テラーノベル
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これはGARTEN_OF_BANBANの二次創作です。チャットノベルの方はギャグ強めですが、こちらは不安要素強めに作っております。GARTEN_OF_BANBAN8までのネタバレを含みます。ご注意ください。
誤字、脱字、または変な表現や分からない言葉があれば訂正致します。
コメントでお願い致します。
それではどうぞ。
「シリンジョン、今月のカルテ用意したよ」
バンバンがいくつかのバインダーを片手に医務室へ入る。私は此奴に自己管理として毎日カルテをつけるように言っていた。読み書きができるマスコットたち全員にさせている。私はそれを受けとり、読み上げながら話しかける。
「今月は遅かったなウスマン。保安官と道化師はさっき提出に来たぞ?」
「遅れた訳では無いし、ビリじゃないだけいいだろ?それに、他のマスコットの分まで書かないといけないんだから、大目に見て欲しいね」
「…確かに受け取った。もういいぞ」
僅かな間を空けそう言い、シリンジョンは作業に戻った。バンバンはやれやれとため息をつく。月末の彼は、この作業も相まって酷く疲れている。報酬が出る訳でもないのに、身を粉にしてまでやる意味は正直分からなかった。もう少し余裕を持つべきと言うか、自分を大事にして欲しい。こう思うのは、彼が父のような存在だからか、それとも壊れたら厄介だからか…。余計な事は言わず素直に部屋を後にしようと扉を開けると、そこにはカルテを持った大きな体が立っていた。
「おや、ちょうどいい。彼を頼んだよ」
「嗚呼…我が子の面倒を任せられるか?」
「もちろん。園長は子供たちが大好きさ」
二人が入れ替わるのに気づかず作業を続ける外科医。大きな体はその体格に似合わず静かに背後に迫る。余程疲れていたのか、振り返るまで、彼はその存在に気づかなかった。
「ッ、貴様ッ!」
驚いた拍子にバランスを崩し、持っていたマグカップを落としてしまう外科医。中身は飲みきって空っぽだったが、カップの破片の上に自身が倒れてしまいそうになる。幸い、目の前には捕まるところがあった。
「…大丈夫か?」
「!、はぁ…。貴様のせいだが、そのでかい体が役に立った」
彼は旧友の身体に抱きついていた。怪我を防ぐためとはいえど、突然のスキンシップに外科医は慌てて離れ、カップの後始末を始める。
「そのカルテはここに置いておけ。また来月分を…
「そのはずだったんだがな。今の出来事で提出を遅らせようかと思っている」
「は、?」
ダダドゥ卿は懐にカルテの用紙を仕舞い、外科医にジリジリと近寄る。なぜ自分の仕事を遅らせてくるのか分からない。外科医はいつも通り文句を言おうと口を開く。だが、言葉が出なかった。彼の口はより大きな口で塞がれていた。
「ん”ん”ッッ、んッ…///」
「ッ、…」
ぴちゃぴちゃと濃厚なリップ音が鳴り響く。顔と腰に手を回され、四つある腕は疲れと混乱で使い物にならず、されるがまま。とうとう足にも力が入らなくなり、息苦しさで涙が流れる。零れる声と涙にダダドゥはやっと口を離した。舌と舌がツーっと糸を引いて繋がる。外科医の身体を支え、顔をのぞき込みながらニヤッと笑う。
「老体が無理すんなよ」
「なんだ、いきなり!///」
Gv色に染った顔で睨みつける。全く覇気がない。ダダドゥは反省するどころか更なる高鳴りを覚える。それもそのはず。Gv色の顔は人間で言うところの赤面。目は虚ろで涙ぐんでいる。呼吸は荒く、胸元を一生懸命上下させている。しかもそんな外科医が力なく寄り掛ってきている。全てがエロく見えてダダドゥは我慢できないと言った様子だ。
