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杏時(あんじ)がだいぶ駅で迷わなくなってきた頃
「あ、あんちゃん」
「あ、芽流(める)〜」
「よく会うね」
「時間的な問題?」
大学の前で芽流(める)と会う杏時(あんじ)。
大学構内に入って講義室に入る。すると汝実(なみ)と希誦(きしょう)を見つける。
「おはよー」
「おはよー」
「なんかだいたいこの到着順だよね」
「たしかに」
「ちなみに汝実(なみ)としょうちゃんどっちが先に来てんの?」
「んん〜」
汝実(なみ)が希誦(きしょう)の顔を見る。
「ここは決まってないかな?しょうちゃんが先にいることもあるし」
「だね」
杏時(あんじ)と芽流(める)も汝実(なみ)と希誦(きしょう)の近くに座る。
「あぁ〜…」
あくびをする流来(るうら)。
「1限…取らなくていいか。寝たいな」
そう言いながらも大学構内へと歩を進める。講義室に入る。
「あ、流来(るうら)くんだ」
と流来(るうら)に手を振る汝実(なみ)。流来(るうら)はそれを見て、軽く頭を下げ、軽く手を振り返す。
「推しぃ〜」
「なにがそんな推しなのさ」
「なに…なにか…そうねぇ〜…。なんか、二次元キャラっぽくない?」
「まあ、見えなくもないよね」
「まあ。あんまアニメ見ないけど」
「私もアニメもマンガもそんな読まないけど、たしかに二次元ぽさはあるかな」
流来(るうら)はバッグからスケッチブックを出す。
絵の構成を考えているページに捲る。スマホをテーブルに置いたまま画面をつける。
通知なし。自然と画面が消える。講師の方が入ってきて講義が始まる。
講義が始まっても流来(るうら)は、スマホに保存した建物を参考にスケッチブックに建物の感じを描いていく。
杏時(あんじ)と芽流(める)も汝実(なみ)と希誦(きしょう)は講義をちゃんと聞く6割
お喋りをしたりスマホをいじったりが4割だった。
1限の講義が終わり、スケッチブックに息を吹きかける流来(るうら)。
うん。まあ、構成としてはこんな感じかな
構成は完成した。あとは下書きをキャンバスに描いて、絵の具で色付けていくだけ。
”だけ”と言ったがそれが本番であり、それが一番時間がかかるのだが。
スケッチブックをたたみ、バッグにしまってワイヤレスイヤホンを耳に突っ込んで講義室を出た。
「あぁ。早々に出ちゃった」
と流来(るうら)の背中を見て言う汝実(なみ)。
「次行くよー」
希誦(きしょう)がバッグを持って立ち上がる。
「はーい」
「はーい」
全員で2限の講義室へ移動した。
「さぁ〜て、この講義はぁー、あ」
汝実(なみ)が発見した。流来(るうら)がいた。
「おぉ。赤髪だとやっぱ目立つね。キレー」
と言う希誦(きしょう)。流来(るうら)はテーブルで先程描き終えた構成を眺めていた。すると
「えっ、すごっ」
という声に顔を上げる。するとそこには杏時(あんじ)と芽流(める)も汝実(なみ)と希誦(きしょう)がいた。
「おぉ。2限も同じなんすね」
「ねぇ〜」
と笑顔で返す汝実(なみ)。
「そういえば今日は明空拝(みくば)くんはいないんですね?同じ講義じゃない?」
と言いながら流来(るうら)の後ろのテーブルのイスに座る一行。
「いや、同じ講義取ってるから…。単純にサボりじゃないっすかね」
「もし、もし明空拝(みくば)くんが来たらお昼一緒に食べましょーよ」
「いいっすよ。そちらがよろしければ」
汝実(なみ)が杏時(あんじ)と芽流(める)と希誦(きしょう)の顔を見る。
杏時(あんじ)は頷き、希誦(きしょう)は肩をすくめて
「別にいいんじゃない?」みたいな表情をし、芽流(める)は2人の反応を見てから頷いた。
「ていうかその絵、流来(るうら)くんが描いたの?」
「え?あ、はい。そっすね」
「うまくない?」
「…そー…っすかね。ありがとうございます」
「うまいうまい!美術部だったとか?」
「いや…あぁ〜…どうだったかな。届は出してないから美術部員ではないはず。
ただ美術部員より美術室に入り浸って絵描いてたから、先生と仲は良かったっすね」
「なんで美術部には入らなかったんですか?」
「正式に入るとコンテストとかいろいろめんどくさくて」
「あぁ〜」
そんな話をしていると講師の方が入ってきて講義が始まった。
始まって1時間ほど経ったとき、流来(るうら)のスマホの画面が光った。
流来(るうら)はスマホを持ち上げず、自分のほうへ引き寄せ、テーブルに置いたまま画面を見る。
明空拝(みくば)「ごめん!今起きた!」
だと思った
と思う流来(るうら)。テーブルに置いたまま
明空拝(みくば)からの通知をタップし、明空拝(みくば)とのトーク画面へ飛ぶ。すると
明空拝(みくば)「これから向かうわ」
と追撃が来た。
流来(るうら)「別に寝てりゃいいやん。次5限だぞ」
