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感情の礎

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日常は非日常に、夢は現実に

♥

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2023年06月17日

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「ねぇーえ、今日の放課後暇?」

と冬真とねいちゃんに聞くと、冬真は相変わらずの鬱陶しそうな表情を浮かべていた。でも、それがいいんだよね、と自分に言い聞かせながら、私は2人に笑みを浮かべた。

「ひまだよ。」「それなりに。」

と2人は返事した。

やった!と私は笑顔で返事をすると、冬真はいつもはだるそうに歩いていた。でも、今日は違う。何かが違うなって思って彼のことを見ると、彼は

「何しに行くの?」

と質問してくれた。その質問に嬉しくて、私の顔にはついに笑みがこぼれた。

「今日は弥音の誕プレ買いに行く!弥音の誕生日20日なんだー!」

と私は説明した。弥音とは、私たちの共通の友達で、私の恋愛相談相手だ。

「ふーん、でも今日暑いからやだなー」

と冬真が答える方を見ると、私は彼の綺麗な横顔に汗が滴っているのを見て、心臓が少し高鳴った。

「じゃ、じゃあアイス買うから!」

「チョコミントな。」

と待っていたように答えた。私は彼の扱い方が上手だと思ってしまった。

ほっぺたを膨らませる私を見て、ねいちゃんは笑った。

「んじゃ、後で。」

「うん!」「ん。」

そして、放課後になった。


「あっ、遅かった?」

「遅い。」

冬真とねいちゃんが話しているところに、急に声をかけた私には、2人が驚くのではないかと思ったが、全く驚かなかった。

「いや、冬真。時間には間に合ってるよ?」

「ねいちゃんの言う通りだよ!?」

そして、誰かが行こうと言ったわけでもないが、3人は歩き出した。


「誕プレ買えた!弥音喜んでくれるかな?」

私がにこっとすると、冬真が真剣な顔をして言った。

「アイスは?」

「あっ…早く行こう!」

アイスを買いに行こうとしたら、冷たい風が吹き抜けた。

「あっ…!」

帽子が高く高く飛んでいった。その帽子を取りに行こうと歩き出そうとすると、冬真が取りに行ってくれた。すると、冬真をめがけて、

キキーッ

トラックが冬真を轢いた。赤く舞った液体が私のほっぺたに当たって弾ける。冬真の身体が力無くその場に倒れた。

「えっ、」「は?」

「は、冬真…?」

「い、いやぁぁぁぁぁあああ!」冬真が死んだ。まるで全部夢だったみたいに、冬真の服の香りと血の匂いが私とねいちゃんを包んだ。その拍子に、私はその場に崩れ落ちた。


その後、夜まで病院で様々な話を聞かされた。即死だとか、運転手も亡くなったとか。私はその話を聞いている間、ずっと泣き続けていたねいちゃんを見て、自分自身も胸が苦しくなった。私のせいであの事故が起きたと思うと、身体の内側がすべて抜け落ちそうになってしまうほど、苦しい思いをしていた。

「…千花!」

自分の名前を呼ばれて、我に返った。ねいちゃんの目は、涙で赤く腫れ上がっていた。

「もう帰れる?1人で…」

「…大丈夫、帰れるよ」

帰る…?あ、もう門限を過ぎている。帰らなければ…?

「…そうだね、じゃあ…」

ねいちゃんは軽く手を振って歩き出した。その間、私は頭の中で冬真のことでいっぱいだった。周りに人がいないことに気づかず、目の前の景色を見ていなかった。

「…あれ…?」

こんな都会の中で、いつでも人はいるはずなのに、今私の周りには誰もいなかった。そんな中、私が立っていた近くに鳥居があった。

「こんな場所に鳥居があったっけ?…」

変わった場所に佇む鳥居は、私を呼んでいるような気がして、私は中に入ってみることにした。

「……」

中に入ると、そこにはただ広い空間が広がっていた。何も置かれてなく、人影もない。

「変な場所だな……」

戻ろうとすると、目の前に文字が突如現れた。そう、文字通り文字が現れた。

やあ。

「ひっ……!」

驚いた拍子に、私は尻もちをついてしまった。思ったよりも痛く、目を閉じると、今度は耳から脳に直接音が届いた。

ネガイはナニ?カナえてあげる!

脳が揺れるような感覚に襲われた。痛みではないそれに耐えられなくなった。

「あっ……!」

頭が処理をしていないことがわかる。しかし、まだまだ音は流れ続ける。

ネガイハ?ネガイハ?ネガイハ?ネガイハ?ネガイハ?

「う、うわっ!そ、そんなの……!」

「無い」と言おうとしたが、ふと、冬真の笑顔が頭に浮かんだ。

「と、冬真を返して欲しい!」

そう叫んだ瞬間、視界が暗くなった。

いいよ。その代わり……

もう意識を保てなくなる。霞む視界に最後に映った文字は、

キミのカンジョウをもらう

そして、足音が聞こえながら、私は意識を失った。

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