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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

121 - 第四章 永遠の愛を、二人で EP.4「それは、不意なサプライズ」⑤

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2025年03月31日

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その後も、まだ番組は続いていたけれど、正直何にも覚えてはいなかった。


だって、まさかのテレビでの公開プロポーズだなんて……!


指輪を贈られた時に、いずれはきちんとするからとは言われていたけど、あんな形でとか……、貴仁さんてば、どれだけ私をドキドキさせたら〜……。


だんだんと込み上げてくる喜びに、両足をバタつかせる。


やぁーもう~私、プロポーズされちゃたー! どうしようもうーヒャアー、うれしすぎてっ!


喜びようがピークに達して、もんどり打って床に寝転ぶと、部屋の天井を振り仰ぎ、指輪の嵌まった左手をかざし見て、


「……貴仁さん、素敵なプロポーズをありがとう」


彼への心からのお礼を、人知れず口に出した──。


突然のプロポーズの感慨にふけっていると、携帯が不意の着信を知らせた。


誰だろう……もしかして、貴仁さんかな?


わくドキしつつ画面を覗くと、そこには”お父さん”と表示されていて、(ああー……、これは絶対に番組を見てたよね……)と、確信をした。


「もし……っ、」


「彩花!」


通話ボタンをタップして、「もしもし」も言い終わらない内に、スマホのスピーカーから大声で呼ばれた。


「……お父さん、声が大きいから」


これは相当テンパってるなと、少しいさめるつもりで、そう冷静に口にした。


「あっ、ああ悪い! だがおまえ、あれは……見たぞ!」


動揺のあまり、なんだか話が支離滅裂になっている電話の向こうの父に、苦笑いが隠せない。


「わかってるってば。私も見てたから。……貴仁さんに言われて」


最後に言い添えた一言に、


「……貴仁君に! やっぱりなのか!!」


父がまたも声を張り上げて、それこそ鼓膜がビリビリと震えそうだった。


「だから、お父さん……って」


苦笑を浮かべながら、なだめるように言う。


「ああ、いやそうか、悪いな。だがあれは、もしかして、プ……プロ、プロポー……ズ、なのか?」


あまりの慌てっぷりに、お父さんたらどれだけパニック状態でと思うも、それもきっと娘の私を気づかってくれているからだよねと感じると、胸が熱くもなった。


「うん、そう……。貴仁さんにね、今日の番組を見てほしいって言われていて。私もまさか公開プロポーズだとは思わなかったから、すごくびっくりしたんだけど」


そんな父を微笑ましく感じつつ、今まさに只中ただなかにある感情のままを、しめやかな思いで伝えた。


「そうか、とうとうプロポーズかー! やったな! 彩花っ!!」


するとたび、通話口でハウリングが起こって、


「だから、声が大きいんだってば〜」


いよいよこらえ切れなくなって、思わずふふっと笑いがこぼれた。


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