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初コメ失礼します、m(_ _)m やばい、感動で涙めっちゃ出てきた😭 ストーリー性まじで大好きです! 最初は白赤のストーリーで桃くんが赤くんから白さんを奪う的なドロドロ系かなぁ、とおもったのですが、ちゃんとした白桃でほんとに癒されました😭 ドロドロ系もいいんですが、こういう感じの奴もやはりいいですね、😭 ほんとに尊敬しますぅ😭 しかも3人の色々な視点から見れたのですごく面白かったです、!
、、ん???? あ、初コメ失礼します! 定期的に桃白供給を求めてるので検索してみたら出てきました! こー、あのー、視点がコロコロ変わって面白かったですし、ストーリーがもうなんか、わぁああって感じでした..(? 応援してます!
いらっしゃいませ〜
足を運んでくださりありがとうございます
それでは本日のおすすめの本の
注意書きをご覧下さい
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
irxs様とは関係ありません
nmmn注意
カクテル言葉
ホスト(やんわり “雰囲気“です。
実際のホストとは違います。)
年齢変更あり
桃 年下 白年上
桃白
赤桃組絡みあり
苦手な人 地雷な方は自衛をお願いします
nmmnという言葉を知らない方は
調べてください。
nmmnのルールは守りましょう。
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
以上になります。
それじゃあ。行ってらっしゃい ~ ♪
部屋を照らしつける明るい照明。
女の子の甲高い黄色い歓声。
グラスを片手に客は好きなお酒を飲み
ホストに煽られ好きなように酔い潰れる。
この店にはそんな客ばかりだ。
夜にだけ営業するお店で 俺は元気に働いていた。
そんな俺が1人の子に恋するまでの物語。
桃side 「初めてのお客様」
桃「今日も頑張ろ…」
そう意気込んで着慣れたスーツに袖を通し
フロアに出ると入口で辺りを見渡している子供の姿が視界に入った。
白「…っ… 」
桃「…迷子ですか?」
白「…っ!」
声を掛けるとびくりと体を震わせた。
桃「驚かせちゃったかな…
俺はないこって言います」
白「はぁ…それじゃあ 」
その子はぺこりとお辞儀をしぴょこぴょこと歩いていく。
─なんか兎みたい…
桃「待って!!」
白「…?」
客じゃない人を追いかけるのは
…なんのメリットもない。
お金を使わない客は客じゃないと
先輩ホストは言っていた。
─けど俺はこの子が気になる。話してみたい。この子のことが知りたい。
桃「お時間あるなら1杯どうですか?
初回だと3000円なので…
貴方と話したいなぁ…って…」
他ホストが指名されシャンパンを貢がれている横で迷子か分からない子供を引き留めている。
─先輩に見られたら笑われるだろうなぁ
桃「誰か探しているから俺も手伝いますよ?少しでも…貴方と話してみたい…です。」
白「…1時間だけなら」
桃「っ、!!ほんとですか!?ありがとうございます!!」
─何となく事情がある子をほっとけない。
気になった子と一緒にお酒を嗜みたい。
白「とはいっても…ホスト来たことないから
お酒のこととか知らへんよ?」
心配そうな表情で椅子の隅っこに座りながら
メニューを見ていた。
─初回の子って反応が初心で可愛いよね。
そう思いながらふふふと笑みを浮かべていると目が合った。
桃「…」
白「ジロジロ見んといて…よ
集中出来ひんやん」
桃「(集中とは?)ごめんね〜
お酒はほんとにどれでも良いよ。迷うならカクテルはどうかな?」
からんと氷の入ったグラスの水を飲み
じっと見つめる。
視線を向けられたことに気付くと足で蹴ってきた。
─お行儀が悪いなぁ〜
白「 カクテル飲んでみたい」
桃「ありがとう〜じゃあ少し待っててね…
俺の席の子にカクテルお願いしていい?
度数は低めにしてあげて」
後ろに居るボーイに注文のカクテルを頼み
席に戻った。
桃「ただいま〜それで…
君は誰を探しにここに来たの?」
入店した時からずっと気になっていた。
ホスト探しとかしてるのかな?
その疑問を消す為にも聞いておきたかった。
白「同居しとる友達探しに…来ただけ… 」
桃「お友達かぁ〜どんな子なの?」
白「えっと…こんな子何やけど…ここで働いてへん? 」
桃「どれどれ…〜?」
桃「…っ」
─えっと…この子は…
見せられた写真には見覚えがあった。
確かにここのお店では働いているけど…
結構な問題児だ。
─どう伝えようかな…
桃「…今は休憩中だけど
(休憩が)終わったらここに呼ぼうか? 」
白「ううん。様子見に来ただけやから
気にせんといて」
問題児ということは伏せて
様子を見るか尋ねると断られた。
白い指でパタンとメニューを閉じ俺に返した。
桃「そっか… 」
「ん?嗚呼。ありがとう 」
注文したカクテルを受け取り席に戻り
青と桃色のお酒が入ったグラスを見せると
青色のお酒の方に興味を示した。
白「なんのお酒?色綺麗〜」
桃「ん?こっち飲みたいの??」
白「うん〜飲みたい〜!」
素直にお酒を渡したい気持ちはあるけど…
キラキラと瞳を輝やかせながら
お酒を欲しいという姿は可愛らしい。
─少し虐めたいかも…
桃「ならっ〜〜!お名前教えてくれる?
君って呼ぶのも姫って呼ぶのも変だから
お名前聞きたいな」
白「ありす…後敬語は要らへんよ」
桃「…」
─…可愛い名前だけど
何処か引っかかる。偽名っぽい?
