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・・・誰かが泣いていた。
『なんでこんなことするんだ!!』
──ごめんなさい。
『娘を、娘を返してぇ!!』
──ごめんなさい。
『神様なんかじゃねぇ!お前は邪神だ!!』
──ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
だって、これが█だから、█の仕事だから。
こうでもしないと貴方たちは堕落してしまう。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・
✵✵✵✵✵✵
パチッ
すまない先生は目を覚ます。起き上がり、今日も自分を確認した。すると、
ポロリと涙があふれる。
「・・・え・・・?え・・・???」
あの悲しい夢を見たせいなのか、█の気持ちを受け取ってしまったのか、どちらか分からない。けれど、とても悲しくて、辛くて、苦しい夢だった・・・
✵✵✵✵✵✵
ふと、すまない先生は学校から少し離れた森へと向かった。森の奥は花が咲き乱れている花畑が。
ここは、すまない先生の憩いの場だ。
数日前に見つけ、何故かここと同じような景色を“見たことがある”・・・気がした。
それ以来、良くここへ来ているのだ。
(・・・でもなんでだろう、なんか足りない・・・なんだ?)
何故かこの花畑には“何かが足りない”と思い始めていた。
それが何かは分からない。すると、
「ん?誰だ?」
ふと、声が聞こえ、顔を上げた。そこには、大きな木の幹に座っている少年が。
真っ白な白髪に、綺麗な水色、口元を覆い隠すような布を首に巻いていた。
──████!
ドクンッと何故か彼を見た途端、懐かしさと、辛さが同時に押し寄せてきた。
突然押し寄せてきた感情に困惑していると、
「おい、大丈夫か?」
その少年が木から降りてきた。そして、頬に触れる。
気がつくと、ボロボロと涙が零れていた。
「・・・あ、あれ・・・なん、で・・・」
拭っても拭っても、涙はあふれる。すると、少年はすまない先生の涙を拭いながら、聞く。
「もしかしてこの“依代”と知り合いなのか?」
“依代”がどういう意味か分からない、だが、
「ごめッ・・・わかんないっ・・・知らないッ・・・!」
涙が止まらない、ただ、悲しく、苦しくて、“安心して”・・・
そんなすまない先生を少年は優しく頭を撫でてくれた。
✵✵✵✵✵
「ごめんね?突然泣いて・・・」
「ううん、大丈夫だ」
と、木の上で2人話していた。
「あ、僕、すまない。すまない先生って呼ばれてるんだ」
「すまない・・・?・・・変だな、その名前、聞いた事ある気がする」
「そうなの?」
「あ、俺の名前は“ライト”」
「・・・“ライト”?」
その言葉を呟いた途端、ズキッと頭に痛みが走る。懐かしさを感じたが、やがて、消えていく。
「・・・まぁ、俺の名前ではないけどな」
「え?」
「・・・俺の正式名称は“人々に武器を教えるもの”人間に武器を与え、その作り方、使い方を教える“神様の作った道具”だ」
「えっ!?それって“過去の記憶を写す魔導書”みたいな・・・?」
すると、彼は苦笑いしながら答えた。
「いや、俺らはそれよりもかなり低い精度だから、そこまですごくないんだ」
と、ライトは苦笑いする。
「そうなんだ・・・?そういえば、さっき言ってた“依代”って?」
と、すまない先生は先程こぼした言葉について聞いた。
「あぁ、さっき言った通り、俺らは“過去を写す魔導書”より精度はかなり低い。だから、長く人の身は取れないんだ。だから、“依代”を使って長く人の身を取る。だが、依代にも相性ってのはあるんだが、この依代はとてもしっくりくるんだよ。体もだし、中身も、だから、ここ三百年はこの姿かな?」
「へぇ・・・」
と、すまない先生はそうこぼした。そして、しばらく話で盛り上がる。
初めて会ったはずなのに、この懐かしさにすまない先生は時間を忘れ、話していた。