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__________一章 貴女と行く卯酉東海道__________








「……10時0分ピッタリ、けど、30秒の遅刻ね。」


「もう、メリーったら…

30秒の遅刻くらい良いでしょう?」


「まぁね。でも!私はそれより先に着いてたからね?」


「はいはい、分かったから行きましょう。」




―――私達は駅で待ち合わせをし、10時10分発の電車に乗って私の実家のある東京付近へ行くことにした。


…と言っても、私がほぼ決めたのだが。




「‥はぁ〜、いつ見てもここの景色は綺麗よねー。」


「…まぁ、本物でもないけど。」


「そうね、私はこれで2回目だけれど。」


「あぁ、そう言えば前は私の彼岸参りについて来てくれたんだったもんね。」


「そうよ。」



_何故私が本物ではないと言ったのか、それについて説明しよう。


今乗っている地下鉄電車は、東京と京都を結ぶ卯酉新幹線だ。名称は”ヒロシゲ”である。京都から東京を結ぶその間の長さはもっと早く出せるはずなのだが、規定により53分と決められている。


卯酉新幹線《ぼうゆうしんかんせん》ヒロシゲの運行中の車内は、

「 『 カレイドスクリーン』と呼ばれる人工的な景色を運行中の車内窓に映す機能 」が搭載されている。


それにより、座席関係なく様々な景色を見られるというわけだ。




「…うーん、東京まで少し時間があるわよね…どうする?メリー。」


「そうね…また何か話でもしましょう。」


「いいわね!賛成!」



―――やはり昼に近いからか少し人は少ないが、それでも充分賑わいを見せている。



「そう言えば、私の実家は東京にあるじゃない? 」


「そうね、この前初めて行かせてもらったわ。」


「今でこそ田舎になったけど、昔は物凄く未来的だったんじゃないかしら?

例えば2000年前とか。

今はもう消滅した食べ物とか、最先端なものがあったりしたんじゃない?なんて思うの。」


「そうね…あるかもしれないわ。

そう言われてみれば、何で私達のいる京都《ここ》はこんなにも発展したのかしらね…?」


「うーん、遷都したから?」


「あぁ、それかもしれないわね。

確かに、京都は結界に綻びも何もないけど、東京は結界にも沢山綻びがあるものねぇ…。」


「ほんとほんと。機能や資源も京都に輸送されてくるって言ってたし。

…それと、東京って道のそこら中にひび割れがあるし…。」


「まぁ…アスファルトが時効を迎えて脆くなったものね。」



―――ふと私は時計を見た。


「…さて、今は10時36分ね。」


「あら、もう26分経ったのね。

ならあと27分くらいね。」


「そうね。…暇だなぁ…どうしようか…。」


「じゃあ、またこの前の夢の話でもしましょうか?」


「丁度よかった…って、あっ、それで気になってたことがあったのよ!」


「何?」


「『夢を見ることで妖怪の棲む世界に一時的に入り込むことが出来る』って言ってたけど…、それってやっぱり、意識だけを別次元《そっち》に集中させてるからなの?」


「まぁ、そうね。

実際には身体もその世界に触れている気がするのよね、…夢遊病のような。」


「…へぇ……何だかすごいわね。…だとすると……」


「…あっ、そうだわ。」


「…どうしたの?メリー。」





――――メリーは、七夕坂での事をあの日より少し細かく話してくれた。






「この前の七夕坂の事故では私が無理言って一人で異界の実在を証明しに言ったけど…あれは悪かったわ。」


「…本当よ!まさか2週間も音信不通になるなんて思わなかったじゃない!」


私は少しあの時の感情も思い出しながら言ってしまった。


「‥まぁ、あれは私が神隠しされていたからだけどね。」


「そんな簡単に言うけど…探し回ったんだからね?地蔵ひっくり返したりして。」



まぁ、学会の発表の論文を優先して籠もった私も悪かったが。


「無事帰ってきただけ、全然良いけどね。」


「…まぁそれにしても、まさか私も異界に行くなんてねー。

不思議への扉だらけだったけど。」


「でしょ?あの論文の間違いも少しは‥」


「だーかーら、異界どうのの実在を否定してるわけじゃないっての!…もう。」


「あはは、そうだったわね。」



―――――残り3分。そろそろのようだ。


「おっと、なんだかんだそろそろね。」


「あら、そうね。降りる準備をしましょうか。」


「あっ、地図はちゃんと持ってきた?」


「えぇ、ちゃんとあるわ。」


「オッケー。じゃあ、出口まで行きましょうか!」



__私達は荷物を持ち、降りる準備をした。





✿――――――――――――――――――――――――――――――――――――――✿



貴方と歩いた世界で。

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