直ぐに聞いたら怪しまれるし
少しずつ聞き出したらいっか。
桃「…ありすちゃんは普段何してるの?」
白「仕事と家事とか色々…最近は…同居人の子と遊びに行ったりお買い物行ってるよ」
桃「そうなんだぁ〜お出かけ良いなぁ〜
楽しそう〜〜〜!!」
純粋に楽しそうでついついはしゃいでしまう。
羨ましい限りだ。
白「ないこくんはお出かけとかせぇへん
の?」
桃「しないというよりした事がないかも
出勤以外は中に居るから」
出かけた事が無いのは事実。
俺自身外に出ることは好きじゃない。
出かけてもする事も目的もないから。
─友達が居たら違ったんだろうなぁ…
なんて思っても現実は変わらない。
白「年下やのに可哀想な人生送っとるなぁ??」
桃「…ん?年下?」
耳を疑ってしまう言葉に聞き返してしまう。
混乱している俺に楽しそうな笑顔を向けてきた。
白「良く年下に見られがちなんやけど…
多分年上やと思うよ 。
因みにないこくん年齢いくつなん??」
桃「…二十一」
白「嗚呼。やっぱり年下やな… 安心した」
─何に対してだろう?
白「ないこくん大人っぽいし
間違ってたら どないしよって思って…」
桃「嗚呼。確かに…?」
年上に見られる事はよくある事だ。
容姿だったり声だったりで言われてしまう。
─俺としては嫌だな。
老け顔だと思われてると思うと悲しかった。
白「そういえばこのお酒なんなん?名前知りたいから教えてぇや!」
桃「それはブルームーンですよ。
色が綺麗で可愛いよね〜」
ブルームーンは 甘いスミレの花の香りと
レモンの酸味が特徴的。
アルコール度数は二十四前後と
やや高めのお酒。
俺のは比較的に飲みやすいカルーアミルク。
味はカフェオレに似ている。
アルコール度数は三%くらいの度数の低いお酒。
白「そんな名前なんやぁ…知らへんかった」
桃「度数もかなり強いけど…大丈夫??
お酒強いの…??」
白「らいちょーぶらいちょーぶ ~ ♪
おさけつ、よいからいけるいける」
─酔ってる。かなり酔ってる…
お酒に詳しくない子に 選ばせた俺が悪い。
反応が鈍く呂律が回っていない。
一杯だけでも人によっては
急性アルコール中毒になりやすい。
桃「お酒はこのぐらいにしてもう帰りますか?俺も仕事終わりですから…」
白「あってないから まちたい…」
桃「後で会えますから…取り敢えずお店出ますよ…」
自然とお客さんに触れてしまうけど
他意はない。
─あいつももう少しで 終わりだから鉢合わせるかも…
鉢合わせは避けたい。
桃「…4番テーブルお客様帰りま〜す
支払いは俺がするから…お客様寝ちゃったから介抱するつもり…うん。他意はないから
オーナーにも事情話して早めに上がらせて貰うつもり…」
事情をそれとなく説明し着替えるために
控え室に行こうと歩く。
かっかっかと靴の音が心地よかった。
五月蝿いフロアの筈なのに
靴の音が聞こえるなんて変な話。
桃「て思ったけど…この子どうしよ…」
お客様を控え室で寝かせて 置く訳にはいかない。
─どうしよう
カツンとヒールの音が鳴り反射的に振り返る。
遠目でも分かるくらいの 綺麗さがある人 。
ふわりと浮かべる笑顔に胸が高鳴った。
「良かったら私が様子見ましょうか??
もうすぐ上がりなので
着替え終わるの待ちますよ。」
桃「…ご冗談を…良してくださいよ。
貴方はうちの“NO.1“なんですから
NO.1の自覚を持ってください!」
俺が怒ると嬉しそうに笑った。
人懐っこい笑顔だ。
「あはは〜持ってますよ〜
けどNO.1はあくまでお仕事中だけです。
今の私は何処にでもいる普通の子ですよ?」
桃「俺が着替えながら見ていたら良いんですよ …ほら!!大丈夫ですよね???」
着替えたら直ぐに出ていくと
言いネクタイを外す。
納得がいかないのか隣に並んだ。
「…私も着替えようかな
…隣で着替えるけど見ないでね〜」
桃「見ませんよ〜俺も着替え中ですから」
「なら良いけど…っとメイクも落とさないと…ないくん着替えたらウイッグ外すの手伝ってくれる??」
化粧に気をつけながら衣服を脱ぎ
慣れた手つきで化粧を落としていく。
「…化粧落とせたぁ〜 ないくんウイッグお願い」
桃「…分かった」
ウイッグのピンを外すと
鮮やかな赤色の髪が顔を出した。
瞳は桃色。髪も赤色と赤系統の
色合いが似合っていた。
桜色の唇も爪も輝きがある。
カラーコンタクトを取ると髪に負けない
鮮やかな赤色の瞳が見えた。
赤「ありがと〜助かったぁ〜 」
桃「どういたしまして」
嬉しそうに、 にこりと微笑む。
メイクを落としても
可愛らしい中性的な容姿。
その魅力に誰もが惹き付けられる。
誰が何と言おうとこの人は
NO.1ホストでありホステスなんだ 。
赤「今日も沢山お酒飲めて楽しかった〜
今日はね〜ドンペリとモエシャンとリシャール入れて貰えたんだぁ〜」
桃「え、それ全部飲んだの…!?」
サラリと今日貢がれた分の 酒の名前を聞いて驚いた。
赤「ううん。りうらは少しだけ飲んで
後はお客様とヘルプが飲んだよ?」