「毎月言っているだろう…休憩はしっかり取れと。忙しいなら頼れと。これは聞かなかった罰だ」
「…この程度が罰になるのk、あ」
「……ほぉ?嫌がると思ったが、嬉しかったのか?」
余計な事を誤解を生む言い方で言ったと焦る。急いでダダドゥから離れようと暴れるが、簡単に押さえつけられてしまう。何故これ程まで力が入らないのか。私を作業から中断させたいならもっと方法はあったはずなのに何故、口吸いをしたのか…。段々、視界がぼやけてくる。口吸いの際に毒でも流し込まれたか。いやそれなら気づくはずだ。色んな考えが頭を巡る中、ダダドゥが口を開いた。
「麻酔が効いてきたな。俺の唾液が体内に入ったんだ」
「…そう……か」
納得出来たのか、それともまだ何か言いたげな、なんとも言えない顔をして彼は眠った。俺は一時的に彼を手術台に寝かせ、部屋の片付けと、簡単に作業を済ませた。俺のせいで作業が遅れたなどと怒られるのは嫌なもんでね。今までも強引に手伝っていたからまとめ方もわかる。簡単にとは言ったが、まとめ終わるまでに2時間は経った。キリのいいところでまだ寝ているシリンジョンを抱え、自室へ向かった。外科医の偉大なる父の威厳のためにシチズン達から隠しながら進む。とはいえ、これが初めてでは無い。こいつが体力の限界が来た時もこうした。その時は手術室は飛び散ったジバニウムだらけでとても休める場ではなかった。ジバニウムがなくともあんなところで寝かせはせんがな。シチズンたちの行動可能範囲から抜けきったところで、ジバニウムインファンツを抱えた道化師に遭遇した。
「おや、サー・ダダドゥ。大変そうデスね」
「お前も持ってみるか?恐らくその子らと何ら変わらんくらい軽いぞ」
「卿のあなたと違ってワタクシはジェスターです。誇り高き外科医にそんな無礼は許されないでしょう…ハハ」
ワタクシは笑って誤魔化しましたが、気軽に触れたり、ジョークを聞いてくれるような相手では無いのは確か。それに、ワタクシにも分かりますよ。外科医が体格の割にガリガリで軽いことくらい。自ら標本になろうとするなんて研究者の鏡…いえ、やめておきましょう。いくらなんでもタチが悪いジョークは笑えませんからね。
「そういうお前は?インファンツをどうするつもりだ?」
「一緒に遊んでたんですよォ!バンバンがノーティワンズと遊んでるらしいので、せっかくならと」
この道化師はもうジョークを制限されることもなくなり、だいぶ明るくなった。ただ罪の意識は誰よりも大きいようで、今回のように未熟な個体の世話をすることが増えた。シリンジョンや俺は子供たちを任せられるし、未完成な個体の世話も、頭のいいこいつに任せている。そんな道化師の首や胸元にはGv色の跡が残っている。
「成程。…トードスターと仲良くな」
「…はい」
知らないと思っていたのだろうか。聞いて直ぐに暗い顔をする道化師に気付かないふりをして、俺は部屋へ向かった。
バウンセリアの腹袋から出てきたばかりで、新しく用意された部屋。ノーティワンズの分の敷居も加味して、かなり広い部屋が用意された。カードキーで扉を開けるために外科医を片手に持ち替え、開けてすぐに入る。いくら軽いと言えど背の高いこいつは片手だけでは持ちきれない。部屋の一番大きなベッド、基俺の寝台に外科医を寝かせ、起きるまで一緒にいることにした。そう長くはかからなかった。
「…ん?ここは、医務室……ではないな……」
「嗚呼、起きたか。よく寝れたか?」
「……もっと寝ていたい。お前の匂いがする…///」
