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夜のシェアハウスは夕飯終わりの賑やかさで満ちていた。
「え!これおいしそう明日のご飯これ作りません?」
のあがそう声をかけるとたっつんとシヴァがスマホを覗き込みいいねーと声をかける。
ソファーではじゃぱぱにひろ、もふがゲームしていてその近くではどぬくやなおきりがゲームの画面を見つめる。
えとはテーブルの方でお茶を飲みながら
楽しそうな輪を眺めていた。
明るくて、うるさくて、
家族みたいな時間。
「えとさんこれいる?」
ゆあんが袋菓子をひょいと差し出してくる。
その笑顔は自然で優しい。
「食べる〜」
えとが受け取ると、
ゆあんくんはまた軽く笑って、隣に腰を下ろす。
どこか距離の近さを感じさせるその空気に、
えとは何も疑問を持たなかった。
“いつものゆあんくん” だと思っているから。
「えとさんなにたべてんのー」
横からひょこっと、うりが顔を出してくる。
「ちょっといる?」
「いる」
えとにるんるんで話しかける様子を見て
ひろに「子どもかよ」とツッコまれていた。
みんなが笑う。
えともつられて笑った。
その光景を見ながら、
ゆあんはほんの一瞬だけ言葉を失う。
えとが楽しそうにする様子を
うりが見て嬉しそうにしてる。
その二人を、メンバーがからかう。
この“なんでもない幸せな光景”が、
ゆあんの胸を少しだけ苦しくした。
でも、
それを気づかれないように、
ゆあんはいつもより明るく見える笑顔を作る。
「うりりんさっきからずっとなんか食べてない?」
「ご飯食べた後はアイスとこれしか食べてない」
「食べてんじゃん」
なおきりのツッコミに、また笑いが起きた。
うりはふとえとのほうに視線を向けた。
その視線の先にゆあんがいる。
ゆあんはえとと話しながら、
どこかやさしいような顔をしていた。
胸の奥で
小さく何かがざわついた。
でもうり自身、その感覚が何なのかうまくわからない。
ゆあんとえとは仲がいい方で、特にリスナーさんからは人気な”ゆあえと”
こういう活動をしている上で人気なペアが出来るのも当たり前のこと。
しかしそれが自分とのペアではないことに少し満足いかない。
でも実際にえとと付き合っているのはうり。気にする必要なんてない。
はずなのに。
うりが考え込んでいると、
「よし!夜食作ろ!」
じゃぱぱが突然立ち上がり、
「いや今食べたばっかだろ!」と全員が総つっこみする。
その明るさに包まれて、
うりもえともゆあんも、
全員が笑い合う。
家族みたいで、 他愛なくて、
あたたかい夜。
でも、その笑い声の一番奥で
ほんの少しだけ違う色の想いが、
ゆっくりと積もっていた。
えとはまだ
気づくことなく。