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_もう戻れないんだ_
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ピピピピという 目覚ましの音が鳴る
ガチャン
いつもの様に力強く叩きつける
毎日毎日こんな朝
人生クソッタレだ。
「〜〜!!!」
誰かの声が聞こえる。
「〜さい!!!」
誰?
「こら!!玲亜!起きろって言ってんでしょ!!!」
母親の声だ。
「ん…うるせぇな起きてるっつってんだろ」
「起きてないから起こしに来てんでしょ!?もう毎朝毎朝そろそろ自分で起きなさい!!!」
「うるせぇって言ってんだろ!出てけ!」
全部全部うざったい
毎朝毎朝うるさいくらいに起こしに来るババアも
結ばなきゃ行けない髪の毛も
スカートに足を通すという行為も
全部全部うざったい
「はぁ…もうなんでこんなになっちゃったのかしら…」
「昔はもっと可愛くていい子だったのに…」
しらねぇよ。お前の妄想なんじゃねぇの。
「早く起きなさいよ、遅刻するわよ」
ほら、結局そうやって呆れるじゃん。
本当は私のこと見向きもしていないくせに。
「…くそうるせぇ。」
仕方なく重い頭を支えながら起き上がる
廊下に出て顔を洗い、歯を磨き、制服に足と腕を通す。
普通のことなのになんでこんなにウザく思うのだろうか。
朝食を食べに階段をおりる
でも私はそれが世界で1番嫌いな行為
「あ!お姉ちゃんおはよ!!」
「遅いぞ、そんなんで受験なんぞ間に合うのか。 」
「早く座りなさい。」
口うるさいババアと勉強のことしか頭にないジジイ、そして私が世界で1番嫌いな妹
「ねぇ!聞いて昨日ね!運動会の徒競走で1番取ったんだ!!」
そんな妹の言葉を聞き流し私は妹の横に座る
「お、そうなのか。やはり莉亜は凄い子だな。」
「ほんと!この前なんてまたテストで100点取ってたのよ!自慢の子だわ〜!」
ああまたベタベタに甘やかされていること。
私なんて毎回毎回100点取っているのに
褒めてくれたことなんて無かったよね
あるとしたら…妹が産まれる前、か。
私と莉亜は4個違い。莉亜は小学6年生で私は中学3年生。
中学受験させられた私とは違いそのまま近くの中学に入り受験とはまだ縁のない状態。
「…やっぱ飯いらない。」
私は一口も食していない飯を横目に鞄を持って玄関へ向かう
「おい玲亜!朝食を食わないと頭が働かないぞ!!」
父親の怒鳴り声が聞こえる
「そうよ!お母さんせっかく作ったのに!」
続いて母親のキンと耳に残る声
妹はまた心配そうな目でこちらを見ている
味方をするわけでも敵になるわけでもない
そんなアイツが世界でいちばん嫌いだ
「うるせぇな自分の体なんて自分が1番わかってんだわ」
「…お前らなんかのところに産まれたくなかったわ。」
そう言い残しドアを思いきり閉めた
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学校に着き教室のドアを開ける
いつも通り誰も私なんかを見向きもしない
友達?そんなの知らないね。
ここは日本で有名な大徳中学校
日本中の頭の良い中学生達が良い高校、大学に入るために集まる中学校
日本で1番頭のいい高校として取り上げられているため、クラスメイトや他学年にも医者の子供や政治家の子供がたくさんいる。
私が入った理由はない。ただ父親に入らされた。
ここまではさほど遠くないし成績も上位3位をキープ出来るほどには追いついている。
が、それが気に入らないのか「調子に乗っている」だの「消えろ」だの考えた人達が増え気づいたら全員私を避ける。
直接的ないじめは家に関係してしまうため行わないらしい。
「…弱虫共が。」
ぼそ、と小声で唱える。
教室だと空気が悪いため椅子から勢いよく立ち上がりそのまま屋上へ向かった。
「あーーーっ!!クソッタレが!!」
屋上のドアを閉め途端に叫ぶ。
屋上だけは誰も来ない、私だけの住処
こんなクソみたいな世の中でも居心地の良いところはある。
私は大の字で寝転がる。
「…もういっその事消えたい。」
始めて声に出した弱い言葉。
そのまま私は深い眠りについてしまった。
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「ん……」
「あれ…真っ暗…?えっ、嘘授業は!?」
起きた時には真っ暗になっており急いでセーラー服を整え屋上のドアを開けようとする
が、そこにはドアなどなかった。
「は?なんでドアがないの…?」
「…というか……」
「ここ…どこ……?」
辺りを見渡すとそこは見たことの無い街が広がっていた。
ここは山の中間部なのか、上から街を一望できる。
が、間違いなくここは私の知っている世界ではない。
中国にありそうな大きな城に青い屋根の不思議な形をした建物ばかり
街灯ではなく提灯のようなもので橙色に染め上げられた街並み
「な、なんだここは…私を元の場所に帰してよ!!」
先程眠っていた場所に戻る
だがどれだけ叫んで床を殴っても元には戻れない。
「どうして…なんで…」
絶望しているとザッザッという何人もの人の足音が聞こえる。
誰か来た…?知っている人がいるかもしれないと思い私は足音のする方向に進んだ。
「おい!そこに誰かいるんだろ!!」
大きな声で叫ぶ
その瞬間足音がピタッと止む
茂みをかき分けて私を探してくれている
助かるかも、そう思ったのも束の間
茂みから出てきたのは剣や弓をもった巨大な男たち
190cmはあるだろうか…そのような男たちが7、8人ほど私の方へ向かってくる
「えっ…」
私は選択を誤ったのだと感じた
さらに逃げなければ殺される、そんな殺気までも感じた。
私は後ろに振り返りすぐに逃げ出した
「喂!等一下,孩子!」
なんて言っているか分からない…
でも今は死ぬ気で逃げる
殺されたくない…!!
逃げ始めて3分ほどがたった後
私の体が入りそうな茂みを見つけた
もう走れないと感じた私はそこに身を隠すことにした。
「你在哪里!小子!!!」
分からない言葉で怒鳴っている声が聞こえる
嫌だ…見つからないで…ただひたすらに祈り続ける。
そいつらの声が遠くなった。
茂みから出る。
が、右側から影が伸びる
「嘿,你还好吗?」
分からない…何を言っているのか…
けどふと右を見た時に私は目を見開いた
綺麗な長い白髪に青い目、そして白い着物のような服を着ている美しい男性
これが私の初めての出会いだった_。