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「はぁ〜…あ」
大きなあくびをしながら駅に降り立つ流来(るうら)。
夜中も絵の構想を考えていたり、ちょっと絵の具をいじったり、どうしても寝るのが遅くなってしまう。
しかし今日は1限から講義。といってもまだお試し期間。休んでも問題はなかったのだが、なぜか足が向いた。
「あ」
「あ」
目が合う。杏時(あんじ)だ。流来(るうら)は会釈する。杏時(あんじ)も会釈する。
しかし別に仲が良いというわけではないので、おしゃべりしながら大学へ、なんてことはない。
流来(るうら)は流来(るうら)で音楽を聴きながら
杏時(あんじ)は杏時(あんじ)で音楽を聴きながら、それぞれ大学へ向かう。
どうやら同じ講義のようで同じ講義室に入った。
「お、あんちゃーん!こっちこっち!」
と言いつつも視線は流来(るうら)へいっている汝実(なみ)。
「一緒だったん?」
「ん?あぁ。駅でたまたま」
「ほおぉ〜ん?」
「いや、ほんとだよ?」
「ま、疑ってないから平気よ。あと別に一緒に来ててもいいしね」
「1ミリも話してないけどね」
「話してないの!?」
「一切」
「仲悪いの?」
「良い悪い以前にそんな関係深くないのよ」
「あぁ」
なんて話していると芽流(める)と希誦(きしょう)も来た。そして講師の方が入ってきて講義が始まった。
流来(るうら)は後ろのほうの席でスケッチブックを出して絵の構想を考えていると、スマホの画面がつく。
明空拝(みくば)「ごめん!今起きたわ!1限行けなさそ」
明空拝(みくば)からのLIMEだった。無言でスマホを寄せて、手に取らず
テーブルの上に置いたままロックを解除して返信を打ち込む。
流来(るうら)「おっけ。4は来れそ?」
送信した。即座に既読がついた。すぐにトーク一覧に戻り、電源を消した。
画面が消えたのとほぼ同時にまた画面がつく。
明空拝(みくば)「いけるいける!なんなら今から行くから!また美術室でお昼食べよ」
寝てりゃいいのに
そう思いながら返信は少し時間を空けてからした。1限が終わり、スケッチブックを片付けていると
「流来(るうら)くん」
汝実(なみ)が流来(るうら)に話しかけた。
「あ、ども。おはようございます」
「おはようございます」
他人行儀。
「この後ってなにか講義取ってます?」
「4限に入れてますね」
と言って汝実(なみ)が「なんの講義ですか?」と聞くと予測したのだろう。汝実(なみ)がそれを言う前に
「なんの講義かは忘れました」
と言った。
「あ。なるほど。お昼はどっかで誰かと食べるとか予定あったりします?」
と聞かれて流来(るうら)の頭には明空拝(みくば)が思い浮かぶ。
「まあ…あるけど…昨日一緒にいた黒髪の男の子覚えてます?」
そう聞かれて汝実(なみ)は思い出す。
流来(るうら)くんの赤い髪が派手すぎて思い出せ…
「あぁ!はいはい」
思い出せた。流来(るうら)に目が行っていたが
そういえば黒髪の男の子も可愛い顔をしていたことを思い出した。
「そいつと一緒にお昼食べる予定だったんですけど…そいつも一緒でよければ」
「いいですか!」
頷く流来(るうら)。
「てか、他の3人もいいんですか」
「はい!」
君が答えるんかーい。と思う流来(るうら)。
「じゃ、後でどこに何時に集合かLIMEください」
「はい!」
スケッチブックをしまった流来(るうら)はスマホを持って
「じゃ。失礼します」
と軽く頭を下げて講義室を出て行った。
「お昼楽しみぃ〜」
「好きだねぇ〜」
「推しなんで。みんなも彼氏できるかもよ〜?
