりにした緋八マナ君が入ってきた。
緋八君は俺のだいぶ初期から落語を聞いてくれていて、毎回終わった後に俺を探しては直接感想を述べてくれた。
それが嬉しかったのもあって、こうして大層な関係者以外立入禁止の楽屋を用意されるほどの知名度を得ても、緋八君だけは特別に好きに入室できるようにしている。
また、彼は小説家でもあるらしく感想を言うついでにたまに下書きや原案状態の小説を持ってきては俺に感想を求めてくることも多々ある。
実際、緋八君の小説は今までの本とは違う斬新さと、それでいて変わらない面白さがあった。本人曰く小説は思った以上に売上がないようで、意外だと思うほどだ。
「今日の噺もめっちゃおもろかったです!
聞いたことない内容やったんですけど、ご自分で?」
「否、少しばかり原作に手を加えた程度だよ
流石に何度も同じ噺じゃあ客も興醒めだろうしね」
「与太郎先生は創作も出来るんやなぁ…」
「大袈裟だよ。緋八君の小説には劣る」
緋八君との雑談はあっという間で、もう一時間が経過してしまっていた。
「ぁ、!先生、今日はここでお暇しますわ」
「おや、随分と早いね」
「いやぁ、原稿の納期が明日までで!
今から時間かけて推敲して提出せぇへんといけないんで!」
「そうかい、新作楽しみにしてるよ」
「ありがとうございますー!」
緋八君は元気良く返事をして、半ば急ぐように楽屋を出ていった。いつもならもう少し話していたところなので時間が余っている。今日はもう家に帰るだけなので暇だ。
「…煙草、吸うか」
思い立ったが吉日。俺は煙草と火付け道具を手に収め、そそくさと楽屋を出た。生憎、ここの寄席は全室禁煙になっているので外で吸うしかない。
かと言って人目についてしまうのも少し憚られたので、寄席を一度出てから裏に回り、誰も来ないような路地裏に来た。
あたりを見回し誰も居ないことを確認すると、煙草の先端に火を着け、ゆっくりと吸い同じようにゆっくりと吐いた。
今日は朝から寄席にいたもんだから、まともに煙草を吸っていなかったことを思い出した。仕事をしっかり終えた後かつずっと我慢していた末の煙草は美味い。
煙草を咥えながら、この後どうするかをぼんやり考えていると、急に後ろからひし、と抱きしめられた。
突然来たその重さに一瞬だけ驚いたが、回されている腕があまりにも見覚えがある袖を身に着けていたのですぐに誰か分かった。
「こら、煙草吸ってるところにくっつくな
危ないじゃないか」
「ん〜…」
俺より何寸か背の大きい彼は、俺が少しばかり叱責しても空返事をするだけで、更には肩に頭をぐりぐりと押し付けてきた。
この男は、名を宇佐美リトと言う。初めて聞いたときは下の名前が片仮名だなんてだいぶハイカラだな、と自分や緋八君の名前を棚に上げて思ったものである。
彼は街の隅で飴屋をしている。その飴がまぁ危ないもので。というか、初めて見たときから怪しく只者ではない雰囲気があったものだから怖かった。自分より身長も体も大きい輩なんて怖がらないほうがおかしい。
それが今やここまでの距離の接触を許し、身体を何度も重ねるような恋仲にまで発展したのだから驚愕だ。当時の俺が聞いたら気が動転したのか?とでも言われそうである。
「…それに、外でのお触りは禁止だと
言ったはずなんだけど」
「いーだろ別に
誰も来ねェよこんなとこ」
彼の見た目や雰囲気もあって、接触しているところを他人に見られると困ると考え決めた規則であったが、文句を言いながらも許してしまう俺も俺だろう。甘いという自覚はある。
「今日、彼奴来たの」
「彼奴…嗚呼、緋八君か。来たよ
まぁ、察せる通り今日はもう帰ったけど」
「…いい加減早く、ウチ来いよ」
どこか拗ねている様子の彼は、更に強く抱きしめてくる。所謂嫉妬なのだろうが、指摘したら何をされるかわからないので言わないでおく。
毎度の如く彼の根城に住処を移すことを提案されるが、そうすれば彼自身の意向で俺はおそらく滅多に表に顔を出すことができなくなる。そうなること自体は構わないのだが、今はせっかく出会った落語家という仕事を懸命に全うしたかった。
「だから、引退まで待てとあれほど言っているだろう?
それに、君だって赤毛の彼とよく会ってるようじゃないか」
「彼奴は情報屋だし。依頼主と情報屋って関係に
それ以上もそれ以下もねェからいいじゃん」
「だったら俺にも当てはまるじゃないか
緋八君は俺の良き客人だよ」
「駄目、俺以外の男が与太と
二人きりでいるとか気が狂っちまう」
「とんだ暴君だね」
駄々をこねる子供の相手をしているようで思わず僅かに笑い声を吹き出す。いつも我儘な一面があるとはいえ、ここまで言われるのは初めてに等しかった。
彼の権力と情報網であれば緋八君の何から何までを調べて接触することはできただろうに、一応俺の友人だからと何も手出しはしないでくれている。この前俺に絡んできた輩はすぐに特定して部下に回収させていたのに、だ。なんだかんだ彼も俺に甘いのだと思う。
ちなみに、俺の言った赤毛の彼とは、情報屋を営んでいる赤城ウェン君のことだ。これまた片仮名のハイカラな名前の持ち主である。
「何、今日はどうしたんだい?