桃「なら良かった。 りうらお酒弱いから
…心配してた。 今は気分悪くない?」
顔を覗くとほんのり頬が赤かった。
少しだけ飲んだと言っていたが 体が火照っていた。
お酒好きのりうらには
この仕事は楽しくて大好きな仕事。
─こうやって自慢してる姿も可愛くて
イラッと来ない…のもりうらの魅力かな
赤「まだ 酔ってないよ…また飲み直すから」
桃「今日は辞めておいた方が良いんじゃない?りうら“肝臓“の健康診断引っかかったよね?」
赤「うっ…やだぁぁ。聞きたくない…」
耳を抑えもう聞きたくないと呟いた。
子供らしい抵抗に口角が上がる。
─ほんとここの客も ホストも可愛いから…虐めたくなるなぁ ~ ♪
無防備な笑顔も仕草も子供っぽい。
童顔とまではいかないが雰囲気が幼い。
─ 二十なんてまだまだ子供っぽい年齢か。
二十一の男が言うのも変な話かもしれないけどりうらは幼い。
桃「肝臓の為にもお酒は辞めて帰ろう〜
禁酒頑張るんでしょ?」
赤「う、ん頑張る…けどぉ…お酒…」
桃「駄目だから…アルコール依存症にもなったら洒落にならないから…りうら帰るよ」
赤「やだぁぁぁ…帰らなぃぃぃぃ!!」
酔ってるのか子供らしく駄々をこねる。
りうらは酔うと泣き上戸になる。
悲しくもないのに瞳から涙を流し手で拭う。
桃「帰るよ。りうら泣かないの〜俺が居るから大丈夫だよ。禁酒も付き合うから帰ろう?」
優しく宥め手を差し伸べると
弱い力で握り返された。
赤「うん。帰る…」
桃「良い子だね〜よしよし」
綺麗にセットされた髪を崩さないように
優しく頭を撫でた。
赤「…んなのしたら…識するよ…」
桃「…?何が?荷物持ったなら帰ろう。歩けないなら俺の肩掴んで良いからね。」
赤「う、んありがとう。初兎ちゃんも連れて帰らないとだし…初兎ちゃん帰ろう」
ゆさゆさと体を揺すり優しく起こす。
声だけでは起きないと分かるとぎこちない手つきで頭を撫でた。
白「…おは、よ、っ……」
目を覚ますりうらに驚いて体を震わせた。
その異常さに俺は戸惑ったがりうらは何処か楽しそうに話し出した。
赤「約束破ってこんな所来て〜悪い子だね〜??初兎ちゃん」
白「…ごめ、…心配で、…」
声が上ずり酔っているりうらとは
対照的に声は低い。
りうらに怯えていた。
赤「心配要らないってりうらは言ったよぉ?約束は守ろうね〜??っ、く」
桃「あ〜泣かない泣かないの…よしよし」
赤「…と、にかく!!りうらは心配される歳じゃないし…初兎ちゃんは過保護過ぎ…」
白「…同居人や、から…心配はするよ…」
怯えた表情で震える唇で言葉を紡ぐ。
白「勝手に来てごめん…なさい 」
桃「…心配な気持ちも分かるよ。だから
2人ともまずは帰ろう。そもそもここで話す事じゃないよね?迷惑かかるから帰ろう」
再度帰ろうと強く言い控え室を開けた。
二人の声が五月蝿かったのか
フロアはザワついていた。
事情を話す為謝罪と共にボーイに話しかけた。
「うん。五月蝿くてごめん。お客様も不安に思ったよね…ごめんだけど君はヘルプと
お客様のケアをお願いしていい?」
謝罪を終え二人の元に戻った。
桃「ほら酔っ払い二人共帰るよ。」
赤「ん〜帰ろぉぉ…」
白「…ひっ、く…帰る…」
二人の手を引いてフロアを横切る。
常連さんにはりうらが
ホステスとホストのことを知っている。
逆に初回の子はホステスとホストのりうらを知らないから騙される。
─初回の子はりうらにとっての金づる。
本人曰く騙される奴が悪いことのこと。
桃side「独占したい。」
桃「りうら着いたよ。鍵持ってる?開けれそう??」
赤「…っ、ある。あけるからぁ
…少し待ってて…」
白「あ、開けるから少し待ってて…」
「開いたよ…中どうぞ」
桃「失礼しま〜す」
りうらの代わりに鍵を開け部屋に入り
タオルと毛布を持って リビングに戻って来た。
白「りうら…拭くからおいで …涎塗れやから」
赤「っ、いらない…おふろ入るから大丈夫… 」
りうらは手を振り払い涙をこぼす。
ふらつく足で歩こうとする。
白「勝手に拭くから怒らんといてな
ないこくんりうらを抑えといてくれへん?」
桃「…今のりうらは抑えたら暴れると思うよ??俺が拭くよ。」
白「んっ…じゃあお願い」
タオルを受け取りりうらに近づき
しゃがみ込んで視線の高さを合わせた。
赤「…っないく、ん??なぁに…?」
桃「拭くからね…口閉じて顔近づけて」
赤「ん〜!! 」
素直に従うりうらが可愛くて頭を撫でる。
─この可愛さもきっと弟としてのなんだよな。
赤「(…こんな姿見られたくない…涎塗れなのに…)」
桃「沢山泣いて疲れたね…お疲れ様。 」
赤「…んぅ。ないくんの為に頑張ったのぉ〜もっと褒めて〜〜!」
頬擦りをして嬉しそうに笑うりうら。
本当に甘えんぼうだなぁ。
涙を拭き終わり距離取った。
そろそろ帰ろうと思って離れた。
赤「…!!は、なれないで!」
桃「…ん。離れないから。大丈夫だよ 」
赤「…っ、うん…離れないで」
─余っ程疲れたんだろうなぁ。
今俺に出来るをしよう。
桃「…初兎ちゃんだよ、ね?