流来(るうら)くんもカッコいいし、もう1人の黒髪の男子も可愛い顔だった気がするし」
「あぁ、あの子か」
「お、しょうちゃん覚えてる?」
「うん。まあ」
「可愛い顔じゃなかった?」
「だった〜…かもね」
「んじゃー2限行くぞー」
テンションの高い汝実(なみ)。4人は2限へと向かった。
流来(るうら)は美術室へ向かう。ガチャ。ドアを開けると
「お!おはよ!」
と明空拝(みくば)が先にいた。
「おはよ。なんで来たん」
そんなつもりはなかったが酷い言い方になってしまい、あっ、っと思う流来(るうら)。しかし
「ん?いやぁ〜ま、流来(るうら)に会いに?みたいな?」
と明空拝(みくば)は気にせず冗談を言っていた。
「あぁ〜…そりゃどうも」
といつも通りイーゼルを持ってきてイーゼルを立てて、スケッチブックを出して
イーゼルにスケッチブックを立て掛け、絵の構想を考えようとして思い出す。
「あ」
明空拝(みくば)は気になったが、気にせずパズルゲームに励む。
「あのさ」
気にしなかったが流来(るうら)に話しかけられ
「はい!」
と思ったより大きな声が出た。
「昼なんだけどさ」
「ん?」
「あのぉ〜…昨日のさ、階段で会った4人の女子軍団覚えてる?」
「あぁ、うん。あのぉ〜」
特徴を言おうとしたが述べられず
「可愛い子たちね」
と落ち着いた。流来(るうら)は無言で「可愛いかは置いといて」を挟み
「お昼に誘われたんだけどさ」
「お。行ってくればいいじゃん」
「いや、明空拝(みくば)がよければ行くって言ったから…どうかなって」
「おぉ〜?なるほど?…」
明空拝(みくば)は手を組み、まるであの課長のように
ドゥンドゥンドゥドゥンと音楽が聴こえてきそうな重い空気をわざと作り
「行きま…しょう」
と言った。なにか言ってくれると期待したが
「オッケー。LIMEしとく」
と明空拝(みくば)のことすら見ずに言われて、少し寂しい明空拝(みくば)であった。
流来(るうら)「連れもオッケーと言ってました。」
というメッセージを見せる汝実(なみ)。
「ということです!どうする?どこにしようか」
「ふつーに食堂でいいんじゃないの?」
「いいと思うけど」
「そうする?じゃあ、そうしちゃう?」
一応講義中なのでヒソヒソ話で話す4人。
汝実(なみ)「わかりました!では食堂に12時20分頃でどうでしょう?」
「食堂に12時20分だって。オケ?」
「おけおけー」
流来(るうら)「わかりました」
とだけ打って送信した。
そして杏時(あんじ)、汝実(なみ)、芽流(める)、希誦(きしょう)は2限の講義が終わるまで
流来(るうら)と明空拝(みくば)は待ち合わせの時間まで
美術室で絵を描いたり、パズルゲームをして過ごした。
「終わったぞ〜」
「どうする?この講義は」
「ムズいね。出席率でテスト受けられるかも決まるし、テストもそれなりに重視してる感じ」
「保留?ま、2回目もあるし。それに取って落としてもペナルティーないからへーきでしょ」
「それもそうか」
などといつも通りに話をしていたが4人ともどこか緊張していた。
「そろそろで〜す」
流来(るうら)が手を止める。イーゼルからスケッチブックを外し、息吹きかける。
「なんでふぅ〜ってすんの?」
「ん?あぁ、息かけてるこれ?これは鉛筆の粉で擦れて黒くならないように」
「あぁ〜、なるほどね」
イーゼルはそのままにして、スケッチブックをバッグにしまう。
「じゃ、行くか」
「なんかちょっと緊張すんね」
「まあ…わからんでもない」
流来(るうら)も明空拝(みくば)も少し緊張し食堂へ向かった。
杏時(あんじ)、汝実(なみ)、芽流(める)、希誦(きしょう)、4人が先に着いていて
赤い髪が目立つ流来(るうら)を杏時(あんじ)が見つけて立ち上がる。流来(るうら)もそれに気づいて近づく。
「どうもです」
流来(るうら)が4人に挨拶する。それに倣って
「どうもです」
明空拝(みくば)も挨拶する。するとなぜか4人が腰を浮かし
「あ、どうも」
とか
「こんにちは」
と全員挨拶を済ませた。全員席に座る。
「あ、良かったら先に注文してきてください。オレらで席取ってるんで」
