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ついに100日目が来た。
いつもなら午前中に黄金を運び入れているが、今日は朝イチからゼミ、夕方からは飲食店での開店から閉店時間までバイト。しかも、今日は貸切だったから、帰りも遅くなることが予測された。
鑑定人には、「取引」の時間が遅くなると電話しておいた。別に明日渡すのでもよかったのだが、電話しておかないと、逃げられたなどと先方に誤解させても厄介だし、俺としても一刻も早く「取引」を終わらせて現金を受け取りたかった。
あの変態野郎には好き勝手されたけれども、それも今日で終わりだ。
夜の11時にバイト先を出ると、走って鑑定士の棲家へと向かう。
いつも通り、裏口から入っていき、住居部分でインターホンを鳴らす。
「もしもし」
「俺です。金塊を持ってきました」
「ああ、忘れていた。あー。どうしようか。まあいあや。入りなさい」
古い建物なので、カメラ付きのインターホンではない。こちらの声を聞くまで本当に俺が来るのを忘れていたらしい。なんとなく、今入るのが迷惑そうにも聞こえたが、入れた言われたのだから、入るしかない。
ほんの少し待ったあと、男がやってきて内側から鍵を開けた。
「ちょうどお楽しみの時間だったんだよ」
バスローブを纏った鑑定士がニヤリと口元を緩ませてドアの向こうに立っていた。