ないこって言います。」
初兎ちゃんに向き直り再び自己紹介をした。
泣きそうな表情の初兎ちゃんに触れた。
白「…!!」
桃「また驚かせた、ね…。 」
頬に触れ顔を覗き込む。
落ち着いた紫色の瞳が揺れた。
落ち着いたのか泣き出す。
桃「俺のとこ来る??可愛がってあげるよ?悪いようにはしない。」
白「…っ、」
りうらに怯えているなら逃げれるように
俺はどう?と提案した。
─年上の面倒を見るのは初めてだけど…
頑張る…
白「勘違いしとったらごめんなんやけど…
僕男…やから…可愛がるのは違うか、も…」
桃「女の子以外にも可愛がるは
使うと思うよ〜男なのは知らなかったけど…」
─だとしたら…ありすは苗字かな?
初兎ちゃんって呼ばれていた。
『初兎』の方が本名っぽい。
桃「初兎ちゃん可愛いから…面倒見るよ?
俺の所に来てよ。」
白「…僕にはりうらが居る。
泣き虫なりうらを放って置けない。」
─強引に行動しない限り頷いてくれない。
怯える相手より俺を見てほしい。
深い黒い感情が胸の中を占めている。
罪深い感情だって…欲望だって…。
頭では理解出来る。
─だけど…
桃「…初兎ちゃんが欲しい
りうらより俺を選んで…よ…!!!!」
言った。言ってしまった。
心の中で隠していた感情を。
白「…ど、うして??僕 ら今夜が初対面やん。」
桃「分かんないよ。」
白「…僕は魅力的な人やない…し…
こんな格好しとる僕でも…欲しいって言える???」
被っていたフードを下ろし 上着のチャックと
ズボンを脱いだ。
白「…僕は…こんな格好するのが好きなんよ 」
桃「…」
上着の下から現れたのは漆黒のバニー服。
艶っぽいサテンの生地にふわふわの耳。
足から覗く網タイツも
白い肌の彼に良く似合っていた。
白「…バレるかバレへんか楽しむのが好き…だか、ら…って聞いとる? 」
桃「バニー服とか初めて見て驚いて… 可愛いね。似合ってる。」
驚いたのは事実。
─可愛い。守りたいなぁ。
愛おしいさと庇護欲の方が勝った。
桃「自分の意志で着たの?それとも
…りうらのお願い??」
こんな格好が好きって言っていたけど…
顔が引き攣ってる。
桃「本音がどうであれ…俺は初兎ちゃんが
欲しい。… 初兎ちゃんの辛いことしんどいこと全部守りたい。俺に全部守られてよ。 」
胸の内を話すと力無く笑ってしまう。
安堵と恐怖。
安堵は気持ちを言えたから。
恐怖は拒絶されること。
それが一番怖い。
白「僕居るだけで迷惑かけるし…
年上の僕よりないこくんには もっと素敵な人が…」
桃「居ないよ。俺は初兎ちゃんが良い。 」
─同年代の子も年下の子も
年上の子も興味ない。 好きになれない。
桃「俺は初兎ちゃんだから 好きになったの…!!」
白「りうら起きるから…それと五月蝿い」
桃「すみません。」
怒られてしまった。
─バニー服姿の人に怒られても
ちっとも怖くないけど…
白「告白は嬉しいけど…ないこくん酔っとるやろ…酔いが覚めてから話そうや」
桃「酔ってないから!!ほんとに好きなのぉぉ!!」
白「あーはいはい。水持ってくるから
そこ座っとり。」
赤side「お節介な人」
赤「…あ〜頭痛っ…何時間寝てたんだろ…」
白「りうらおはよう…良く寝とったね。」
赤「…水持ってきたの…
初兎ちゃんの世話焼き。お節介。」
短く早口で罵る。
─ほんとにお節介。
仕事場まで来なくて良いのに。もう。
赤「…いつもありがとう。」
白「こちらこそありがとう。 お仕事お疲れ様。」
嬉しそうに微笑み何も言わずに隣に座る。
指定した服装も守る従順な子。
素直で可愛い年上の人。
赤「きがえないのぉ??
きゅうくつでしょ…そ、れ〜」
初兎ちゃんの膝に寝転がり瞳を覗いた。
白「…水飲める?気分悪くない??
服緩めよか??」
赤「…だいじょうぶだよぉ〜〜
しょうちゃんのほうがくるしいでしょ?