そう言うと明空拝(みくば)もうんうん頷き
「どうぞどうぞ」
と言った。すると
「じゃあ…お言葉に甘えて。行こっか」
「うん」
と言って女子4人は席を立った。
「やっぱ可愛いじゃん」
「…まあ、可愛いんだろうね」
「どんなリアクションなの?それ」
「どんな?…反応に困ってるリアクション?」
「うん。だろうね。なんで困ってんの?」
「…いや。なんてーの?恋愛対象として見てない人に可愛いって…なんか抵抗ない?」
「ハッ…まさか」
自分を抱きしめる明空拝(みくば)。
「僕を狙っているのかい?それなら答えは決まっている」
「ごめんなさい」
「ちょっと。それオレのセリフ」
「違うから。ちゃんと女の子好き。…こういうと語弊があるよな」
「語弊あるね」
女子4人組みは
「なににしよー」
芽流(める)は状況はともあれ、お昼ご飯が楽しみでしょうがなかった。
白身魚のフライ、フレンチ風とペペロンチーノ、さっぱりしそチャーハン、ホットサンドを頼んだ。
それぞれ頼んだメニューの乗ったおぼんを手に席に戻った。
「おぉ〜。めっちゃニンニクの香り」
鼻をくんくんする明空拝(みくば)。
「そんなします?」
「割と。あぁ〜いい香り」
「じゃ、お2人も」
そう言われて流来(るうら)も明空拝(みくば)も立ち上がる。
「じゃ、いってきます」
「いってきます」
「いって…らっしゃい?」
汝実(なみ)がそう言って、今度は男子2人が注文をしに行った。
「なんか「いってらっしゃい」っていうの恥ずくない?」
「まあ、わかるけど」
「わかるからこそこっちサイド誰も言わなかったよね」
芽流(める)がうんうん頷く。
「てか黒髪の子も可愛い顔してるよね?ね?」
汝実(なみ)の圧がすごい。
「そうね」
「肌ぷるんぷるんだったね」
「あ、そうそう。女子みたいな肌だった」
「いや、女子より綺麗な肌かも」
「あるね」
「あるある」
そんなお肌を褒められてるなど梅雨知らず
「ねえねえ。可愛い女の子の前でラーメンってどう思う?」
と聞いていた。
「え。別にいいんじゃない?ま、ズルズルズルは…どうかとは思うけど」
「やっぱり?啜る系はよろしくないか」
「よろしくないことはないと思うけど」
結局、流来(るうら)は生姜焼き定食、明空拝(みくば)はボロネーゼを頼んだ。
「お待たせいたしました〜」
明空拝(みくば)が笑いながら席につく。流来(るうら)も軽く頭を下げて席につく。
「じゃ、ま、とりあえず食べましょうか!ね!」
みんなで「いただきます」をして食べ進める。
「あ、食べながらで申し訳ないですけど
私、汐旗(しおはた) 汝実(なみ)っていいます。よろしくお願いします」
と明空拝(みくば)に、そして流来(るうら)にも改めて自己紹介した。
「あ、…すいません」
と自分の口を指指して「口に入ってるんで少し待ってください」と無言で言った。汝実(なみ)も
「あ」
うんうんと頷いた。口の中のボロネーゼを飲み込み
「あ、すいません。自分は真実田(まみた)明空拝(みくば)っていいます。よろしくお願いします」
と自己紹介をした。
「みくば?」
「明空拝(みくば)です。変わった名前ですよね。流来(るうら)とは変わった名前繋がりで仲良くなって」
明空拝(みくば)は流来(るうら)を見るが、流来(るうら)は生姜焼きの予想外の美味さに衝撃を受けていた。
「へぇ〜。どんな字なんですか?」
「明るい空を拝むって書いて明空拝(みくば)です」
「めっちゃ綺麗な名前」
「ありがとうございます。自分でも気に入ってます」
と照れる明空拝(みくば)。
「ま、読めないって言われるのが悩みでしたけどね」
「あぁ〜、中学とか高校とか」
「ですです」
「したらしょうちゃんもそんな感じじゃない?」
「ん?」
急に話を振られてホットサンドを食べながらそちらを向く希誦(きしょう)。
「名前」
希誦(きしょう)は口の中のホットサンドを飲み込んでから
「名前?」
と聞き返す。
「あ、どうも。真実田(まみた)明空拝(みくば)です。よろしくお願いします」
と自己紹介をする明空拝(みくば)。
