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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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「そんなに見つめられたら穴が開きそう」
前を向いたまま突然そう言われ、咄嗟に「すみません」と謝罪の言葉を口にする。
弁明のしようがなくて、今の私にはそっとうつむくことしかできない。
「どうしてわかったんですか?」
「気配。視線って感じるだろ?」
バレないだろうと高をくくっていたからバチが当たったのかもしれない。穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。
「顔が真っ赤だ。かわいいな」
運転しながらチラリと顔をこちらに向けた彼がクスクス笑う。私は羞恥と緊張で心臓が爆発しそうだ。
「かわいいとか……からかわないでください」
「からかってないよ。正直な感想。どうせならさ、ちゃんと俺と目を合わせてほしいな。今度は逆に俺が穴が開くほど見つめようか?」
「社長がするのは反則です」
それにどれほどの威力があるのか、彼は自分ではきっとわかっていない。大半の女性が胸をときめかせるに決まっているのに。
アハハと声に出して楽しそうに笑っている姿がなんだか新鮮で、さっきまで恥ずかしかった気持ちが次第に消えていった。
「社長も、冗談を言ったりするんですね」
「楽しいときには。でも……朔也と一緒にいるときはアイツのほうが明るいから、俺が目立たないだけかも」
朔也と聞いて一瞬誰だろうと考えてしまったけれど、五十嵐専務だ。本当にふたりは仲がいいみたい。
それよりも、『楽しいときには』と言ってくれたことがうれしくて、ニヤニヤとした笑みを浮かべてしまう。
今の会話を素直に受け取ると、彼は今、私といて楽しいと思ってくれているのだから。
一時間ほど走行したところで車は高速道路から降りて一般道路を進んだ。
道路標識の地名からするとここはまだ東京のようだけれど、かなり西側までやって来ている。
「もうすぐ着くよ。この先をもっと行ったら奥多摩なんだけど……それは遠いから今日はこのあたりで」
「あ、はい」
このあたりと言われてもよくわからないなと思いつつ車窓から景色を眺める。
空気が澄んでいるせいか山の緑が青々としていてとても清々しい。
身も心も浄化されそうでうっとりしていたら、穏やかに流れる川が視界に入ってきた。太陽の光を浴びた川面がキラキラとしている。
「うわぁ、綺麗……」
「じいさんと何度か釣りをしに来た場所なんだ」
河川敷まで乗り入れたところで静かに車が停車した。
外に出てみるとひんやりした空気が心地よくて、両手を大きく広げて深呼吸をしてみる。
穴場なのか、遠くのほうに釣り人の姿が見えたけれど、近くには人はいなかった。
「本当に素敵なところですね!」
「気に入った? 連れてきてよかったよ」
「私、自然を満喫するのが大好きなんです」
「俺も」
好みが合う、とはこういうことなのだと実感して心が弾んでくる。その相手が神谷社長ならなおさらで、ひとつでも多くの共通点があればいいのにと密かに願う自分がいた。
「俺ひとりの予定だったからテントは持ってきてないんだ。オーニングを出そう」
このキャンピングカーの側面には、サイドオーニングと呼ばれる伸ばしたり閉じたりできる屋根が付いているそうで、彼がクランクハンドルという棒状のアイテムを使って素早く設置してくれた。
「ありがとうございます。すごくキャンプっぽくなりましたね」
「日陰も必要だしね」
たしかにこれがあると直射日光が防げるので暑さ対策になる。日焼けしたくない女性にもありがたいアイテムだ。
「私にもなにか手伝わせてください」
「じゃあ、この椅子を出してくれる?」
車のバックドアを開けると、トランクの右端に折り畳みのアウトドアチェアが二脚あった。
その隣にはローテーブルのセットが入っているバッグが見える。当然ながらどちらも我が社の商品だ。
コメント
1件
うわ、この回めっちゃ良かった……! 社長に「かわいい」って言われて顔真っ赤になる主人公、こっちまで照れるわ。 しかも「楽しいときには冗談言う」っての、あれ本心だよね? 主人公といるのが楽しいって暗に言ってるし、自然の中で趣味も合うとか反則すぎる。 オーニングとかキャンピングカーのギア描写もしっかり入ってて、作品の世界観が広がった感じがして好き。次の展開が気になる〜!🔥