コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「神社、巡るの、好きなんだよね」
その言葉から僕達の物語が始まった。
「今日も神社巡ってく?」
僕と憂狐は放課後、バスや電車で神社へ行くのが日課だ。いつも違う神社に行っているが、ここら辺はもう全部行ったらしい。
「どこの神社行く?」
憂狐が言った。
「もうここら辺行ったし、とりあえず適当に歩いて神社探そ」
僕は提案をした。憂狐はわかったと言うように頷いた。
放課後、僕達はそこら辺を歩いたが、神社は見つからなかった。
「もう遅いし帰ろ」
憂狐が言った瞬間、憂狐の後ろに神社が出てきた。僕は一瞬何が何だか分からなかった。見間違えかと思って目を擦った。だがその神社は幻覚や見間違えでもなかった。僕が絶句をしていると憂狐が
「気味悪いし早く帰ろ」
神社で巫女が手招きをしているのが見えた。僕は吸い込まれる様に神社へ歩いて行った。憂狐は僕の手を掴んだが、僕は憂狐を引きずるようにして神社へ歩いた。憂狐は精一杯踏ん張ったが、僕の力には勝てなかった。神社に入った僕は憂狐の方をゆっくり息を呑んで見た。憂狐は尋常じゃないくらい怯えていた。よく見ると巫女の顔は潰れ、周りには魂のようなものが飛んでいた。
「ねぇ、早く出ようよ」
声を震わせながら憂狐が言った。憂狐は神社から出ようとしたが、謎の壁が現れ、出ることができなかった。
「ねぇ、あれ….」
僕は顔が潰れていたはずの巫女が大きく口を開けた所を指さした。巫女は大きく口を開けたまま僕達の所へ走って来た。僕達は神社の裏の方に逃げた。だが、そこにも目や口は縫われ、髪の毛が燃えた巫女がいた。僕達は巫女に挟み撃ちされそうな所を突然光が巫女達を包んだ。その時、憂狐は狐の形になって出てきた。僕は唖然としていたらいつの間にか病院にいた。お母さんが心配そうに
「大丈夫?体は痛くない?」
僕はなんのことか全く分からなかった。お母さんは僕が全く分からなさそうなのに気づいて、
「夜ご飯を食べてる時に突然痙攣しながら狐….狐…っていうものだから…」
僕は体のどこも悪くなかったのか、1度検査してから家に帰った。朝、朝ごはんを食べ終えた僕は、学校へ行く途中に山から降りてきた狐が目に入った。狐は静かにこちらを見つめている。