「あ、どうも。白風出(しらかで) 希誦(きしょう)です。こちらこそよろしくです」
「名前が特殊だよねって話で」
「あぁ〜」
「お名前どういう字なんですか?」
「めっちゃ綺麗な名前なんだよ。
明るい空を拝むって書いて明空拝(みくば)っていうんだって」
「へぇ〜。たしかに綺麗」
「どんな字書かれるんですか?」
「あのぉ〜誦(とな)える…言偏(ごんべん)に…桶みたいな字。希望の希にその字で希誦(きしょう)です」
「…へぇ〜?」
希誦(きしょう)は心の中で
わかってないな
と思った。
「流来(るうら)くんもオシャレな名前ですよね」
と汝実(なみ)が流来(るうら)を見ると
「ご飯もいりますよね?自分の使った箸でよければ、そちらのお皿に乗せましょうか?」
「あ、いいですか?」
「どーうします?スプーンに生姜焼き乗せます?」
「あ、じゃあ、お願いします」
と芽流(める)とご飯のやり取りをしていた。
「すいません。いただきます。
あ、お返しっていったらなんですけど、しそチャーハン食べますか?」
「あ、じゃあ…お茶碗のほうにもらっていいですか?」
「もちろんです。…これくらいで大丈夫ですか?」
「ありがとうございます」
芽流(める)が生姜焼きを食べる。
「んん!」
そして白米を食べる。
「んはぁ〜…最高です」
流来(るうら)もしそチャーハンを食べる。
「あっ…なるほど。美味しいな」
と食べていた。
その後、芽流(める)にも杏時(あんじ)にも自己紹介を終える明空拝(みくば)。
その後、みんなそれぞれの出身校などの話をした。
「あ、自分地方から出てきたんで」
という明空拝(みくば)。流来(るうら)も
「え、あ、そうなん?」
と驚く。
「どこなんですか?」
「北海道です」
「ほっ」
「北海道!」
「です」
「熊穴(ゆうけつ)?」
「おぉ!です!」
芽流(める)が大正解だったらしい。
「熊穴高等学校って頭良いし、スポーツ強いエリート校じゃないですか」
「そんなエリートなんですか?うちって」
「って言われてますよ?」
「私も聞いたことある。っていうか、友達の部活の試合の応援行ったとき
ちょうど熊穴が相手で圧負(あっぱい)してましたよ」
「圧負!初めて聞いた」
「まあ、たしかに頭良い人と運動神経高い人多かったかも」
「今さらですか」
6人で笑った。案外盛り上がった。
「多部満(たべみつ)さんも地方から出てきた組なんですね」
明空拝(みくば)が芽流(める)に言う。
「そうなんですよ」
「鯉昇滝(りしょろう)高校って、あのネクタイとかリボンがめっちゃ派手なとこですよね」
「あ、はい。やっぱそういう認識ですよね」
「綺麗ですよね〜澄んだ水を泳ぐ鯉のデザインの」
「あ、綺麗だと思います?」
「まあ。思ってましたよ」
「おぉ〜」
と芽流(める)と明空拝(みくば)が話しているとき
「流来(るうら)くん達磨だったんだ?私の友達も達磨に行ったんですよ」
「私の中学にもいた」
「うちにもいたわ」
「へぇ〜」
「達磨もだいぶ校則緩いですよね。髪色とか派手なイメージあるし」
「緩かったですね。金髪もざらにいたし
赤髪とか青髪とか。体育祭とかになると全員チームカラーのメッシュ入れたり」
「うわぁ〜!めっちゃいい!」
「そういう…お祭り事?すごいですよね」
「すごいです。体育祭、球技祭、文化祭」
「球技祭?」
「球技祭。あのバスケとかバレーとかで競うやつです」
「うち球技大会っていってた」
「うちもうちも」
「うちも球技大会だった」
「あ、そうなんですね。うちは全部祭りでした。みんなで盛り上がる事は全部お祭り。
ま、テストはちゃんとテスト期間とか、卒業式も式でしたけどね」
「メリハリがすごいんですね」
「あぁ、そうかもです」
「達磨の文化祭ってすごいって噂で聞いたことある」
「あぁ、たしかに聞いたことある」
「まあ、すごいー…かな?周りと比べたことないからわかんないですけど
比べなくてもすごいだろうなって思います」
「どんな感じなんですか?」
「まず入学して係とか決めた後、その年の文化祭の話をしますね」
「はやっ!」
「文化祭係ってのもあって、毎週のように会議するらしい」
「ヤバっ」
