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「〜〜♪」

今日の私はいつになく機嫌がいい。無造作に上着のポケットに突っ込まれた手にはドラッグストアのビニール袋が提げられている。其の中には40錠程の薬が入った箱が2箱入っている。探偵社に提供されている住宅に着く。玄関で靴を脱ぎ、リビングまで歩く。薬の箱を開けて、1錠ずつ薬を紙皿に出していく。取り敢えず1箱分の40錠を出した。無駄に有った生命力の所為で終わらす事の出来なかったこの人生とも漸く別れの時が来たのか。コップに水を汲み10錠ほどを喉に通す。薬というものは中々に喉を通りにくいものだった。コップの水を3度ほどに分けて喉に通し漸く10錠ほどを飲むことが出来た。それを繰り返し1箱目の薬が無くなった頃やっと効果が出てきたかと思うと、物凄い吐き気に襲われた。御手洗まで行こうかと、立とうとするが足に力が入らず、その場に蹲ってしまった。もう一度立とうと試みるが今度は派手に転んでしまった。下には確か敦君が居たような気がする。時間が経つに連れ体の不快感が増していく。何とか廊下を這って行き、御手洗へ辿り着いた。吐こうと試みるが嘔吐くだけで、吐くもの等無かった。何が楽な自殺方だ。苦しいだけでは無いか。やっと死ねると思ったのに。其の時玄関の扉が開く音がした。誰かが入ってきた。敦君だろうか。先程転んだ時の音で又自殺を図っていると思われたのだろうか。矢張り私はついていない。これで死ねなかったら本当に辛かっただけじゃないか。然し、私は此処で意識を手放した。

次に目が覚めたのは、探偵社の医務室だった。心配そうに目に涙を浮かべ覗き込む敦くん。そんな敦くんを慰める国木田君たち。

「敦、君?私どうしてここに」

「太宰さんッ。良かった」

今にも泣き出しそうな目で敦くんが抱きついてきた。

「太宰ッ」

国木田君が柄にも無く涙を手で拭っている。

「太宰さん。覚えてないんですか?太宰さん自宅の御手洗で気を失ってて、テーブルには薬の梱包が散らばっテテ、今度こそ本当に死んじゃったかと思ったんですよ!皆さんも心配していたんですよ!」

「そっか、御免ね」

「皆、少し敦君と2人きりにしてくれないかな。」

「嗚呼、わかった。」

国木田君が答えた。皆が医務室を出ていく。

「ねぇ敦くん。」

「何ですか」

「どうして君は何時も私を助けるんだい?」

「すみません。太宰さんが死にたがっていること位分かっているのですが、助けずには居られなくて。」

「別に迷惑だなんて思ってないよ。私の事を気にかけてくれて嬉しい。こんな私でも大切にされていると思うと、少しだけ生きる気がするんだよ」

敦くんが泣いていた。

「どうして君が泣くんだい?」

先程の事の所為もあり、涙脆くなっていた。泣かれてしまうと此方まで泣けてくる。

泣きたいのをぐっと堪え、少しは先輩らしいことをしようと、敦くんの小さな頭の上に手を乗せた。

「有難うね。」

敦くんは涙腺が決壊した様に嗚咽しながら涙を流した。私も涙を流した。

その後、2人で笑いあった。

戻ってきた探偵社の皆に散々怒られた。でも皆んなの優しさは伝わった。

さぁ、もう少しだけ生きてみようか。

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