渡辺side
俺は普段、いざ本人を目の前にして気持ちを伝えようすると、いつも1番大事なことには口下手で、どうでもいいことばかりを口走ってしまう
だけど今日は、気恥ずかしいとか、照れてしまうとか、そんなものを簡単に越えられるくらいに、伝えたくて仕方がなかった
「おれ、めめが好きだ」
「ぅえ?」
めめがなんか変な声を出したけど、今の俺は止まってられないから構わず続ける
「めめ、ずっと好きでいてくれてありがとう。ずっと待っててくれてありがとう。ずっとずっと、大事に大事に、想ってくれててありがとう。全然気付いてなくってごめん。今さら気づいて遅すぎるかもしれないけど、めめがいいって言ってくれるなら、これからはおれも好きを返していくから。」
「……意味、わかったの?」
「ううん、わからなかった。でも何か意味がある気がすると思って、気になって。だから、あべちゃんに聞いたんだ」
「え?阿部ちゃんに?でも…」
「おれも迷ったんだ。でも、お前の想いを知りたい気持ちの方が勝った。それで、あべちゃんに話しかけた瞬間に気づいたんだ、あべちゃんへの恋心はちゃんと終わってるって」
「……そっか」
「意味を教えてもらった瞬間、めめのことをいっぱい思い出して、心がすっごくあったかくなって。それで間違いないって思った。めめ、好き。おれはめめを大事にしたい」
「っ……そっか…っ」
「待たせて、ごめん」
「ううん、大好きだよ、翔太くん」
めめは笑った、そして涙を流した
泣き笑いのその顔を本当に愛しいと思った
「翔太くん。いっぱい、いっぱい2人で話したいことがあるんだ。一緒に歩きたい道も、一緒に見上げたい空も、一緒に味わいたいものも、いっぱいある。
……だけど、今は、今この瞬間は、ただ抱きしめさせて欲しい」
「うん、おれも。おれも、今は、めめのことを抱きしめていたい」
そっと抱きしめあって目を瞑る
俺たちの座るソファに静寂が溢れていく
しんとした、音のないその空間は、とても暖かく俺たちを包み込む
その気持ちよさに浸って、時が流れていく
お互いのトクトクという心臓の音と、ゆっくりと肩を上下させる呼吸の音だけに耳を澄ませる
この日の、この暖かな静寂を
俺は一生、忘れることはないだろう
おわり
コメント
8件
お疲れ様でした😊 良い作品を、ありがとうございます😊

おわったーーーーー!長かった… これからゆっくり加筆修正しますので、気が向いたらまた読み返しに来てください😊