きがえてお…」
眠気がする。
初兎ちゃんの膝の上で意識を失った。
白「…寝ちゃった。もう…甘えんぼうなんやからりうらは…」
頭に手が触れる感触がする。
暖かくて優しくて落ち着く。
白「…この格好は…趣味悪いと思うけどなぁ…」
白side「悪戯っ子」
白「…着替え…着替え…」
部屋に戻りバニー服を脱ぎ畳む。
どんな服を着ようか。
─ないこくんも居るし
オーバーサイズの服はだらしないよな。
白「りうらに貰った服は……露出度高いし…
シャツにしようかな…」
綺麗めなシャツを取り出し袖を通す。
ボタンを1つずつ丁寧に留め着替えを済ます。
白「ズボン履くのは…嫌やし…履かんとこ」
そこまで緩くないシャツだけど
少し…丈感が長いくらい。
─ないこくんに可愛いって言われるかなぁ…
ふと頭に過ぎった考えに驚いてしまう。
白「…ないこくんに可愛いって
…言われた…いって…」
─これじゃあ意識しとるみたいやん。
白「やっぱりこのシャツ辞めよ。」
タンスから着慣れたパーカーを取り出す。
桃「着ないの?可愛いのに〜」
白「…!!な、ないこくん…!?」
桃「…居ないから寂しくて…探しに来たのぉ〜寂しかったから抱き締めて良い?」
腕を広げとろんとした瞳で僕を見る。
無邪気に僕を見て笑う。
─良い子なのは分かるけど…
白「スキンシップの取り方可笑しない?? 」
桃「…可笑しいかな…?」
白「可笑しいよ。ノックも無しに
部屋に入って来んといて!!」
─可愛くない。僕は可愛くない。
突き放す言い方をしても
ないこくんは寂しそうに笑う。
桃「ごめんね。」
白「もうええよ。リビングにりうら居るから
一緒に戻ろ!!」
ないこくんの手を引きドアノブを掴む。
酔っ払いの二人を介抱するのが今出来ること。
桃「やだ。もう少しだけ二人きりが良い。」
白「…!!」
後ろから抱き締められ ドアノブから手を離す。
─握られた手が熱い。
桃「初兎ちゃん小さいね〜」
白「…小さないから!身長だってもっと伸びる…」
桃「じゃあ…いつか俺の身長抜かしてね〜
待ってるから。」
白「…」
パタンと扉が閉まる音が聞こえた。
白「……急に抱きしめるんは無しやろ…」
─嗚呼。顔真っ赤やん。ないこくんには悪いけど…暫く戻れそうに無い。
桃side「可愛いのは君だけ」
桃「りうらぁ…お水飲もう〜〜〜ねぇ〜〜」
赤「…んぁに?…!な、ないくん…おはよう 」
桃「お水飲も…隣座って良い?」
赤「うん。良いよ。」
隣に座りペットボトルの
キャップを外し水を飲む。
桃「…お酒弱くなってて驚いたなぁ… 」
ホストとしてまだまだ未熟者。
先輩のりうらを見ながら
お客様との会話の仕方を変えたりもした。
─努力しよう
赤「ないくんは凄いよ!!最近は
指名多いしお酒が弱いのも慣れれば飲めると思うから…そんなに…気にしないで…良いと思うよ…」
桃「んぅ…そうかなぁ??」
褒められるの嬉しい。
先輩に褒められて…嬉しくない後輩は居ない。
桃「りうらの方が凄いもん!! 最近はドレスもメイクも… 可愛いし!!…女の子って… 間違っちゃうと思うよ」
赤「そ、そっか…嬉しい。」
桃「頑張るのも良い事だけど…お酒の飲みすぎは駄目だよ。そろそろ水飲もうね?」
ペットボトルのキャップを外し
りうらに手渡した。
赤「…ありがとぅ。ないくん膝貸して…眠、い…」
桃「んっ…?おやすみ。りうら」
赤「…んっ…ぅ…っ…」
安心しきった寝顔。
頼れる兄として甘えてくれてる。
普段の猫かぶりで疲れるみたいですやすやと寝ている。
桃「初兎ちゃんまだ部屋かな?」
時計を確認すると長針は
深夜二時を指し示していた。
─そろそろ帰りたいけど
…りうらが寝てるから動けない。
白「帰るの???」
桃「初兎ちゃん!!」
帰ろうとソファを立とうとすると
初兎ちゃんがリビングに入ってきた。
メイド服も似合っている。
─普通の服持ってないんだろうなぁ。
白「帰るなら駅まで送ってこか?
上着あるから来て帰り。りうらぁ
…ないこくん帰るから…起きぃや。」
赤「…泊まったら…良いのに…駄目なの?」
首を傾げ駄々をこねるりうら。
彼の子供っぽい所で大切な弟みたいな先輩。
─けど素はこんなに可愛いんだよね
桃「迷惑だから帰るよ。
初兎ちゃん駅までお願いして良い? 」
白「ええよ。行こう〜りうらぁお留守番出来る?」
赤「…りうらも行、く!待って
… 荷物取ってくる…!」
慌ただしい足音を出し
りうらは荷物を取りに部屋に向かった。
荷物を取ると嬉しそうに
リビングに戻って来た。
赤「行こう〜…ないくん腕組んで良い?
酔っててふらつくから…良い??」
桃「……うん。無理は駄目だよ。」
赤「うん!!大丈夫〜!!」
大丈夫と返事をするとりうらは腕を組んだ。
緩い拘束。
俺より細い腕。
愛おしい感情に思わずにやけてしまう。
桃「っ、…可愛い」
赤「可愛い〜??初兎ちゃんよりも??」
─なんで初兎ちゃんと比べるんだろう?
負けず嫌いな彼の事だから
可愛さでも負けたくないのだろう。
桃「そだ、ね…りう、らは可愛いよ
自信持って」
赤「…そ、だね…ん。」
白「…僕は?」
フリフリのスカートをひらひらと揺らし
嬉しそうに微笑む。
桃「っ!!…可愛いで、す…」
白「ほんま!!?やった!!
すっごい嬉しい ~ 」
服装を褒めると嬉しそうに笑った。
チラリと見える舌ピアスにドキッとする。
─舌ピしてるの…!?可愛い…〜
桃「可愛い初兎ちゃんが好き!! 」
白「…!!やから…急はだ、め…驚くやん…」
また困らせてしまった。
困ったように笑う初兎ちゃん。
こういう大人びている所が年上だなと
再認識する。
白「…ないこくんの為に着たから
…沢山見て欲しいな…あ、触るのは辞めてな。 」
桃「“服“には触らないから…腕組もう?