すぐに既読がつく。すぐに返信が来る。
明空拝(みくば)「あ、そお?じゃあそうするわ。お昼寂しくて泣かないでよ?」
「泣くか」
思わず呟きながら笑う。
流来(るうら)「そっちもな」
送信する。そして汝実(なみ)とのトーク画面に入って
流来(るうら)「今日明空拝(みくば)昼には来れないっぽいです」
と送った。しばらく杏時(あんじ)や芽流(める)、希誦(きしょう)と話した汝実(なみ)は
画面を下に向けた状態でテーブルに置いたスマホを裏返し、画面をタップして、画面を点ける。
「おっ?」
スマホを引き寄せて、手に取る。
「あぁ〜。今日明空拝(みくば)くん来れないっぽい」
と呟く。
「ふぅ〜ん」
「へぇ〜」
「ま、ということで今日は4人でのご飯でぇ〜す」
「はぁ〜い」
汝実(なみ)は流来(るうら)からの通知をタップし、流来(るうら)とのトーク画面へ行き
汝実(なみ)「わかりました!じゃあ今日は女子4人で食べてきます!」
と返信を送った。流来(るうら)のスマホが光り、流来(るうら)はスマホを引き寄せ
持ち上げず、テーブルに置いたまま、汝実(なみ)からの通知をタップし返信する。
流来(るうら)「はい。楽しんでください」
2限の講義が終わり、みんな荷物をまとめる。
「流来(るうら)くん」
汝実(なみ)が流来(るうら)の肩をトントンとする。
「はい」
「今日は2限までですか?」
「5限入れてます」
「お!マジっすか!」
「マジっす」
「ちなみになんのー」
スマホで確認する流来(るうら)。
「科学の起源と発展?っすね」
「おぉ!同じ」
「おぉ」
「じゃ、また5限でお会いいたしましょう」
「っす」
手を振る汝実(なみ)。手を振り返す流来(るうら)。
杏時(あんじ)と芽流(める)と希誦(きしょう)は軽く頭を下げる。
流来(るうら)も軽く頭を下げる。女子4人が講義室から出ていく。
「さあーお昼だー」
「芽流(める)お昼になるとテンション上がるよね」
「えー?そお?」
「あからさまに」
「たしかに」
希誦(きしょう)も頷く。女子4人は食堂へ向かった。
流来(るうら)も講義室を出てコンビニに向かう。蕎麦を買って美術室へ行く流来(るうら)。
「いただきます」
割り箸で蕎麦を食べる。静かな美術室。空気がこもっていて、絵の具や画材
キャンバス、床やイーゼルの木の香りがする部屋。そんな部屋に蕎麦をすする音が響く。
明空拝(みくば)「あ、そお?じゃあそうするわ。お昼寂しくて泣かないでよ?」
という明空拝(みくば)のメッセージを思い出し
「泣はしねぇけど…」
その先は言わなかった。蕎麦を食べ終え、ゴミをゴミ箱に捨て、バッグを持って美術室を出る。
流来(るうら)は電車に乗り、バスに揺られ、病院の最寄りのバス停で降りる。受付で名前を書く。そのときに
「お見舞い、今誰か来てますか?」
と聞いた。幸い誰も来ていないようだったので
関係者というカードを首から下げて病室を訪れる。何度も深呼吸を繰り返す。胸が苦しい。
医療機器の電子音が聞こえる。怖く、不安になる音だ。看護師さんたちの声がする。
看護師さんと会話する患者さんの声も聞こえる。
目の前のカーテンを開く。胸が一層苦しくなる。何度も何度も深呼吸をしてイスに座った。
「おぉ〜味方つっよ」
明空拝(みくば)は綺麗な部屋でFPSゲーム、トップ オブ レジェンズをプレイしていた。
「最強の桂馬」というプレイヤーが仲間にいた。そのプレイヤーのお陰でランク戦でチャンピオンを獲れた。
「ありがとうございましたぁ〜」
マッチ終了後のリザルト画面でしっかり挨拶をするタイプのプレイヤーだった。
「あ、女性なんだ。カッコよ」
「最強の桂馬」というプレイヤーは女性だった。
「ヤバす。新シーズン始まりって、こういう最強プレイヤーと一緒になれるから嬉しいよなぁ〜」
しかし逆もまた然りである。運が悪ければ相手にめちゃくちゃ強い
本来のランクではないランクのプレイヤーがいてボコボコにされる可能性も充分にある。
LPというランクを上げるためのポイントを相当もらい、ランクが上がった。
「うおぉ〜ポイントうまうまやん」
すぐに次のマッチの準備完了ボタンを押す。
「相手に激ヤバいませんように」
キャラクター選択画面に進んだ。「最強の桂馬」がいた。
「マジ!?奇跡やん!」
キャラクター選択をして、マップを見下ろし、飛行艇から飛び降りるシーンへ移行した。
「前のマッチと同じプレイヤーさんですね。よろしくお願いします」
始まりのときにもしっかり挨拶するプレイヤーだった。
「あ、挨拶してたんだ。さっきトイレ行ってて気づかんかった。お願いしまーす」
ボイスは繋がなかったが、独り言で挨拶をした。
「あ」
とゲーム内のキャラクターボイスで「挨拶」があったことを思い出し
「よぉ〜!前回も一緒だったなぁ相棒!今回もよろしく頼むぜ!
