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意味がわからず目を瞬かせる俺に、ゆらゆらと瞳を揺らめかせた雅輝は、ゆったりと口を開く。
「お互い仕事をしている間は、離ればなれになるでしょう? 今日は仕事をしている陽さんを見かけることができてラッキーって思えたんだけど、ハイヤーが俺の視界から消えた瞬間から、なんだか寂しくなってしまって。陽さんの全部をひとりじめしたくなっちゃったんです」
「そ、そうだったのか」
雅輝の告げた言葉の意味が、やっと理解できた。同じ立場にいたら、間違いなく俺も同じ気持ちになるだろう。だってコイツは、この世で一番俺が好きなヤツなんだから。
背けていた顔をもとに戻しながら、まじまじと俺を見つめる雅輝の顔面を鷲掴みにして、立っていた場所に移動させた。
「雅輝、あんまり見つめるな。そのうち俺の顔が、溶けてなくなるかもしれないぞ」
「しょうがないじゃないですか。ひとりじめしたいって考えたら、陽さんにすっごく逢いたくなった。両腕で抱きしめて、そのぬくもりを感じたくなりました。今朝まで一緒だったのに……。俺のエンプティランプ、午後から点灯しっぱなしなんですよ」
(出たよ、雅輝の直球。投げつけられる俺の身にもなってほしいくらいだ)
「雅輝のエンプティランプが消えたところで、渡すもの渡して俺は帰る」
「俺がこれを食べるところを、陽さんは見なくていいんですか? しあわせになれませんよ」
夜が遅いことと昨夜一緒にいたことを考え、さっさと帰る提案をしたというのに、雅輝が引き留めることを告げた。
「さっきのセリフで、俺のお腹は満たされてる。とってもしあわせだ」
言いながら半歩後ろに下がった途端に、雅輝の右手が俺の肩を掴む。思わず「ひっ!」と声をあげてしまった。
「陽さ~ん、どうして俺から逃げようとしてるんですか? せっかく俺のエンプティランプが消灯したのに、今の行動で半分くらい減ってしまったかも?」
「なっなんでだよ?」
「このまま帰すわけないでしょう。甘味で腹が満たされても、心までは満たされないんですからね」
したり笑いをした雅輝を見て、これ以上抵抗しても無駄だと悟り、素直に身を捧げた橋本。ふたりのラブメーターは満タンになったのでした。
愛でたし愛でたし♡
☆完結したのに、またお話が浮かんでしまいました。次回は恭介たちとゴーカート場にてダブルデートになります。お楽しみに!