メイドさん?」
白「違う!!メイドじゃないから!
直ぐ調子乗る… 」
困る初兎ちゃんが好き。
怒る初兎ちゃんが好き。
初めての感情で戸惑ってしまうけど
目を背けず真っ直ぐ見つめる。
─今度は目を見て…伝えよう。
初対面は目を見ずに告白して驚かせてしまった。
その反省を活かし歩みを止め初兎ちゃんの手を掴んだ。
あの時掴んだ小さくて柔らかい手だ。
桃「調子乗るのも…虐めるのも全部…
初兎ちゃんだけだよ…」
白「…う、ん…嬉しい。」
外で非常識な告白。
周りの人が歩みを止め俺達を見つめる。
─野次馬が多いなぁ…
桃「…ずっと傍に居て」
唇を重ねると初兎ちゃんは
握った手を振り払おうとする。
でも今は今だけは…振り払わないで欲しい。
桃「振ったら…一生慰めてね??」
白「…んっ!!…ぅ…」
再び唇を重ねると苦しいのか涙を流す。
体が震える初兎ちゃんをそっと抱きしめる。
─逃げないで。お願いだから。
桃「好きだよ。初兎ちゃんが好き」
白「分かったから!ほら駅着いたから
さっさと帰れ!!」
強引に手を振り払い。
背中をグイグイ抑される。
桃「やだぁぁ…初兎ちゃん持って帰りたい。」
白「引っ張んな!!帰るから…!」
桃「何処に帰るの??」
白「り、うらと…帰る。」
桃「…俺は?」
呆れた表情で告白の返事も聞かず
さっさと帰れと目で訴えられた。
白「…なら泊まっていい?」
桃「勿論。りうらと三人でしょ??」
眠そうに抱き着くりうらの頭を撫で
初兎ちゃんに微笑む。
─りうらと初兎ちゃんの面倒も見たい。
年上にそう思うのは失礼かな?
でも可愛いからいっか。
白「……っ、…いこくんと…二人きりやと思った、のに…でもりうら一人に出来ひんし
…仕方ないか」
桃「初兎ちゃん?」
下を向きぶつぶつとなにか呟いている。
照れ隠しなのか目を逸らす。
白「ううん…何でもない。
ないこくんのお家楽しみ…やから…行こう」
桃「!勿論。ベッドは一緒だから
…覚悟しといて…??」
耳元で囁き耳を撫でた。
目が合うと見る見る内に耳が真っ赤になった。
白「…い、や…ないこく、ん…
まだ心の準備出来てない… 」
桃「?なんの事〜〜??“添い寝“は嫌?」
白「…っ、恥ずかしい…から
…りうらと一緒なら…」
─恥ずかしいなら素直に恥ずかしいって
言ったら良いのに。
年下らしく駄々をこねてお願いしよう。
桃「やだ〜初兎ちゃんと二人きりが良い…
何もしないとは言えないけど…
…嫌か、な??」
白「取り敢えず電車乗ろ??
話はそれからやから …」
桃「…はぁ〜い」
白side「お泊まり」
白「…」
─ないこくんとお泊まりか…
他意は無いのは…分かっとるし
りうらも居るから手は出されないと思う。
甘えんぼうで時々駄々をこねる年下の男の人。
嬉しそうに手を繋ぎ目が合うと
優しく八重歯を見せ微笑む。
桃「…なぁに?」
白「何でも無いよ…」
会話はそこで終わり何駅も乗り過ごす。
電車のアナウンスを 聴きながら電車に揺られる。
隣を見るとないこくんが居る。
ホストと一般人。
離れているのに握った手は暖かくこんなにも…距離が近い。
─でも生きてる世界が違う。
ホストにはその世界の人がお似合いよな。
「叶わない恋」なんてするのはつらい。
でも諦めたくない。
─ないこくんを諦めたくない。
桃「初兎ちゃん降りよ」
白「うん。」
隣に居るりうらを起こし電車を降り
ないこくんの家に向かった。
桃「もう…朝だけど…夜ご飯食べる? 」
白「うん。食べたい!!
