重なる唇は、最初ただのキスだった。
けれど、互いの温度が伝わっていくにつれて、どちらからともなく角度が深くなる。
「……んっ、……ちょ、」
元貴が言葉を漏らすと同時に、滉斗の手が頬から首筋へと滑っていく。
メガネの奥、潤んで揺れる目。
滉斗は元貴を見ながら、ゆっくりと服の裾をめくる。
「やめろ、照れるから見んな……」
「え、じゃあ、メガネ外す?」
「……外さない。」
「えっ?」
「……かけたまま、の方が好きって言ったのお前だろ。」
その一言に、滉斗の喉がひくりと鳴る。
「……元貴、ほんとずるい。」
「うるせぇ。」
肌に触れるたび、吐息が漏れる。
メガネのレンズが少しずつ曇っていくのを、滉斗は見逃さなかった。
元貴の腰を引き寄せ、 跨る。
滉斗が沈むように奥へ、奥へ、と繋がる。
熱が混じるたび、元貴の声が揺れる。
「…っひろ、と、……っ、ん……やだ、見え……にく……」
「でも、俺は見えてる。」
「……なにが……?」
「全部。元貴の声も、乱れる顔も――あと、メガネに映ってる、俺の顔も。」
「……バカ。」
汗ばむ額、肩、胸元。
滉斗は何度も、繋がったままキスを落とす。
「可愛すぎて、やばい……」
「言うな……っ、言うな……!」
「好きだよ。……どんな元貴でも。」
声が滲んだまま、何度も重ねられた。
愛おしさと快感の境界が消えていく。
「元貴、もう……限界?」
「っ、あ……わかんね、でも……ッ」
熱が繋がるたびに、元貴の吐息が深くなる。
レンズ越しに見えるその瞳はとろんと潤んでいて、
涙が溜まりかけた目元すら、滉斗には愛おしくてたまらなかった。
「まだ……もっと動いていい?」
「っ……バカ、勝手に……しろよ……」
許可とも拒絶ともつかないその言葉を、
“肯定”と受け取った滉斗は、さらに腰を揺さぶり、深く押し込んだ。
「っ、んん……っあ、ぁ……!」
元貴の声が震える。
「元貴、めちゃくちゃ可愛いよ……全部、感じてる声、俺だけに聴かせて……」
「やめっ、滉斗……そんな、こと……っ」
「なに? やだって言いながら、締めてきてるよ?」
「バカ……っ、そんな、の……あぁっ、ん……!」
滉斗が律動を速めるたびに、
奥の奥まで擦られて、元貴の身体が跳ねる。
「…ねぇ、っ、最後……メガネ、汚していい?」
「っ……は?」
「だめ?」
「……好きにしろよっ…バカ…っ」
やがて、限界が近づく。
「っあ、あっ、あ……っ! やば……イき、そう……!」
「元貴、イって……俺の中で、全部、俺に晒して?」
「っ、あっ、も、無理……ッ! ひろ、とッ…イく……イく、イッ……!!」
背中が反り返り、声にならない声が喉の奥でひゅっと漏れる。
「っ、あ、ぁ……っ!! んんっ……ッ!」
ビクッ、ビクッと全身が震えながら、
熱が奥から抜け落ちていく。
「ごめん……俺も……イくっ……!」
跳ねた白濁が――
メガネのレンズにぴしゃっ、と届いた。
「……っ、マジで……」
「やっちゃった……メガネ、めっちゃ汚れた。」
「……ほんと、お前……最低……」
「やっぱり今日のオフ貴、俺の一等賞だわ。」
「黙れ。」
「……そしてその顔、もっと好き。」
「……滉斗?」
「…はい、メガネ洗ってきます。スミマセン」
END💕
コメント
3件
もとぱはやっぱいいですね…… 主さん書くの上手すぎる……!