…っつってもオレのサポートあっての強さだ。自惚れんなよぉ〜?」
というキャラクターボイスで挨拶をした。
「このマッチ終わったら準備しないとな」
と期待を膨らませてプレイした。結果はなんと2連続チャンピオン。
「ありがとうございました!」
ベッドに上がって土下座をしながら感謝した。
「ありがとうございましたぁ〜」
というボイスチャットの声にまた
「ありがとうございました!」
と今一度頭おフカフカの布団につけてお礼を言った。ゲームを消し、テレビに変える。
洗面所で髪を梳かし、服を着替える。引き出しの上の小さな鏡の隣のメイクポーチを眺める。
少し天井を見てから玄関に向かい、大学へと歩を進めた。6人が取っている5限は大きなホールで行われる。
「ここあれじゃん。最初説明があったとこ」
「そうね。汝実(なみ)がグイグイきたとこ」
「グイグイって」
「まあ、4人が出会ったとこだね」
「そんなロマンティックではないけどね」
そんな話をしていると明空拝(みくば)が入ってきた。赤髪を探して彷徨う。しかしいない。
すると手を振っている人が目に入る。汝実(なみ)だ。
「おぉ〜、お疲れ様です」
「お疲れ様でーす。…あれ?流来(るうら)くんは」
「いや、探したんですけど…」
「いない」
「いないっぽいっすね。ま、来るでしょう」
と言って女子とは少し離れた入り口からすぐ見えるところに座った。
明空拝(みくば)はスマホを取り出し、LIMEのアプリを開き
明空拝(みくば)「急用?」
と流来(るうら)にメッセージを送った。講師の方が入ってきて講義が始まった。
始まって30分ほど経ったら流来(るうら)が講義室に入ってきた。大きなホールでの講義。
トイレに立つ者、ちょっとサボりに行く者が出入りしているので
遅れて講義室に来ても然程目立たない。流来(るうら)はすぐに席には行かず、その場で
流来(るうら)「着いた。どこ?」
と明空拝(みくば)に送った。送られた明空拝(みくば)はスマホでパズルゲームをしており
画面上部に流来(るうら)からのLIMEの通知が来てすぐに後ろを振り向く。
すぐに赤髪が目に入る。通路のほうに手を伸ばす。
流来(るうら)はそれに気づき、明空拝(みくば)に近づいて明空拝(みくば)の隣に座る。
「お疲れ」
「お疲れ」
「用事遠くだったん?」
「…まあ…近くはないかな」
「電車?」
「だね」
「ならしゃーないか」
流来(るうら)はスケッチブックで絵を
明空拝(みくば)はスマホでパズルゲームをしているとあっという間に講義が終わった。
ホールが帰る支度をする生徒、帰ろうと出口へ行く生徒で騒めき始める。
流来(るうら)と明空拝(みくば)、杏時(あんじ)と芽流(める)も汝実(なみ)と希誦(きしょう)も
帰る支度をして出口からホール、講義室を出た。大学構内から外に出ると外はもう暗くなっていた。
「んじゃ流来(るうら)、また明日」
「今日もバイトか」
「そ。8時から12時まで」
「大変ねぇ〜」
「そうなのよぉ〜」
「じゃ、また明日」
「うい」
流来(るうら)は帰路に明空拝(みくば)はバイトへの道を歩いていった。
杏時(あんじ)と芽流(める)と汝実(なみ)と希誦(きしょう)も帰路についていて
「あぁ〜ん。みんなと違うの1人だけって辛いわ」
と嘆く汝実(なみ)。汝実(なみ)だけ杏時(あんじ)と芽流(める)と希誦(きしょう)とは路線が違うのだ。
「じゃ、また明日ね」
「またねぇ〜汝実(なみ)〜」
「またね」
と3人は同じ電車乗った。そしてそれぞれの家の最寄り駅で降りた。流来(るうら)も電車を降りた。
「あの服…」
どうやら杏時(あんじ)のようだ。
「まさかの地元同じかよ」
でもなぜかバレたくなく、少し時間を空けて家に帰った。