あ、でもないこくん…仕事じゃない??」
桃「仕事じゃないよ。
今日はりうらと一緒でお休み」
白「そ、そっか…」
お泊まりも他人の家に上がるのも
これが初めて。
脈打つ心臓の音が五月蝿い。
─ないこくんの手料理楽しみやな。
赤「…!!?もう朝?!」
白「りうらおはよう…よう寝とったなぁ〜」
赤「うん。昨日はお酒飲みすぎたから…
初兎ちゃんおはよう」
桃「りうらおはよう〜
今からご飯作るけど何食べたい??」
冷蔵庫の中を確認し何を作ろう か
頭の中で考えるないこくん。
─考えとる姿も可愛い……
赤「ないくんが作るなら何でもいいよ 」
白「僕も何でもいいよ 」
桃「了解 ~ ♪」
僕とりうらの返答を聞くと
満足そうに鼻歌を歌いながら手を動かす。
とんとんとんと規則的に
聞こえる音が心地よい。
桃「…口に合ったら…良いんだけど…」
おずおずと食器を持ってテーブルに置く 。
栄養バランスを考慮して
彩りが良い料理ばかりだ。
白「トマトパスタと南瓜スープと
シーザーサラダ…って洒落とんなぁ…」
桃「そうかな??多いなら言ってね。 」
赤「美味しそう〜食べていい? 」
目を輝かせりうらはないこくんを見つめる。
その顔は小さな子が強請る時の姿に少し似てるかもしれない。
桃「手と手を合わせて?いただきます」
食事の挨拶をし各々食事を口に運ぶ。
白「…っ、…美味しい…」
桃「ほんと??お口に合って良かったぁ…」
安堵するないこくんを横に僕は照れてしまう。
─料理も出来るとか…絶対モテるやろなぁ…
南瓜スープは南瓜本来の優しい甘みと
牛乳の 爽やかな味わいがして美味しかった。
サラダもチーズと野菜の食感と
手作りドレッシングが美味しくて
パクパク食べてしまう。
赤「ないくん料理上手だね〜
パスタも凄く美味しいよ」
桃「えへへ〜それ程でも…」
りうらが褒めると照れくさそうに笑う。
ないこくんは良く笑う。
職業柄人と話して笑うのが癖なのだろうか。
白「…ほんまや…このパスタ凄い美味しい…」
桃「なら作った甲斐があったかも…〜?」
─馬鹿にしてた訳や無いけど
…凄く美味しい。
フレッシュなトマトの甘みと酸味がにんにくと唐辛子とよく合っていた。
辛さを和らげる為か生クリームで合えられた自家製パスタとの相性が良かった。
どの料理も細かい工夫があって
食べる人を思う料理ばかりだ。
白赤「ご馳走様!!」
桃「お粗末様です」
会話しながら食べると
あっという間食べ終わってしまった 。
桃「食器は俺が洗うから二人は寛いでてね。お風呂も沸いてるから入るなら入っておいで」
三人分の食器を持ちキッチンから水の音が聞こえた。
生活音がする度に…心拍数が上昇した。
─ないこくんの匂い…する…
近くのクッションを抱く と
ふわりと柔軟剤の匂いがした。
匂いフェチじゃないけど…頬が緩む。
赤「…初兎ちゃん…りうら出かけてくるからないくんと二人きりになるけど…大丈夫? 」
白「あ、え…う、うん!!お出かけ行ってらっしゃい」
タイミングを見計らってかりうらに話しかけられた。
突然の事で声が裏返ってしまった。
赤「夕方には帰ってくるから…ね
初兎ちゃん」
白「…う、ん。分かった。ないこくんに伝えるね…」
耳元で囁かれると逆らえない。
─りうらの声にドキッとして…るんかな。
赤「じゃあ行ってくるね」
白「行ってらっしゃい」
笑顔でそう言いりうらは
部屋を出て玄関に向かった。
桃「あ、れ…りうらは?」
白「お出かけ。多分化粧道具とか
買いに行ったんやと思うよ」
新作コスメの発売日だから
買いに行ったんかな。
桃「なら初兎ちゃんに沢山甘えられるね〜
初兎ちゃんお風呂入ろっか??勿論一緒に」
白「…どうせ僕に拒否権無いやろ?」
桃「えへへバレた?」
白「バレへんと思うのが不思議やわ…」
着替えとタオルを手に持ち風呂場に入り
背中合わせに衣服を脱ぐ。
桃「初兎ちゃん肌白いねぇ…つるつる…
どうやってケアしてるの??」
背中をなぞられるだけで体が跳ね上がった。
白「普通に…ボディクリームと化粧水塗っとるくらいやけど…ないこくんのが若いからつるつるやろ?」
背中を撫でる手を握り後ろを振り返る。
キョトンとした表情のないこくんと目が合う。
桃「…えっち…」
白「ご、ごめん…」
桃「初兎ちゃんの体見るから大丈夫だよ
気にしないで。」
─どこが大丈夫なんやろ。
スキンシップが多い彼に隙を見せない方が良さそうだ。
桃「初兎ちゃん体洗ってあげるから
ここ座って〜」
白「え、頭から洗わへんの?」
桃「体からじゃないの?」
どっちでもいい気はするけど… ないこくんは体から洗うことを 譲る気はないようだ。
─年上の僕が意見曲げた方が喧嘩せんで済むな。
白「優しく体洗ってくれる??髪は自分で
洗うから」
桃「!!優しく洗うね〜」
花が咲いたように笑う表情にドキッとした。
─ギャップあり過ぎやろ…
桃「初兎ちゃんって…年上派?年下派??」
白「……同い年派かな…あと世話焼きたくなる年下の子かなぁ…」
体を洗われてる最中にタイプを聞かれた。
それとなく返答し会話を終わらせる。
桃「…っ、♡」
白「ひっ、ぅ…!!
ないこくん遊ばんといて…!!」
首筋に唇が当たり顔が熱くなる。
入って数分なのにのぼせてる感覚だ。
桃「あはは…驚いた初兎ちゃん可愛い〜
遊んでないよ」
白「…嘘ばっかり…」
桃「嘘じゃないよ…初兎ちゃんに
返事貰うまで甘えてるだけ〜」
手の甲に唇が触れ思わず振り払いそうになった。
唇は直ぐに離れたので頬を叩く事は叶わなかった。
桃「背中は終わり。次は前洗うね
初兎ちゃん良い?」
白「…っ、う、ん」
体の隅々まで洗うつもりらしく
タオルで優しく体をなぞる。
優しい手付きでほっとしてしまう。
桃「色々ちっさくて可愛いね〜」
白「…っ、、こんの変態!!」
桃「怒らないでよぉ〜!!
