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上鳴 雷は教室の端に立ち、静かに周囲を見渡していた。
入学試験の結果が貼り出され、周りは歓声をあげる。みんな男だと思っていた彼女が前に立つと、一瞬、教室が凍りついた。
「上鳴 雷、電気の……………妹。」
その言葉に、わずかに唇の端が上がる。普段は無表情の雷が、勝利を確信した瞬間だけ見せる、ほんの一瞬の笑みだった。
「零静電の静寂」
教室のドアが開くと、静寂が一瞬、ざわめきに変わった。
誰もが男だと思っていた、あの上鳴 雷がそこに立っていたからだ。
「上鳴 雷、電気の……………妹。」
自己紹介の言葉が途切れた瞬間、教室中の視線が彼に集中する。
短く刈り込まれた黄色い髪の毛先は黒く染まり、無愛想な表情に鋭い目つきが光る。
その姿は、まるで戦場に立つ少年のようだった。
雷自身は何も言わず、ゆっくりと視線を巡らせる。
周囲の騒ぎも、誰かの驚きも、すべて頭の中で整理されていく。
無表情のまま、しかしどこか落ち着いた雰囲気を漂わせて――
戦闘ではこの冷静さが、勝利への確信を生むのだろう。
そして、全員の注目を一身に受けながら、彼はわずかに口元を上げた。
戦いに勝つことが確信できた瞬間だけ、見せることのできる一瞬の笑み。
それだけで、教室の空気はさらに静まり返った。
教室を出ると、試験会場の廊下は緊張と熱気に包まれていた。
上鳴 雷は、無表情のまま足を運ぶ。ショートに整えられた黄色い髪の毛先には少しだけ黒が混ざっている。周囲のざわめきなど、まるで届かないかのように冷静だ。
「次は個性テスト。動きや応用力を見る。」
担当教師の声が響く中、受験者たちは互いに緊張した面持ちで並ぶ。
男だと思っていた雷が実は女の子だと知ったクラスメイトたちの視線が、後ろからちらりと刺さる。
雷は気にしない。
「零静電(ぜろせいでん)」の能力――狙い撃ち型の電気攻撃は、少人数相手に最も力を発揮する。
彼は個性を使う瞬間の一瞬だけ、戦闘者としての顔を見せる。
テスト開始の合図とともに、相手の位置を見極める。
動きは最小限。音もほとんど立てず、ただ狙いを定める。
「……零静電、発動」
掌から放たれた電流は、静かに、しかし正確にターゲットへ向かう。
相手が動く前に、もう結果は見えていた。
雷の目の奥で、わずかに光が走る。
無表情のまま、口元だけが一瞬、勝利を確信した笑みを浮かべた。
周囲は息を飲む。
この少年――いや、このイケメンは、冷静に勝利を重ねる。
試験会場の広い室内。壁際には障害物や的が設置され、受験者たちは緊張した面持ちで並ぶ。
雷は静かに立ち、ショートヘアがわずかに揺れるだけだ。周囲のざわめきも、誰かの小声も、耳に入ってこない。
「次、個性テスト開始。各自、少人数相手に戦闘を想定してください」
審査員の合図とともに、目の前に現れたのは、数名のダミー生徒。
雷の目は鋭くターゲットを定める。
零静電(ぜろせいでん)――狙い撃ち型の電気攻撃
彼の掌に静かに電流が宿る。
音はほとんどなく、まるで空気が裂けるような感覚だけが残る。
ターゲットが動く前に、雷の攻撃は完璧に計算され、正確に命中する。
「……次」
一人、また一人と倒れていくダミー相手に、雷の表情は変わらない。
ただ、戦いの中で目の奥に光が差す瞬間がある――
勝利を確信した、ほんの一瞬の笑みだけ。
「これが……零静電の実力か」
審査員の一人が小さく呟く。
周囲の受験者も息を飲む。
雷の冷静さと精密な個性の使い方は、誰にも真似できないレベルだった。
そして試験が終わる頃には、誰もが雷を注目していた。
無表情で静かに立つ、入試試験でトップレベルの実力を見せた少年――いや、少女の姿がそこにあった。