テラーノベル
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すまない先生はまた、とある地へと降り立つ。
そこは、大昔、人とは違う種族が住んでいたとされる国。
だが、そこにはもう人もその種族もおらず、廃れていくのみ。
見上げると、蛇のような大きな建築物が絡み合い、口を開けていた。まるで、互いを食べようとしているような。
ここもたまたま見つけた。
とある遺跡の近くにあった古ぼけた像の口の中に降りると、苔が生えており、足を滑らせ、転がり落ちた。
そして、この地へとたどり着いた。
「・・・静かだな・・・」
そうすまない先生はこぼす。
最近は、エウリやすまないスクールメンバー、そして、最近友達になったライトとよく話し、毎日が賑やかだった。
たまに、あの静かさが恋しくなると言ったら、嘘では無いが。
・・・ライトも、実は所々記憶を失っているようだ。
誰かを止めたかった、止めなければならなかった。けれど、“トドメを刺すことが出来なかった”
だが、それが“誰”なのか、何故そんな事になったのかだけが頭から抜けているようだ。
(・・・記憶喪失になるの、流行ってんの?)
思わずそう思い、噴き出した。すると、
「こんな所で何をしているんだ。“すまない”!」
ふと、そう声が聞こえた。すると、振り向きながら、突然口が勝手に開いた
「“出たな!?”・・・えっ?」
突然出た言葉に思わず口を塞いだ。そして、声のした方へと顔を向けた。
そこには、シルクハットを被った少年。白と黒の服に、白いマフラーのような服装。
何故、初めて会ったはずの彼にあんな言葉が出たのかが分からない。すると、目の前の少年も、自分がこぼした言葉に首を傾げた。
「・・・何故、余は先程の言葉が?というか、何故余は貴様の名前を?」
「いや、それ僕が聞きたいんだけど・・・」
しばらく2人は無言になり、やがて、おかしくなり笑った。
「はじめまして、僕はすまない。すまない先生って言うんだ。よろしく!」
「あぁ、余はエックスだ。と言っても、これは真名では無いがな」
「お前もか」
「は?」
思わず出たすまないの言葉にエックスは首を傾げた。
✵✵✵✵✵✵
「ほぅ!貴様はライトの知り合いなのか!」
と、エックスはすまない先生の話にそう興味津々で聞いていた。
どうやら、彼もライトとの知り合いのようだ。
そして、今彼が取っている姿も“依代”だ。
「・・・ところで、君はなんでここに?てか、どうしてそんなボロボロなの?」
何故か目の前の彼は泥だらけで、まるで先程まで“戦った”かのような。すると、彼は首を傾げた。
「・・・わからん」
「は???」
「いや、本当にわからないのだ。何故余はこんなボロボロなのか、何故、ここへ来たのか・・・」
と、エックスは首を傾げた。それにすまない先生も同じように首を傾げた。
「・・・記憶喪失になるの流行ってんの?」
「初めて聞いたぞ、記憶喪失になるの流行ってるのかって言うやつ」
「僕も多分初めて言った」
ふと、すまない先生はエックスに聞いた。
「ところで、エックスもあれなの?神様に作られたナニカなの?」
すると、エックスは答えた。
「ん?余か?あぁ、余は“人々に戦いを教えるモノ”人が混沌の力に負けぬように戦い方を教えるために作られたモノだ。」
「へぇ、“人々に戦いを教えるモノ”“人々に武器を教えるモノ”。“2人”で人々を支えてたんだね」
そうすまない先生はこぼした。だが、
「“違う”」
そうエックスがこぼした。それにすまない先生はキョトンとする。
「・・・え?・・・あれ・・・なぜ・・・余はそんなことを・・・?・・・2人・・・いや、2人じゃない・・・2人だけではない・・・余と・・・ライトと・・・“もう1人”・・・“アイツ”は・・・人一倍優しいから・・・人一倍脆いから・・・余達が見守らないと・・・“アイツ”は・・・“彼女”は・・・壊れてしまう・・?」
突然支離滅裂に言葉をこぼすエックスに、すまない先生は困惑した。
「え、エックス?大丈夫?」
すまない先生は慌ててエックスを揺さぶる。すると、正気に戻ったのか、エックスはすまない先生を“視た”。先程、どこ見ていたのか分からなかったが、今はきちんと自分を見ている。
「・・・あ、あぁ・・・すまない・・・大丈夫だ・・・」
そうエックスは返した。だが、その顔色は大丈夫と言っていいほど、大丈夫そうな顔色では無かった。
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