随分と弱々しいじゃないか」
「…今日、ツケ払わねェ奴が別のシマに逃げて
捕まえんのが面倒だった。後、別の奴に手間取って
全然与太に会いに行けなかった」
「全然って、三日前にも会っただろう?」
「俺は毎日顔見てェの」
肩に顔を埋めたまま返答してくる。相当お疲れといった様子だろうか。俺はというとこの程度の接触なぞもう平気になった…なんてことはなく、内心心臓が大きく鳴っているのを感じながらそれをなんとか煙草で誤魔化している。
というか、今はまだ自分の中の”噺屋与太郎”としての態度が残ったままだから内情を抑え込めているという状態である。
彼から甘えられるなんてことは滅多にないのだが、正直こんなにも破壊力があるとは思わなかった。
右手は煙草を持っているのだが、左手は行き場がない。うろうろさせて、結局腹あたりに回されている彼の腕をぽんぽんと軽くあやすように叩いてやった。
そうすると、それをさらなる接触を許す許可と勘違いされたのか、首筋に柔く歯を立てられた。
「っおい、扇子で叩かれたいのかい?」
「ほんと与太は照れ隠し下手くそな」
「五月蝿い、跡付けられちゃあしばらく
外に出られなくなるだろ
着物じゃ首筋なんて隠せたもんじゃない」
「ちェ、残念」
文句を言って精一杯ジタバタと抵抗すれば、渋々といった様子ではあるが離してくれた。
今、今日初めてまともに彼の顔を見たのだが、案の定いつもより少し疲れているというか、暗くなっているように感じた。
まぁ先程言っていたように客が面倒だったのと…意訳だし自意識過剰と言われてしまえばそこまでだが、彼自身寂しかったのではと思う。
確かに最後に会ったのは三日前だったし、お互い時間は取れないからか身体同士の触れ合いというか、情事関連のこともあまり出来ていなかった。
ふと俺は明日以降の予定は何があったか思い起こす。幸いなことに明日は休みであった。というのも新しい噺のネタ探しという名目の本屋巡りのために取ったものだが。
恋人がこんな状態なのを放っておくほど俺は薄情な人間ではない。本屋巡りはまた今度にしておこう。彼が今から俺がすることの意味を理解して乗ってくれるのであれば、明日は足腰なぞ使い物にならなくなる。
「リト君」
俺は彼にそう呼びかける。珍しくばっと上げた顔に驚きの色が見えた。そりゃそうだ、外では絶対に呼ばないようにしていた本名を言ったのだから。
まだ少しばかり残っている煙草を吸うと、そのまま彼の顔に軽くふっと口内に溜まった煙を吹きかけた。その後灰皿に押し付けてそのまま仕舞う。
リト君は煙に少し目を白黒させたが、すぐにはっと何かに気付いたような顔になった。多分分かってくれたのだと思う。
それはそうとして、流石に柄にもなく大胆なことをして顔を赤くしていることまで気づかれたら格好がつかないので、なるべく自然に扇子を開いて口元を隠した。
俺の内情を知ってか知らずか、リト君は深く笑って空いている俺の手を導くように優しく取って、唇を落とした。
「っは、」
「22時に俺ん家。
待ってるからな、テツ」
それだけ言うと、リト君は少しばかりご機嫌そうにその場から去っていった。
俺はと言うと、しばらくぽかんと口を半開きにしたまま動けないままでいた。力が抜けた手から情けなく扇子がぽとりと落ちる。
それを気にもとめずに、俺ははぁぁ゛、と深い溜息をついてしゃがみ込んで熱くなった顔を冷ますように手で覆った。
彼も珍しく外で俺の名を呼んだ。それだけじゃない。左手のある箇所を割れ物を扱うようにさらりと触れた。
そこはリト君が接吻をした場所…左手の薬指だ。
今日は君が甘えてくるから、少しくらい優位に立てるかななんて思っていたのに。
「これじゃあ、いつもと変わらないじゃないか…」
愛おしい人の名前を呼ぶような、それでいてどこか嬉しそうな上ずった声は、言葉を発した主以外に知られることはなく空気に溶けて消えていった。
END.
人物紹介なしです
このお話私がただ単に終盤の内容書きたかったがために
出力されたやつになります
けど、結構気に入ってるんですよね…
自分で言うのもアレですけど、
シャンティrtの「与太」呼び好きです
普段のttと口調が違うからめっちゃ言葉遣い修正に時間かけてしまいました
あと、この世界観なら人物名以外にカタカナをなるべく使わないように、
普段ならひらがななところを漢字にすることも気をつけてましたね
例:「うるさい」→「五月蝿い」
どなたかに刺さっていただければ幸いです…
コメント
6件

すごくすごく続きが見たい! シャンティrtの与太呼び良いですよね!
コメント失礼します! すごく良かったです!シャンティと与太の話少ないのでめちゃくちゃ嬉しいです !良ければなのですが…続きとかってありますかね?あったら読みたいですよろしくお願いします!