スランプです。それではどうぞごゆっくり。
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〜花札〜
大正「これ貰うぞ。ドロー‼︎、、、チッ青タンかぁ〜」
昭和「ドローて、、、。」
大正「ハイハイ親。さっさと出せぇ引けぇ。」
朝の暖かい日を差し込んだ居間に二人は花札をしていた。昭和は大正のおっさんくさい態度に呆れつつも、大正の手で促された山から一枚の花札を引いた。
昭和(おっ、、、鹿。あと猪が出れば猪鹿蝶出来て勝ちだな。)「はい師匠アンタの番ですよ。」
大正「、、、お前は敬意が足りてないよな」
師匠の尖らせた口を被せるように私は反撃した。
昭和「毎日軍事もほっぽかして里の茶をフラフラ歩いている大将に誰が敬意を払うのですか?」
大正「それは、、、ごめんて。あっ雨貰い〜‼︎」
昭和「じゃあ山からh」
大正「いや。雨四光出来てるんですよね〜。」
昭和「なっ‼︎、、、、、、勿論こいこいですよね、、、?」
雨四光を揃えた手札を見せびらかしてきた師匠に眉を寄せて問いただす。
大正「いいやここで勝ち逃げするよ。」
だがその笑った返事は望みとは離れたものだった。
昭和「かぁーこいこいせぇよ役潰しがー。」
大正「昭和。猪鹿蝶持ってただろ。むざむざ泳がさぬよ〜。読みが外れたね。」
昭和「意地悪ー。この出来役で逃げるのか。」
私は悔しさからに畳の上へ寝そべった。師匠の顔が視界から外れ、木目調の天井が見えた。姿は見えずとも師匠の「ふふっ」と笑いが聞こえた。
大正「おいおい。敬語が家出しているぞ昭和。、、、どうする?降参?」
昭和「絶対に嫌だね。これ、、、、、、残りの一回でこの点数巻き返すのキツく無いか? 回増設することを国会議案に提出します、、、!」
大正「いいよ。一回追加ね。五十門の点数さつけてやらぁ‼︎。そういやさ毎回、回ってゆうのめんどくさくない?確かあめりか語にいい感じの言い方あったよな、、、。」
昭和(あめりか語?多分師匠が言いたいのは“ラウンド“の事なんだろう。)
咄嗟に出て来たこの世に無い日本語に私は眉を寄せた。
大正「、、、あっれー?最近、認知症予防で横文字勉強しているのになーどうも覚えが悪い、、、。」
いつまでも思い悩む師匠に呆れて本当の事を私は端的に言った。
昭和「師匠。アンタがいっているのは、あめりか語じゃなくて英語ですよ。」
大正「、、、、、、マジ?」
昭和「マジ。、、、はぁ‼︎本当アンタって外国苦手だな‼︎」
私は起き上がり怒りをぶつけてしまった。
大正「おいそんなに怒んなくても。」
昭和「師匠に負けた悔しさと英国の軍事顧問から帰ってきたばかりで、まだ報告書が完成していない事に、腹の虫が収まらないんだ、、、!」
大正「あっ場が崩れた。 」
昭和「別にいいだろう。師匠はいつもわしゃーなんだから。ほれほれ再開。」
大正「、、、、、、。」
これは「無理問答」と言う江戸時代からある言葉遊びです。
駄洒落をかけて相手に疑問をぶつけて、答える方も駄洒落と回答をぶつけます。
大正「舐められた我が心に、デカい態度とはこれ如何に、、、⁉︎」
昭和「、、、、大きくても、自立していると呼ぶが如し。」
大度…広い心
侍立…上の人に従い敬う
大正「、、、お〜まぁいいんじゃ無いの?本当に昭和が侍立しているとは言い難いが、、、。」
昭和「さぁ?」
大正「、、、ま、、、昔に比べたら幾分マシになったか。」
昭和「、、、、、、、、、。」
師匠は下を俯いて、寂しく小さな声で言った。私も下を向いて少し前の昔の様子を甦らせる。まるで野良犬のような自分の姿が浮かび上がってきた。
昭和「そうですね。私は随分と飼い慣らされてしまった。このちゃらんぽらん師匠に。」
大正「、、、、、、死ぬ前にお前の本情が見たかったんだけどな、、、。」
師匠は乾いた笑いをした。
昭和「、、、そう言えば、先の大地震で失くした足は大丈夫ですか?」
大正「あぁ問題ないよ。ただ神経が切れて自力で歩けないだけさ。」
昭和「大問題じゃ無いですか。」
ふざけて笑う師匠に私はツッコミを入れた。
大正「話を逸らすけどさ、パラオはあの大震災で無事か?大丈夫か?」
花札の場を整えながら師匠は聞いてきた。
昭和「あぁ。安全の為に直ぐに帰国させましたよ。ただ何故か凄く悲しそうな顔をしていましたね。」
私は素直にあの子の安全と様子を伝えた。普通に思った疑問をつけた答えに師匠は手を止めて、笑った。
大正「そりゃそうさ。目を覚ましたら、自分を庇う昭和が血みどろなんだもの。悲しい顔するわな。」
昭和「、、、悪い事したかぁ。」
私は後頭部をかいた。
完。
コメント
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花札なつかしすぎる! 神経切れてるはやばすぎて笑えんw