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「ねぇねぇ旦那、アタシ、旦那の事は信じているけどさ。本当にあの大きな鉄の鳥が空を飛べるの?
アタシが旦那を担いで走っていった方が早くない?」
移動時間的にはヘタしたらその方が早いのかもしれないが。
「折角、イギリス政府が護衛の空軍の手配付きで移動用の飛行機(政府専用機)を用意してくれたんだから、そこはホラ……ね?」
そう、事の起こりはおおよそ3か月ほど前から。
英国はロンドンの一角でジャック・ザ・リッパー事件の再来と言われる猟奇殺人事件が発生した事だ。
最初の事件の被害者は二人の娼婦と、その客と見られる男性1名。
男性はナイフで大の字に地面に縫い付けられた後、胴部~胸部をメッタ刺しにされた上、五体八つ裂きにされ、特に股間部分は男性器を中心に数十本のナイフが突き立てられており、余りに常軌を逸した光景に第一発見者が発狂するという事態に。
女性は五体八つ裂きにされた所までは男性と同様だが、何処からともなく死体にはスポットライトが当てられ、股間部には貞操帯が付けられ、そして死体は何処かの晩餐会に出席する貴婦人の様に着飾り、化粧が施されていたという。
同様の事件が3件も起こる頃には、連続猟奇殺人事件として国内外で騒がれ、スコットランドヤードの精鋭や、自称私立探偵が入交り、必死に捜査を続けたにも関わらず、現在時点まで犯人逮捕はおろか、犯人に繋がる手がかりさえも見出せず、
近年日本で名を挙げている我らが冥探偵にお声が掛かった次第である。
問。英国政府→日本政府・外務省→国家公安庁→学校経由で連絡が来た時の俺の心境を答えよ。(配点0点)
出席日数には影響しないからと笑顔で出荷した校長の笑顔は忘れない。絶対にだ。
イギリスとかいう南蛮の奥地で黄泉の国の力が通用するかも判らないので、今回は小野麗尾興業㈱のフルメンバーで行動する。
何が出来るかって?解らない。俺達は雰囲気で探偵をしている。
「とりあえず、まずは大英帝国博物館が定番ですかねー」
完全に観光気分のジャンヌちゃんに、
「冥探偵としては、有名なシャーロック・ホームズ関係は外せないわね!」
仕事とは別方向にノリノリの淡姫ちゃんに、
「あ、あの。ウナギのゼリー寄せと言うのはどの様な……」
おずおずと志子ちゃん。
いけない。それはスターゲイジーパイ・マーマイトと同レベルで触れてはいけないのだ。
「志子ちゃん、悲しい話をしよう。向こうでは朝食だけ……、そう、朝食だけを楽しむ気持ちで行くんだ。
後、紅茶も期待できる”かも”しれない」
そんな軽い雑談をしていると、フライトの時間が近づいてきた。
「ほ、本当にアレに乗るんですよね?大丈夫ですか?飛べるんですよね?」
散々動画を見せたというのにまだ言うか。
「ま、大丈夫じゃない?いざとなったらアタシはご主人様抱えて飛べるし~」
「あっずるいです!私も!私も抱えて!」
「アンタはカードに戻ればいいじゃない」
「それを言うならエインセルちゃんだって!」
「ほら、召喚モンスターは契約者を守らないとだし」
それを聞いた姉妹が両腕をガシッと掴み、
「大丈夫ですよ、旦那様。何があっても私達が最後までいますから……」
「だから落ちない!めったに落ちない…多分落ちない……きっと落ちない……?から!」
「大体おかしいんですよ!どうして鉄の船が海に浮かんで、鉄の鳥が空を飛ぶんですか!?守さんは知っているんですか!?」
「いや、知らんけど」
「それでどうして大丈夫だって言えるんですか!!??」
出発前はこんな感じでギャーギャー騒いでいたのに、いざ出発すると、窓に張り付いて外の景色にキャーキャー騒ぐのだから。
はぁ、先が思いやられる……