そろそろクリスマスなので、ケーキが食べたくなるよね!(久しぶりっす)
ケーキバースとは?
この世界では、オメガバースのように「ケーキ」、「フォーク」、「その他」の人間が存在するよ!世界を構成するのは「その他」の一般人が大多数を占めているんだ!
「フォーク」の人間には通常の味覚が無く、「ケーキ」である人間だけを甘くて極上のケーキのように食べられる!
通常の味覚が無い分、「ケーキ」に目がなく執着し、最終的に捕食に至ってしまうため世間からは「予備殺人鬼」と言われている。
ちなみに、自分はオメガが分かんないんだよ〜!
これは、そんな世界にいる、フォークとケーキの話…
警察署の屋上で一人呟いていただけだ。
“…はぁー…お腹は減ったが、食べなくないな…”
[どうしたの?オルカちゃん。]
突然、声を掛けられ驚く。気付いたら隣に居た。
最近、何を食べても美味しくない。ゴムを食べているようだ。
しかも、甘い匂いがしてくることがある…
“レッサンは味を感じるか?オルカは感じなくなっちゃったんだ!”
[え?そりゃ感じるけど…オルカちゃん、病院に行ったら…?]
“病院はいいよ!色々あるし…”
しかも、今日は大型があるんだ。休んでる場合ではない。
[…?お腹減ってるよね?カップケーキでいいなら食べよ?]
正直、食べても意味ないと思っていたが、食べることにした。
“…美味しくないなぁー…やっぱり、食べる意味ないのか…”
ピロン!パシフィックの通知が鳴ってしまった。
“ん!パシ行かないと!?”
[うん!私ヘリ出すから!!]
パシフィックの方向からは、ほんのり甘いケーキの匂いがする。
“今どのギャングが来て…え?”
噎せ返る程の甘い匂いにクラクラしてきた。
“ごめん…レッサン、目眩が酷い。遅くなるな。”
…
無事に制圧は出来ている。犯人の中には…
ハンが居た。
理性を失うような、強い空腹感と、甘い匂い…
眼の前に居るハンに齧り付こうとした瞬間に、
[オルカちゃん!?大丈夫!?]
慌てたレッサンに止められた。しかし、もう限界だ。
“ハン…ちょっと…ごめんな…!”
「やめろ!!」
動きが止まって正気に戻った。
“…ごめんな、オルカおかしくなっちゃったんだ…”
息が止まるほどの空腹が、理性によって覆される。
“ごめんな…っ…バイバイ…”
とりあえず、ヘリに乗って本署に戻る。
ずっとヘリの中で葛藤し続けていたが、結論は見当たらない。
“オルカ帰還したー!”
果たして、本当にあれはなんだったのか。
少し、気になる。
“…レッサーン?犯人どうなった?”
[今プリズン行ったよー?どうかしたの?]
何もかも終わったんだから、もう大丈夫だ。だから…
“ハーンー?終わったかー?”
そっと扉のそばから声をかけてみる。
「え!?オルカ…?な、なんでこっちに…?」
ハンは、刑務作業が終わっていたみたいだ。しかも、明らかに動揺している。
“…オルカが責任とらないとだからな!”
“ごめんな、オルカが悪いんだ。”
「…オルカは、食べてみたかったのか?」
迷うまもなく、答えた。
“あぁ!”
とても腹が減ってきてしまう。絶対に食らいつくしたい。
「オルカ、俺のこと全部食べていいんだよ。」
「もう大丈夫…心配しないでくれ」
よく分からない。食べていい…?でも!大切な人だから…
“とりあえず…一緒に遊ばないか?”
落ち着いて、とりあえず優しく居ような。
“たまには、のんびり過ごそう?”
「そうだな。久しぶりにさ、どっか行くか!」
こういうなんでもない時間を想い出に、塗り替えていく…
“あははっ!ハン!”
久しぶりに無邪気に遊ぶ気がする。このままずっと続いてほしかった。
「ハハハッ!楽しいな!」
しかし、この平穏を崩す匂いがいる。
甘い、食欲を最大限引き出すような匂いがしている。
“なぁなぁハン…”
少し控えめに、喋ってみる。
「どうしたんだー?」
“ハンのこと、食べちゃっていいか?”
欲望が溢れて止まらなくなってしまったから、この提案をした。
「あぁ!食べていいんだよ!」
“ありがとう…ごめんな、いただきます”
…
そこからの意識はあまりないが、極上の甘さにうっとりした。
“へ…?な、なんで…あぁ、そっか。”
美味しかった。そのことだけは、忘れやしない。
“あはは…ごちそうさまでした”
この味が忘れられない、追い求めるしかない。
全部全部美味しかった。甘い甘いチョコのような味…
“ありがとな…ハン!”
もう食らいつくしたから、何も残っていない。
残ったのは楽しい想い出だけだ。
誰も知らない殺人犯が、また生まれてしまった。
欲望を求める
End52