テラーノベル
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第36話 踏み出そう!
――期末考査、返却日。
教室には、いつもとは少し違う緊張感が漂っていた。
先生が一枚ずつ答案を返していく。
そして。
「じゃぱぱ。」
💚「はい!」
俺のところにも、答案がやってきた。
「まぁ…がんばろうな。」
え?なになに?怖い!!
恐る恐る受け取る。
……そして。
💚「…………。」
点数を見る。
一度隠す。
もう一度見る。
もう一度隠す。
それから、さらにもう一度見る。
💚「…………。」
――よし。
💚「うわぁぁぁあああああ!!!」
――40点。
平均点の、20点も下。
やばい。
💛「うるさっ!」
隣からたっつんの声が飛んでくる。
呆れ顔で俺のテストを覗き込んでくる。
咄嗟に隠す。
💚「やばいんだよ!!!」
💛「何点やったん?」
💚「聞く!?」
💛「うん。覚悟はできてるで。」
💚「……言わない!」
💛「なんでやねん。」
たっつんが笑う。
💚「だって……思ってたより……!」
💛「悪かったん?」
💚「……うん。」
💛「まあ、しゃーないやろ。」
💚「軽っ!!」
💛「テスト一枚で人生終わらへんし。」
💚「そうだけどさぁ!」
俺は答案を机に伏せた。
……でも。
前だったら、もっと落ち込んでいたかもしれない。
テストが終わったときに思った。
俺はちゃんと最後まで諦めなかった。
だから、今は。
悔しいけど。
💚「……次、頑張ろ。」
💛「お。」
💚「何?」
💛「いや、成長したなぁって。」
💚「……へへ。」
ちょっとだけ嬉しくなった。
* * *
放課後。
なんでも相談部の部室。
俺とたっつんは、いつものように机を並べていた。
💚「いやー、それにしても数学……。」
💛「まだ言っとるんか。」
💚「だってさぁ!」
💛「はいはい。」
そんな話をしていると。
コンコン。
控えめなノックの音がした。
💚「はーい!」
扉が開く。
そこに立っていたのは、シルバーグレーの髪の毛をヘアピンでとめてる、優しそうな男の子だった。
🩶「……こんにちは。」
そう、この男の子は――
💚「ヒロくん!」
2年A組のヒロくんだ。
💛「ヒロくん…ヒロくん…確かサッカー部副部長…やったっけ?」
🩶「…うん、そうだよ。はじめまして。」
💛「はじめまして…?」
たっつんの声色には少し心配の色が混じっていた。
ヒロくんの笑顔が少しぎこちないのに、気がついたんだろう。
ヒロくんはいつもなら、もう少し柔らかく笑ってくれるのに。
💚「今日はどうしたの?」
🩶「……相談したいことがあって。」
💚「もちろん!」
俺はすぐに椅子を勧めた。
🩶「ありがとう。」
ヒロくんが椅子に座る。
俺とたっつんも向かいに座った。
少しの沈黙。
ヒロくんは、なかなか口を開かなかった。
💚「……ゆっくりでいいよ。」
🩶「うん。」
しばらくして。
ヒロくんが、小さく息を吐いた。
🩶「俺……昔、小学校の先生になりたかったんだ。」
💚「先生?」
🩶「うん。」
意外だった。
でも。
なんとなく、ヒロくんらしい気もした。
優しいし。
人の話をちゃんと聞いてくれるし。
教えるの上手だし。
💚「いいじゃん!」
🩶「……でも。」
ヒロくんは、少し俯いた。
🩶「もう、諦めようかなって思ってる。」
💚「……え?」
さっきまで笑っていた俺の顔が、止まる。
🩶「俺なんかが先生になっても……ちゃんとできるか分からないし。」
ヒロくんは、ぽつぽつと話し始めた。
🩶「人前で話すのも、そんなに得意じゃない。」
🩶「勉強だって、もっと頑張らないといけない。」
🩶「子どもたちに何か聞かれても、答えられなかったらどうしようって思う。」
🩶「……もっと向いてる人がいるんじゃないかなって。」
ひとつ。
またひとつ。
諦める理由が出てくる。
俺は黙って聞いていた。
たっつんも、何も言わずに聞いている。
🩶「だから……。」
ヒロくんが、少し笑った。
でも。
その笑顔は、なんだか寂しかった。
🩶「夢なんて、諦めたほうがいいのかなって。」
部室が静かになる。
