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大好きな水族館
このお話は、4才のいとこと水族館に行った時のお話を元に書きました!
かなりリアルに再現できたと思います!
楽しんで頂けたらうれしいです!
リクエストは、この次のお話から順番に書かせていただきます!
ゆっくりお待ちいただけるとありがたいです!
水族館の入り口をくぐった瞬間、
「おっきいおさかな!!」
「さとちゃん!あれ!あれーーっ!!」
「あ!!いもぽぽろん!!わー!!」
※イモリのことです
莉犬のテンションが天井突き抜けた。
「ちょ、莉犬!走んないで!手……」
繋いでた手はもういない。
まるで弾けたボールみたいに走っていって、目に入った水槽の前にべったり張りつく。
「おさかなさん泳いでる!!」
「見て!見て!!ぱくぱくした!!」
水槽のガラスをばんばん!と叩く。
「莉犬、ばんばんしないの。魚さんびっくりしちゃうよ」
「でも!見えたの!!おっきいの!!すごいの!!」
「うん。でもさ、静かに見ようね。おさかなさんも、他のみんなもびっくりだよ」
言ってるそばから、次の展示へ突撃。
人混みの間を縫ってイルカの前へ、
前にいる人の間に割って入って、最前列で手をバンザイしてジャンプ!
「さとちゃんーーー!!イルカさんいるぅぅーー!!」
叫びながら、ぴょんぴょん飛び跳ねる。
微笑ましく見てくださる方もいれば、睨む人もいる。
そんなの当たり前だ。静かに水族館を楽しみたい人の方が多いはずだし。
でも、隣のおばちゃんがちょっと引いた顔してこっち見てるのが、目の端に入った。
しかたのない事なのだが、やはり心が痛む。
(……これ、まずいな)
「莉犬っ」
俺がようやく追いついて、莉犬の肩をぽんっと掴んだ。
でもまだピョンピョンが止まらない。
「すごいの!ジャンプしたの!イルカっ、イルカぁ!!」
息切れして、耳が赤くなるくらい興奮してる。
こうなると、言葉は届かない。
「莉犬、落ち着こうね」
俺はそっと莉犬を持ち上げて、水槽から少し離れた、館内のベンチまで連れて行った。
「やだっ、イルカッ!!イルカッ!!」
「莉犬、見て。ほら、俺の目見て」
少し強く、でも優しく目線を合わせた。
「莉犬の声、大きすぎておさかなさんも、他のお客さんもびっくりしちゃってるの。分かる?」
莉犬は少し不安そうな顔で、口をぎゅっと結んだ。
「莉犬も救急車の音とか、ビックリするよね。」
うん、 って、小さく呟いた。
「それと一緒。みんなも、莉犬の声大っきいなってびっくりしちゃうの。」
「だから、深呼吸して、落ち着いて見にいこうね」
俺は深呼吸してみせる。
「すー……はー……いっしょにね?」
「すー……はー……」
「もういっかい。すー……」
「すー……はー……」
だんだん、莉犬の目から興奮の火が引いていく。
手の力も抜けてきた。
「イルカさんすごかったね?」
「うん……すいすいって、かっこよかった」
「でも、おっきい声とか、じゃんぷじゃんぷは、我慢してみようね。」
莉犬はちょっとだけ頷いて、小さく「ごめんなさい」って言った。
俺は、莉犬の頭をぽんっと撫でた。
「怒ってないよ。嬉しい気持ちが、先に出ちゃったんだよな」
「うん……」
「よし、じゃあ、次のお魚さんも、“びっくりさせない声”でいこっか?」
「がんばる……!」
そのあとの展示では、
莉犬は時々「うっかりばんばん」しそうになりながらも、少しずつ声を抑えられていた。
ジャンプも我慢して、俺の袖を引いて「さとちゃん、みて……!」って言えるようになってた。
帰りのお土産コーナーでは、大好きなイルカのパズルをお買い上げ。
「これは、ぼくのおともだち~♪」って鼻歌交じりでご機嫌。
でも、館内カフェに着いたとたん――
「おもちゃ!!おもちゃやるの!!」
「ちょ、今おやつの時間でしょ。あとでやろ?」
「やだっ!おもちゃああああーーー!!」
また床に座り込む。
(さっき落ち着いたと思ったのに、またスイッチ入っちゃったか……)
でも今回は、俺もちょっとコツがつかめてきてた。
「莉犬、見て。おもちゃ、大事にしたいよな?」
「……うん……」
「今ここで出したら、部品なくなったら悲しいよ?」
「やだ……なくなるのやだ……」
「じゃあ、おもちゃはポシェットの中でお昼寝。おやつ食べたらおはようしよっか?」
莉犬は一瞬だけ唇を尖らせて、
でも「……わかった」って言ってくれた。
テーブルについたあとは、
ちょっとぐずぐずしながらも、アイスをひとくち口に入れて、にこにこな莉犬。
俺はその笑顔を見て、ちょっとだけ心の中でガッツポーズした。
コメント
2件
投稿ありがとうございます!! 水族館が私は好きでずっと魚の群れを見てます笑 主様は夏休みどんなことしましたか?私は…少しトラブった+学校に行かなければいけないと言うことで大変な思いをしております…😭 続きはゆーっくりで大丈夫ですので待ってます!! コメント失礼しました!!