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物心ついたときには自分が周囲と違うことに気がついた。
「お嬢様、こちらのお食事を」
私はあれが食べたいなんて言ってしまえば罵声が来るのは理解済みだ。
「はい、メイ。分かったわ」
周囲のエルフたちは人間で言う4,5年で1歳年をとるのだが私は10年に1歳だ。
周囲と違いすぎる。
「お母様、何故私は成長が遅いの?」
昔、そう聞いたことがあった。
「貴方は神様の子供、ハイエルフだからよ。」
母は頭を撫でながらそう言ってくれたが、正直そうだとは思えない。
そんなこんなでぼけーと変哲もない日々を過ごしていた時。
「ま、魔物だ!!精霊が食われる!!」
「いやぁー!」
魔物が集落を襲った。
「魔王ニヒル・イーストラージ様の命に従いエルフの集落を乗っ取らせてもらう!…俺のボーナスのためでも有るが」
「ちょ、レート様、本音出てますよ」
「ゴホンッ貴様は何も聞いていない、良いな、アリシャ」
嗚呼、しんじゃう
「お嬢様、お逃げ下さい!!」
真っ先に駆けつけてきたのはメイだ。
「め、メイ!私は大丈夫、お母様を_」
ばしん。
乾いた音。
「馬鹿なこと仰らないで下さい!貴方の母親は体が弱い!貴方様は健康ですしハイエルフなのですよ!!」
「…ご、めんなさい」
メイの後ろに魔物。
守らなくちゃ、でも、動けない。
こんな時、力があればって何度も思う。
…狼の魔物だ。
あれの爪に割かれたら助からない。
あれに噛みつかれれば助からない。
「ひっあ、め、メイ!!」
「お嬢様…いえ、リリア・リシェイラ様。貴方にお使えできて幸せですた。時間稼ぎはします。早く逃げて!」
いやだ、いやだ。もう失いたくない!!
”デウス・ウルトの試練に合格しました。其れに伴い能力の解放を行います”
何か聞こえた気がした。時間が止まった。
”スキル、精霊魔法を習得。スキル、剣術習得。スキル、レナトゥスを習得、浄化の獲得は失敗いたしました。以上でファーストスタートは終了いたします”
この言葉が嘘ではなく本当なら。
信じるしかない。
「スキル、精霊魔法を行使!光の精霊さん、こいつらを倒して!」
世界がきれいに見えた。
魔物が居るのに。
風邪が巻き起こった途端に聞こえたのは明るい声。
「いいよ、協力してあげる〜!名前教えて?」
人の形…自我…まさか、上位精霊…?
いいえ、今はそんな考え事をしている場合じゃないわ。
「お願い!”ルクス”!私の名前はリリア・リシェイラ!!」
自然と思い浮かんだ名前。恐らく精霊さんの名前。
そして最後に行ったのはお察しの通り私の名前。
「!了解だよ、マスター。全部片づけてくるね」
ぐるるるる。
唸り声。
「ゆけ!下僕達よ!魔王様のために戦え!狂気を見せてみろ!はっはは!!面白いぞ!」
「やりすぎじゃないですか?レート様」
「これも俺の野望のためだ、もっと騒げ!!ジャイアントダークベア召喚!」
ジャイアントダークベア、ダークウルフ…。
精霊さんに襲いかかる。あ、精霊さんもやられちゃう。と思った瞬間
「あーもー邪魔ばっかり!協定くらい守れってのー!”カタルシス”」
嗚呼、一つの魔法でこんなにも浄化されるんだ。
美しい。
緑が咲き誇り、優しい風が吹く。
太陽の光が集落に指した頃、魔物は全滅。
「なっ!ば、ばかな!上位精霊がきおっただと!?ちっ…撤退だ!エルフの嬢ちゃん、覚えておけよ!」
魔王軍はそそくさと去っていった。
「メイ!起きてっ」
メイからは血がどくどく。
とまれ、とまれ。
「ど、どうすればいいの!!」
わからない、困惑ばかりだ。
「落ち着きな、マスター。今さっきレナトゥスを習得してたでしょ?」
ルクスは物識りなようだ。
「あ、そ、そっか…”レナトゥス”!!」
ぱぁぁぁ。
一帯が光り輝いて、生きていたエルフは傷が治った。
「こ、これは…お嬢様…ありがとうございます。ですが、今ので確信いたしました。人前で貴重なスキルは使わないように。人間の教会に捕まってしまいますからね」
貴重なのだろうか、私にはよくわからないがルクスも頷いているならそうなのだろう。
「分かったわ。…あ、えっとルクス。もう大丈夫よ」
短期契約だろう、そう思っていた。
「?何を言ってるの、契約完了したから僕は君の精霊だけど…」
「え!?」
使役してしまった…?精霊たちを?お友達を…?
「あ、そう責めないで…あのね、エルフでも普通に契約はするから」
「な、なら安心…?」
良かった…と胸を撫で下ろした直後、私はないていたことに気がついた。
あの後、私は集落を見回った。生き残ったのは私とメイだけ。
5人美人さんのエルフが行方不明。
其れ以外はお母様もお父様も含めて。
「もっと、早く動ければ救えたのかなぁ」
神々の救済は気まぐれである。
「お嬢様、この後はこの集落をでましょう。此処は危ない」
頭を殴られた気がする。
集落を出る?
私が神木精霊と遊び育ったこの地を…離れる?
「嫌だ。そんなの、あんまりです!」
「落ち着いて下さいお嬢様!此処にいては精霊ももういませんし、人間がまた来てしまいます!」
分かってる、でも、此処を離れたくない、忘れたくない。
「マスター。せっかくマスターは生き残ったのにみんなの分も生きようと思わないの?」
みんなの分も生きるというのが判らなかった。
「魂たちは其れが良いって言ってるけど…特に君のお母さんがね」
お母様。
愛してくださった最愛の家族。
その人の願いであらば、私もちゃんと、すべきだろう。
「それなら、私は…ッ…此処を、出る。でも、忘れない。ちゃんといつか帰る。」
「其れは良かったです…ですがお嬢様。わたくしは残念ながらお嬢様のたびに同行できません。足が不自由なのです。これは直せないものです…ですので私は手頃な集落に混ざります。またいつか。ご武運を…。大精霊ルクス様、お嬢様をお願い致します」
「もちろん。僕はマスターを守るよ」
メイが荷物をまとめ歩いていくところを私は見届けた。
ゆっくり、確かな足取りで歩いていたメイの後ろ姿。
何時もなら私の後ろに居た。
嗚呼、大切な人を沢山失った。
その分、強くあろう。
これは序の口。私が旅に出た理由。