窓の外から、微かに運動部の声が聞こえる。
俺は、ヒロくんを見る。
俯いた彼の前髪の下から見えるのは。
どこか儚げで寂しげな表情。
そして。
たっつんを見る。
たっつんも、俺を見ていた。
たっつんはヒロくんとは対照的で。
何かを決意したような、そんな表情。
目が合う。
何も言っていない。
だけど。
なんとなく分かった。
💚「……たっつん。」
💛「……おう。」
俺はガタン、と椅子を鳴らし立ち上がった。
🩶「……?」
ヒロくんが顔を上げる。
その少し潤んだ瞳が微かに揺れている。
その顔を見て、決めた。
💚「ヒロくん。」
🩶「なに?」
💚「ちょっと、外行こう。」
🩶「……え?」
💚「いいから!」
🩶「いや、相談は……?」
💚「これも相談の続きだよ!」
🩶「えぇ……?」
たっつんも立ち上がる。
💛「ほら、行くで。」
🩶「たっつん先輩まで!?」
ヒロくんが困ったように笑う。
俺はヒロくんの手を取った。
その手を握る力を強めた。
絶対離れないように、絶対逃さないように、絶対置いていかないように。
🩶「えっ!?」
💚「ほら!」
💛「こっちや。」
たっつんもヒロくんの反対側の手をぎゅっと取る。
🩶「ちょ、ちょっと待って!どういうこと?」
💚「待てない!」
💛「とりあえず、走り出せ!!」
🩶「意味分かんないって!?」
俺たちは部室を飛び出した。
廊下を走る。
階段を駆け下りる。
昇降口まで、一気に。
誰よりも速く走る。
すれ違う生徒たちが目を丸くしてるのをよそに。
🩶「どこ行くの!?」
💛「細かいこと気にしない!」
🩶「いや気にするよ!!無理だよ!?」
💚「関係ない!無理なんて言わせない!」
🩶「えぇ!?」
俺は笑った。
たっつんも笑っている。
そして。
ヒロくんも。
ほんの少しだけ、楽しそうに笑っていた。
校門をとび出る。
冷たい風がビュウっと吹き付け、頬を撫でた。
俺は、ヒロくんの手を握ったまま走る。
たっつんも、反対側から手を引いてくれている。
どこへ行くかなんて、まだ決まっていない。
何をするかも、決まっていない。
でも。
それでいい。
――不安でも。
――迷っていても。
――答えが見つからなくても。
理由なんていらない。
まずは。
一歩だけでも。
一緒に、踏み出そう!
少しだけ日が傾いている。
俺たちはそのまま、カラフルな街を走り出した。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
今回は今までとはちょっと違って、言葉よりも先に行動!って感じでした笑
そして、今回の曲!使うのが超難しかった笑
実はヒロくん、文化祭編にちょっとだけ出てたんですよね!
キャラクター紹介――――――――――――――――――
🩶
ヒロ
サッカー部副部長
2年A組
優しくてちょっと恥ずかしがり屋の王子様みたいな男の子!似てる動物はやっぱりヒツジらしい。
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次回 第37話 一緒に ♡100↑
コメント
4件
ダチョウだ!これ見る前に見たから分かったゼ☆今回も最高でした!どうやって解決するんだ、、、?塾で考えようと思います☆星多くね?って自分でも思いました☆楽しみにしてます!(いや最後星ないのかよ)
今回の曲ダチョウじゃないですか!?あってますか…!?
みぅです🤍🥀 うわぁ…今回、すごく好きだな。 ヒロくんの「どうせ自分なんて」って気持ち、すごく分かる。優しい人ほどそうやって自分を信じられなくなっちゃうんだよね。 でも、主人公とたっつんが言葉じゃなくて、**手を引いて走り出す**っていう行動で示したのが本当に良かった。理屈じゃなくて、一緒に踏み出すんだよって。 「無理なんて言わせない」ってセリフ、胸にきた…。 ヒロくんがほんの少し楽しそうに笑ったのも、ちゃんと伝わってきたよ。この3人、すごくいい関係だね🌙
#からぴち
まい
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123