TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

〜11日目〜


 広々とした空間。セカイで、奏が私の為に作ってくれた曲を口ずさみながら、絵を描いていく。家だと弟がいて、中々こういう風にできないから、セカイというものは都合いい。


「あ、結構いい感じかも。でももっと立体感をつけて……構図を変えて……。いやあ、今日は描けるなあ」

「絵名って声はいいよね」

「うわぁ!?」


 足音も無しにいきなり話しかけてくるので、体が跳ねた。めちゃくちゃびっくりした。


「声はって何よ、もっといいところあるでしょ!」

「そうだね。声もいいよね、歌も」

「……どうせなら絵で褒めなさいよ」

「絵、ね……」


 まふゆは描いていたイラストを覗き込んできた。私も隠す気はなかったので、スケッチブックごとまふゆに渡す。


「……いいと思うよ」

「ほんとに?」

「うん。いつもとは違う雰囲気の絵。でも、なんだろう、違和感はないのに迫力がある」

「そうそう、ちょっと構図に挑戦してね。よかった、まふゆにそう言われたなら、安泰ね」

「これ、どうやって描いたの?」

「気に入ったの?」

「疑問かな?」


 まふゆが私の絵に興味を持ってくれたようで、ちょっと嬉しい。


「線がたくさん書いてある。絵に立体感がある。美術で二点透視図法とか少し習ったけど、それ?」

「ああ、そんな感じ。ふふーん、これはね〜」


 ちょっとした用語も交えつつ、まふゆに説明していく。大人しく私の説明を聞くあたり、優等生が垣間見えた気がした。


「私も描ける?」

「……やっぱり気に入ってるんじゃないの。まふゆのことだし、理論が理解できたんなら描けるんじゃない?」

「そっか。やっぱり、絵名は声がいいね」


 ここまできてまさかの声の話。ちょっとだけ拍子抜け。でも、私の絵は気に入ってもらえてそうだし、ちょっと嬉しい。


「ここまできて声?」

「うん。話が入ってきやすい。聞いてて不快じゃない、と思う」

「不快な声とかあるの?」

「あまりないけど、絵名はずっと聞いていられるってだけ」

「ふーん」


 謎に褒められてしまった。今日のまふゆはなんだか素直な気がする。いつも素直と言えば素直なんだけど。それなら、今日のまふゆは棘がないってことになるのかな。


「私も、まふゆの声嫌いじゃないから」

「どうしたの、急に」

「それはあんたよ、いきなり褒めてきて」

「思ってたことだから、伝えようかなって。丁度歌を聴いてて思ったから」


 む、それは私の歌を聴かれていた。ということに。


「な、なら早く言いなさいよ!」

「急にうるさい」

「ちょっと恥ずかしいじゃない!」

「セカイで歌ってるのが悪いんじゃない?」

「もう……」


 確かにそれは私が悪い。でも聴く方も悪い筈だ。

 ……まあいいか。絵を褒めてくれたし、ついでに声も褒めてくれたし、プラスマイナスゼロってことで。

100日後に付き合うまふえな

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

125

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