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#しーちゃんの小説コンテスト
めんだこ🤍🐙✨️
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(株)姫神V
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夜の港町は、不気味なほど静かだった。
波の音だけが、ゆっくりと岸へ打ち寄せる。
ルルの家では、セトが縁側に座り、夜空を見上げていた。
「眠れない?」
隣に座ったルルが、温かいお茶を差し出す。
「……うん。」
セトは湯呑みを両手で包み込む。
「神代さんの言葉……考えてた。」
「百年後のこと?」
セトは小さく頷いた。
「僕、本当に長く生きるなら……。」
「ルルがいなくなったら、また独りになるのかなって。」
その声は震えていた。
ルルは少し考え、ゆっくり笑う。
「じゃあ約束しよう。」
「約束?」
「どんな未来になっても、お前が一人で泣かないようにする。」
「でも……。」
「俺一人じゃ無理かもしれない。」
「え?」
「だから町のみんなにも、お前を任せる。」
セトは不思議そうに首を傾げる。
ルルは立ち上がり、港の方を見る。
「この町はさ。」
「血が繋がってなくても、みんな家族みたいなもんなんだ。」
「俺がいなくなっても。」
「きっと誰かがお前の隣にいる。」
「だから未来は怖くない。」
セトは目を潤ませながら微笑んだ。
「……うん。」
その時だった。
遠くで犬が一斉に吠え始めた。
狼耳がぴくりと反応する。
「……来る。」
セトは立ち上がった。
「ルル。」
「町のみんなを起こして。」
「どうした?」
「嫌な匂いがする。」
風に乗って運ばれてきたのは、金属と火薬の匂い。
それは研究所の部隊が使う装備と同じだった。
港町の入口。
黒い装甲車が五台。
黒いヘリコプターが一機。
武装した隊員たちが静かに展開していく。
「目標は実験体No.0124。」
「住民は排除対象ではない。」
「ただし抵抗する者は制圧。」
指揮を執る男が冷たく命令する。
その男の胸には、研究所理事会直属部隊の紋章が付いていた。
「神代隊長は?」
隊員が尋ねる。
「命令に反対した。」
「現在、拘束中だ。」
その言葉に、隊員たちは顔を見合わせる。
神代までもが止められなかった。
それほど今回の作戦は強行だった。
「みんな!」
ルルは鐘を鳴らして町中を走る。
「起きて!」
「研究所の連中が来る!」
次々と家の灯りがつく。
源じいも飛び出してきた。
「本当か!」
「うん!」
「セトが気づいた!」
数分後。
港には町の人々が集まっていた。
漁師たち。
商店街の人たち。
子どもたちは避難所へ。
女性たちは老人を連れて安全な場所へ向かう。
誰一人、セトを責める者はいなかった。
むしろ。
「セトくん!」
「ここは俺たちが守る!」
「安心しろ!」
その言葉に、セトは胸が締めつけられる。
「みんな……。」
「ありがとう……。」
しかし、その時。
夜空からサーチライトが照らされた。
ヘリコプターだ。
「目標確認。」
強烈な光がセトを照らす。
「見つかった!」
隊員たちが一斉に港へ突入する。
「確保!」
セトは反射的に前へ出た。
「ルル!」
「みんなを守って!」
「セト!」
「お願い!」
青い光が身体を包む。
長い青と水色のポニーテールが夜風に揺れる。
狼耳が大きく立ち、白衣がはためく。
ふわふわとした大きな尻尾が広がり、オッドアイが鋭く輝く。
「……来て。」
低く呟いた瞬間。
森の奥から何匹もの狼が姿を現した。
「えっ……。」
ルルは息を呑む。
野生の狼たちが、セトの周囲へ集まってくる。
一匹。
また一匹。
十匹以上。
セトは驚いていた。
(僕が……呼んだ?)
狼たちはセトの前へ並び、隊員たちを威嚇する。
その姿は、まるで王を守る群れだった。
「動物まで……!」
隊員たちが足を止める。
その隙に、海から大きな水柱が上がる。
ザバァッ!!
巨大な影が海面を泳ぐ。
何匹もの鮫だった。
港の周囲を旋回し、船を近づけさせない。
セト自身も理解していなかった。
狼と鮫。
二つの遺伝子が完全に覚醒し、野生動物たちと心を通わせる能力まで目覚め始めていたのだ。
「撃つな!」
隊員の一人が叫ぶ。
「住民もいる!」
しかし理事会直属の指揮官は冷たく言い放つ。
「構わん。」
「実験体を回収しろ。」
銃口がセトへ向けられる。
その瞬間。
一人の男が隊員たちの前へ飛び出した。
「そこまでだ!」
「!!」
神代だった。
腕には拘束を解いた痕が残っている。
「神代隊長!」
「命令違反ですよ!」
神代は隊員たちを睨みつけた。
「理事会は間違っている。」
「これ以上、罪を重ねるな。」
「退け。」
「できません。」
「なら。」
神代は静かに銃を抜いた。
「私が止める。」
部隊全体が騒然となる。
味方同士が銃を向け合う異常な光景。
セトは目を見開いた。
「神代さん……。」
神代は振り返らずに言う。
「逃げろ、セト。」
「君だけは、生きろ。」
その横顔には、もう冷徹な研究者の面影はなかった。
一人の人間として、過ちを正そうとする強い決意だけが宿っていた。
港町を舞台にした戦いは、ついに理事会と神代、そしてセトたちを巻き込む全面対決へと発展していくのだった。
コメント
1件
ふわあ…ついに来たね、全面対決。セトが狼呼んだシーンはマジで鳥肌立ったわ。しかも鮫まで!二つの遺伝子覚醒って熱すぎる🔥 神代さんも拘束解いてまで味方になってくれて、もう涙腺緩む…。町のみんながセトを責めずに「守る!」って言ってくれたのも沁みた。ルルの「誰かがお前の隣にいる」って約束、ちゃんと果たされつつあるね。次回、どうなるんだろう…めっちゃ気になる!