「だからクオリティーがヤバい。お化け屋敷とかも
卒業生でそういうデザインとか建築とかメイク、ペイントしてる人をあたって
準備期間に手伝ってもらうからクオリティーが異常。
あの〜…有名な遊園地のお化け屋敷みたいにリタイアポイントがあるくらい怖いっす」
「うわぁ〜行ってみた!」
「たしかに。気になる」
「OB行けないんですか?」
「…行けるんじゃないかな」
「行きたいです!」
「おぉ…。じゃあ、まあ、後輩に言ってますわ」
「やったー!ありがとうございます!」
「まだ先だけどね」
と流来(るうら)の出身校、達磨ノ目高校の文化祭に行くことが決定?した。
全員LIMEを交換した。どうやら話を聞くと6人とも4限の講義は同じなようで
食堂でそのまま駄弁り、みんなで講義室へ移動した。机は違うが6人で横並びで後ろの席に座った。
「北海道出身だとは」
「そういえば言ってなかったね」
「てことは一人暮らし?」
「そだよー」
「へぇ〜」
「お?来る?」
「明空拝(みくば)ん家(ち)に?」
「そ」
「…ま、行っても全然いいけど」
「ゲームする?」
「なんのゲーム?」
「んん〜…そういえば格ゲーとか持ってないわ」
「あれは?スパファミ(大騒乱スパイクファミリーズの略称)」
「あぁ!持ってる!」
「強い?」
「弱い」
「同じ」
「じゃあやりますか。弱い者同士で」
「いいぞ?」
と男同士で話をしている一方
「真実田(まみた)くんと話してたね。意気投合した?」
「あぁ。ただ地方出身ってだけで盛り上がっただけだよ」
「盛り上がってるやーん」
汝実(なみ)が芽流(める)の脇腹を肘で小突く。
「あんちゃんは流来(るうら)くんとあんま話さないよね」
「ん?あぁ、まあ」
「そういえばそうだね。てか2人割と静かだったね」
「そお?達磨のときは入ってったじゃん。ねえ?」
希誦(きしょう)が頷く。
「まあ〜そうか。あんちゃんは仲良くなるきっかけなのにね」
「あぁ、そっか。たしかに」
「あの日以来LIMEすらしてないわ」
「マジでか」
そんな話をしていると講師の方が入ってきて講義が始める。4限の講義が終わる。
「終わったー」
「終わったねぇ〜」
「今日どうする?また芽流(める)ん家(ち)行く?」
「今この時間から?」
「私は別にいいけど。夜ご飯どうするの?」
「あぁ〜」
「そうよね」
「じゃあ、今度、金曜日みんなで泊まらない?あれ?土曜日講義入れてたっけ?」
「入ってるね。必修科目です」
「マジかー」
「しかも2限」
「あ、じゃあ土曜日に芽流(める)ん家(ち)泊まろうか」
「別にいいけど。布団とか全然ないよ?」
「全然。そこら辺で寝るし。全然いいよ」
「いいね」
「今から土曜日が楽しみぃ〜」
と女子は盛り上がっていた。
「あぁ〜…この時間だから流来(るうら)はお帰りか」
「なぜ?」
「いや?この後家来ないかな〜って」
「え?バイトは?」
「今日はシフト入ってない。週4だからさ」
「ふぅ〜ん?ま、今日は無理。土曜は?バイトある?」
「ないよ?平日しか入れてない」
「じゃ、土曜2限必修じゃん?」
「あぁ、そっか。必修か。行く気なかったんだけどな」
「マジかよ」
「じゃあ土曜でいっか。スパファミ(大騒乱スパイクファミリーズの略称)やろうよ」
「いいよ」
と男子も男子で盛り上がっていた。
「あのぉ〜お2人」
「はい?」
「はい」
汝実(なみ)が流来(るうら)と明空拝(みくば)に話しかける。
「もしよろしかったら、これからもお昼とかお誘いしてもいいですか?」
「あぁ。自分は大丈夫です」
「自分も大丈夫です」
「ほんとですか!?ありがとうございます!じゃ、またLIMEしますね!お疲れ様でした!」
「お疲れ様です」
「お疲れ様で〜す」
女子陣がみんな軽く頭を下げて、それに男子2人も返して、女子陣が先に講義室を出た。
準備を済ませて男子2人も講義室を出る。
「じゃ、また明日ね」
明空拝(みくば)はまた駅とは反対へ行こうとする。
「え、バイトないんでしょ?」
「ないんだけど、バイト割でご飯食べれるから食べて帰る」
「なるほど?じゃ、また」
「またぁ〜」
2人は別れた。