じろじろ見てないから…安心して!!」
遊ばれながらも体を洗い終わり
シャワーで流される。
これで遊びから解放されると思っていた。
桃「次は髪洗おうか…目瞑っててね」
白「う、ん。」
素直に目を瞑り髪の毛を洗われる。
まずは手櫛で髪の毛全体を
梳かし汚れや埃を落とす。
桃「髪の毛サラサラじゃないんだね〜
お手入れちゃんとしてる?」
白「…しとるよ…」
髪の毛が硬いのは髪質の問題。
─人に髪の毛触られるの何時ぶりやろ…
桃「シャンプー付けますから
口開けたら泡入りますからね〜」
シャンプーを手に着け髪を 撫でながら
頭を洗われる。
彼のテリトリーだから逃げ場は無い。
だから仕方なく洗われているだけだ。
桃「素直に従って可愛い〜」
白「…別に仕方なくやから!!」
従順にする気は1mmも無い。
誰かに従うなんて嫌だ。
─ 傷付けたくないから 従っとるだけや。
僕は笑っている ないこくんしか見たことが無い。
そんな僕が彼に逆らって良いのだろうか。
素直に笑ってる人には笑顔でいて欲しい。
ないこくんを泣かせたくない。
桃「初兎ちゃん好きだよ。待てするから
返事聞かせてね」
白「うん。待っといて…ちゃんと返すから」
話していると時間はあっという間だ。
髪の毛を洗い終わり湯船に浸かる。
桃「初兎ちゃん隅っこじゃなくて俺の所においで」
白「…やだ、!」
桃「まだ恥ずかしがってるの〜?
お互いの裸見た中なのにぃ〜?? 」
白「嫌!!」
ぱちゃんと水飛沫をあげないこくんに引き寄せられた。
背中を預ける体勢にドキッとしてしまう。
─墜ちてる訳やない…
ないこくんのフェロモンとか色気のせいや。
桃「嫌って言われたら虐めたくなっちゃう。怒ってるのも照れてるのも可愛い〜ね 」
白「…もうあがる…からは、なせ!! 」
後ろを振り向きペチンと頬を叩く。
叩いた手が震えていた。
傷付いたないこくんの表情を見たくなくて
逃げるようにお風呂場を後にした 。
桃「…困らせてばかりだなぁ。」
桃side「抱きしめて良いですか?」
パジャマに袖を通しぽたぽたと
髪から水滴が垂れる。
叩かれた頬が痛い。
叩いたのは好きな人。
なのに…傷付いた表情をしていた。
桃「…謝ろう。」
─素直に謝って仲直りがしたい。
謝った後は告白の返事を聞くだけ。
桃「初兎ちゃんお風呂上がったよ〜?
初兎ちゃん〜??」
名前を呼んでも返事が無い。
何処かに出かけたのだろうか。
辺りを見渡し初兎ちゃんの姿を探した。
桃「初兎ちゃん…さっきはごめんね…」
白「…」
ソファの隅っこで蹲る初兎ちゃんに
謝罪をした。
許して欲しいなんて口が裂けても言えない。
桃「初兎ちゃんの嫌がる事ばかりして
嫌われてると思うけど
俺は…初兎ちゃんが好き」
返事は無かったけど代わりに
ピクリと肩が揺れた。
桃「好きだよ。好き」
髪に手を伸ばし髪に唇を押し付けた。
触れられる事を許して欲しかった。
許しを乞うように肌に触れた。
桃「キスもハグも …全部初兎ちゃんとしたい。好きだよ」
言葉を紡ぐ度ぽたぽたと滴が瞳から溢れた。
震える声で何度も好きと口にする。
桃「…好きです。
嫌なこと沢山してごめんなさい!!」
白「…っ…んなの…狡いよ!!」
突然の怒声に驚き口を閉じた。
初兎ちゃんの瞳には涙が零れていた。
沢山泣いて服にぐっしょりと染み付いていた。
─俺は初兎ちゃんを傷付けてばかりだ。
一方的な行動は初兎ちゃんを傷つけた。
だからこの恋は実らない。
白「突然会ったばかりやのに告白するし
触ってくるし…キスもされて
こっちは…!!」
嗚咽を漏らしながら初兎ちゃん は
俺を真っ直ぐ見つめ口を開く。
白「心臓もたへんよ…ないこくん…のこと
意識して…照れてばかりで
…全然年上らしい振る舞い出来てへん…」
桃「初兎ちゃ…!!」
強引に引き寄せられお互いの唇が触れた。
苦しくて涙の味がした。
濡れた瞳が綺麗で…見惚れてしまう。
白「僕の事…買ってください 」
桃「…?」
疑問に思うと初兎ちゃんはまた口を開く。
間違えたと表情で訴え涙を拭う。
白「好き…不束者やけど
…よろしくお願いします!!」
桃「こちらこそよろしくお願いします♡」
唇を重ねすぐ離した。
今度はちゃんと嫌がらないように…。
桃「抱き締めても良いですか??」
白「ん!!おいで〜」
腕を広げ甘えた声で呼ばれる。
─可愛い。
桃「後悔はさせないから… 俺の手を取って出会ってくれてありがとう〜」
白「…僕も出会えて良かった〜」
慣れない手つきで抱き締め返してくれた。
弱い力。細い腕なのに…何処か力強い。
─変な話。
桃「添い寝はまだ早いかな〜??」
白「…早いからおわずけ」
唇に手を当てられ頭を撫でられた。
白「良い子やから。待てしてよ。ないこくん」
桃「嫌だ。待て出来ない〜」
体を抱き上げベットに寝転がる。
桃「大好きだよ〜 」
白「…う、ん。」
照れながらも初兎ちゃんは
手を握って隣に居てくれる。
大切で離せない人。
そんなお客様に俺は出会って
恋に墜ちてしまった。
𝑒𝑛𝑑
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