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気づいたら窓の外がうっすら明るくて、いつの間にか眠っていたらしい。目を開けると、すぐ近くにクロオの横顔があった。
彼は椅子ではなく、いつの間にかベッドの端に腰かけたまま寄りかかって眠っていて、指先はまだ私の手を包んだまま。
「..寝てる」
その顔があまりに無防備で、「こう見てると幼く見えてかわいいなぁ」と思わずそっと指を動かすと、すぐに彼のまぶたがふるっと揺れた。
『ん..おはよ。具合どう?』
寝起きの少し低い声が、胸に直撃する。
「うん….なんか、だいぶ楽になったよ」
するとクロオはふっと微笑んで、私の額に自分の額をそっと重ねてきた。
『熱、ほとんどないな。よかった…ほんとに、昨日は心配でたまらなかったんだからな〜』
「昨日いっぱい甘やかしてくれたから…」
そう言うと、クロオはゆっくり頭を撫でながら、意地悪そうに口角を上げた。
『甘やかすのは今日も続行。
..治りかけの時こそ無理させたくないの、俺の方針だからねぇ〜』
「そんな方針あったの?」
『今決めた。お前が可愛いから、守るための大事な法律』
そう言って布団をそっと肩までかけ直してくれる。
撫でる手つきがやけに優しくて、また涙が出そうになる。
『あ、泣くな。泣いたら…..抱きしめたくなるだろ』
「してもいいよ….」
言った瞬間、クロオの動きが止まり、次の瞬間には強く抱き込まれていた。
『あぁもうほんとに可愛いんだから。朝からそんなこと言われたら、離せなくなる』
胸に顔を埋められながら、背中をぽんぽんされる。
『今日は俺が全部世話すっから。飯も、飲み物も、着替えも、なんならお風呂まで入れたげるけど?』
「なっ、そこまでしなくても…」
『する。文句は受け付けません。俺は”ナマエの看病係”に立候補したんでネ!断るならキャンセル料がかかりますよ〜』
少し照れながらも強引なその口調に、心がじんわり温かくなる。
『..ほら、朝ごはん作るから、おいで』
ぎゅっと包まれるその時間は、治りかけの朝なのに、昨夜よりもっとあまくて息が詰まりそうだった。