オレンジの髪に所々に入ったモノトーンのメッシュ。
毛先を遊ばせながらもまとまりのあるシルエットに整える。
せっかく高校に入って新しい人もいるわけやから髪型も変えようかな。なんて、耳にかけてみたり、編み込んでみたり。
やっぱり普段の髪型が一番落ち着くと思って、編み込んでいた髪を解いてわしゃわしゃと元の形に戻す。
「うるみや〜!」
「学校行く30分前には出るって言うたんやないの?」
橙「あかん!もうこんな時間や!」
髪型のことで頭はいっぱい。
どうも洗面台の前に立つと自分の中で時間は止まってしまうようで、母親に声をかけられるまで時間なんて概念は消え去っていた、
橙「ありがとな〜!」
橙「ほな行ってくるわ!」
通学用のリュックサックを背負い、玄関の扉を優雅に開けた。
春の暖かさとともに、やんわりとした光を放つ太陽。
高校生になるうるみやの門出を晴れ晴れと祝う。そんな天気だ。
橙「いい天気だなぁ…」
俺は己の顔の良さを自負している。
ナルシストなわけではない。
だが、幼い頃から寄ってくる女子達は口を開けば「顔がいい」だの「イケメン」だの五月蝿い。
極めつけは、中学でこっちに転校してから数週間後
「うるみやくんが好きになったから」
とクラスの迷惑系陽キャ達が相次いで振られ、いじめまがいのことまでされたのだ。
こんなの自覚しないほうがおかしいだろ。
「うるみやは顔がいい。きっと性格もいいんだろうな。」
こんな偏見が俺のなかで革命を起こした。
自分の需要がわかっていれば、供給してしまえばいい。
そんな考えがうるみやを僕にしていく。
うるみやを、”うるみや”にしていく。
橙「おはようございます」
「おはよう うるみやくん!」
「今年も同じクラスだね!」
橙「そうですね、」
橙「知り合いがいて”僕”も嬉しいです…w」
今日も仮初のうるみやを背負って行きていく。
続きません。おそらくね。
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