寝ぼけているのか枕に顔を埋め、少し頬を赤らめながら確かにそう言った。俺は枕元にしゃがみこみ、外科医の頭を撫でる。俺の手に擦り寄って来た。俺は寝ぼけてるだけだと思って困り顔で言った。
「ボケるのはまだ先でいいんじゃねぇか?」
「そのボケ老人を襲ってプライベートに連れ込んだやらしい若造は誰だ?」
…ぐうの音も出ない。だがこの休ませ方だけは許して欲しい。第一、この外科医もバンバンとの乱闘で腹に大きな穴を開けていた。無理に殴って気絶させる訳にも行かない。説得しても聞いた試しがない。
「これからは自分から休んでくれてもいいんだぞ」
「自分では休もうという考えが出ないんだ」
「なんだよそれ、ハハッ。ずっと傍に付き添ってないとダメか?」
「付き添ってくれるのか…?」
目を見開いて問いかけてくる。まさかこうも弱みを見せるとは思わず、俺は頭を抱えるふりをして熱の篭った顔を隠す。それを見た外科医はムクリと体を起こし、強引に俺の顔を引っ張る。その顔はムスッと幼子のような顔だった。
「…はっ、酷い顔だな」
「お前もな、ダダドゥ。私のために赤らめる顔があってよかったな。隠せてないぞ?」
わかってる。お前が俺をよく解ってるのも、俺がそんなお前に弱いのも…。表情が読み取れない俺は、幼稚園生にも怖がられ、マスコット達にも何を考えているか分からないと言われる。唯一、シリンションだけがわかっていた。医者だからか、体調が悪いのはすぐにバレる。俺の生まれに関わったからか、心情にも敏感だ。シリンジョンは、俺の事を旧友と思っているだろう。だから俺はどんなに想いが募っても友より上に行くことは出来なかった。でも今、想い人が目の前で俺だけを見てくれている。医務室での出来事も、眠らせるためだと言い訳し続けるつもりだった。それだけだっだのに…。
「チュッ、ヂュッ…ん、ンア」
「ん、クチュッ、フんッ…」
あぁ…さっきとはまるで違う。シリンジョンが俺を受け入れてくれてる。人間まがいのこの愛し方がこんなにも良いとは。これだとまた眠ってしまうのではないか…もう今はそんなのはどうでもいい。一段落し、またも白い糸がお互いを繋ぐ。相手の顔を見れば、息苦しさは拭いきれなかったのか、目元が潤んでいた。
「いつになったら、私を拾ってくれるのだ。ダダドゥ」
いつもより掠れた声で、いつもより重たい声で、いつもより辛い顔をして…。俺は何も言えなかった。言葉がないのではなく驚きで処理しきれていない。間抜けズラを晒す俺にシリンジョンは自身の傷も気にせず俺に抱きついてきた。
「ッあ!シリンジョン、!」
「…。もう貴様の半身麻痺は治ったはずだ」
ダダドゥの胸元に顔を埋めて言う。顔は見えないが心音が早い。呼吸も荒くなってきた。そのまま待つと、やっと背中に大きな手が回った。傷に触れぬようにそっと包み込むような優しい手つきで、それでも離さないと多少が篭もる。私はそれが心地よかった。
「すまない…。俺はお前の友で、王国の裏切り者で、復讐のために滅茶苦茶にして……。ダメだと思ったんだよ。この感情を出すのは……………愛してる。シリンジョ、んッ!?」
やっと言えた。そう思った矢先に塞がれた。もちろん驚いたが嫌ではない。今回のは軽いキスで終わり、真っ直ぐな目で見つめられた。
「…やっと言ったな。長年我慢してたのが貴様だけだと思うなよ。私も、同じ気持ちだ」
「ッ…いいのか……。それともまた唾液のせいで」
「寝ぼけとらんわ戯けが!」
やっぱりお前は俺の事なんかお見通しなんだな。それでいい。それがいい。今度は素直に生きよう。
コメント
3件
ダダジョンだっ囲もう!! 好き!前々から見てはいました!今回も最高です!!
貴方は神ですか?
今回の作品も最高です…疲れが一気に吹っ飛びましたー!!!