テラーノベル
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「孝介、いる〜?」
いつも通りノックなんて無し。
玄関に鍵が掛かってないなら孝介は必ずいる。
「あやのちゃん…急に開けないでよ。もう…びっくりするじゃん」
「何よ?急に開けられて困ることなんかないでしょ?」
「いやそれは…あるかもしれないじゃん…」
「で、なに?」
「何って…あたしが来なきゃ、おじさんとおばさんが帰ってくるまで一人だからって…別に珍しくもないじゃない」
「あのさ、これからはあんまり来なくていいから」
「えっ、なんで?」
「それは、その…か、彼女に悪いし…」
「彼女…?彼女!?うそっ!なにそれ!?」
「昨日、告白して…付き合うことになった」
彼女?孝介に!?
大人しくて口下手だから大丈夫だって…安心し過ぎてた…幼馴染だし、あたししかいない孝介はそのうちあたしと付き合うと思ってたのに…
「へ、へぇ〜…よかったじゃない」
全然よくない!完全に油断してた。
孝介が誰かの彼氏になるなんて…
「ちなみに誰よ?」
「い、いいじゃん、別に…」
「よくないわよ!あたしは、幼馴染として知っておく義務があるんだから!」
「義務?…なにそれ…同じクラスの座間さんだけど…」
あの子!明るくて長い髪の…違うクラスのあたしでも知ってる…かわいい子だ…
「なんで孝介があんなかわいい子と付き合うことになったのよ?」
「その…同じ委員会なんだけどちょっと前に僕の鞄に付いてるポチモンを見られて。ワンたろうトリオ知ってるの?て話し掛けられたんだ」
孝介が好きな幼児アニメのキャラ?
「で?アニメが好きで?それでどうして付き合うことになるの?」
「高校生でまだ好きなんてやっぱり珍しいじゃない?話せる友達がいなかったんだって。それで色々話してたらなんか気が合って…」
「それで告白してみちゃったの?」
「う、うん。今思ったら早すぎた気もするけどなんか、OKだった」
あっ、そんな顔して…胸が痛い…
「そう、よかったじゃない!あんなかわいい子と付き合えるなんて。オメデトウ」
「ありがとう」
後悔する…今更だけど…孝介の中ではあたしはただの幼馴染だったんだ…悔しい…
「そ、だからあたしはもう来ない方がいいってこと?」
「うん…だって座間さんが知ったらやっぱり嫌だと思うんだよね」
あたしより彼女…当然か。
「でも残念でした。あたしは孝介のおばさんからあんたのこと任されてるんだから。これからも来るわよ。座間さんには内緒にしときなさいよ」
「えっ!でも…」
「大丈夫。もし玄関に見慣れない靴があったらその時はそっと帰るから。気にせずいちゃいちゃしていいからさ」
いちゃいちゃ…自分で言って泣きそうになる。
「いちゃいちゃって!そ、そんなの…しないよ」
「しないの?いちゃいちゃ?」
「付き合ったばっかりだし!何言って!い、いちゃいちゃ…?」
そうだ…付き合うのが無理でも…せめて…
「まっ、そういうことだから。これからも彼女が来てない時は変わらず来るからよろしくね」
それだけ言って回れ右をする。
「あっ!あやのちゃん!ほ、本当にこれからも来るの?」
「とりあえず応援してるから。すぐに振られないように気を付けなさいよ!」
振り返ってウインクする。
階段を降りながら、溢れる涙は拭いても吹いても止まらなかった。
コメント
1件
うわあああ読んだ読んだ!!😭💔 めっちゃ刺さる…「幼馴染=安心」って油断してたあやのちゃんの気持ち、痛いほど伝わってきたよ…。自分で「いちゃいちゃ」って言って泣きそうになるシーン、エモすぎて胸がギュッてなった…。 最後のウインク、強がりで精一杯なのが泣ける🥺 続きが気になりすぎる!!あやのちゃん、このまま彼女のこと応援し続けるのかな…それとも…?