テラーノベル
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「そっか……一人で怖かったよね」
それ以上、僕を詰問するようなことは何も聞かず、敦はそっと僕の身体を抱きしめてくれた。
彼の温もりが伝わってくる。
だけど、そんな風に優しく扱われる資格なんてない自分に対する憤りがを感じた。
「…ごめんなさい」
僕の口から出たのは、またしても情けない、幼稚な謝罪だった。
猿でも子供でもできるような簡単で薄っぺらい言葉で
自分のしでかしたことへの罪悪感や気持ちが晴れるわけがなかった。
でも、敦は僕の緊張を解きほぐすように、困ったように笑っている。
「皿割ったこと?これぐらい大丈夫だよ、皿なんてまた買えばいいし」
「それもそうだけど……また、迷惑かけちゃったと思って」
「ひろが?」
敦は不思議そうに首をかしげる。
「だ、だって、しゅん…疲れて帰ってきてるはずなのに、僕の代わりに割れた皿片付けて、手当までしてくれて…余計な仕事、増やしちゃったから」
「…もう、気にしすぎだって。俺がやりたくてやっただけで、ひろがそんなに責任感じることないよ」
敦の投げかけてくれる言葉には、攻撃性の「こ」の字もなく
どこまでも柔らかくて優しい。
だが、その底なしの優しさを素直に受け取れるほど、今の僕の心は穏やかではなかった。
「…っ、しゅんに、心配かけないように、早く拾わないとって思ったのに、それすらできなくて…僕、なにしてるんだろうって思って…」
そこまで一気に捲し立てると、敦は僕を諭すように両肩に手を置いた。
「ひろ…大丈夫だよ。俺は本当に迷惑とか思ってないから」
普通なら、普段の僕なら心から安心できたはずの敦の言葉が
今は酷く空虚で、滑らかな嘘のように響いて聞こえた。
「…でも、もしいつか、迷惑になったら…?」
「え?」
心の中で呟いたはずの暗い問いが、抑えきれずに口から漏れ出てしまっていた。
それでも、突然の言葉に一点を見つめて固まる敦の表情を見て
僕はもう止まることができず、聞かずにはいられなかった。
「…今は迷惑だって感じてなくても、そのうち僕の存在が敦の邪魔になったとき…敦は、今みたいに笑ってられる……っ?」
最低で、酷く性格の悪い質問をした自覚はあった。
こんなこと、絶対に口に出すべきではなかったのかもしれない。
当然、敦は怪訝な顔をした。
「どういう、意味…?」
「言葉通りだよ…っ、こんな病気で面倒な僕とずっと一緒にいたら、いつか一緒にいるのが面倒臭くなるかもしれない」
「面倒って……そんなこと」
「ないって言えないよ。今は笑って許してくれてても……一年後も、二年後も、同じように笑っていられる保証なんてどこにもないでしょ…?」
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莉乃ちゃん
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