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ペルセウスの艦内、深夜。
皆が寝静まった頃、小部屋の一室に小さな気配があった。
「っ、く……ぅ……」
右京は、薄い毛布の中で震えていた。身体の奥から這い上がってくる疼き、頭がぼんやりして、指先にまで熱が伝ってくる。
(僕、また……こんな時に……)
抑えようとしても、Ωの本能はどうしようもなく、溢れてしまう。
⸻
そのとき、扉が音もなく開いた。
「……やはり、苦しんでいたか」
静かに現れた龍水の声に、右京は目を見開く。
「り、龍水……っ、だめ……見ないで……」
「バカを言うな。こんなになっている貴様を放っておけるわけがない」
龍水はため息まじりに言いながら、ゆっくりと右京に近づいた。暗がりの中でも、彼の瞳はまっすぐで、優しかった。
⸻
「……今日は、もう我慢しなくていい。俺が……貴様を、救ってやる」
「……っ、だめだよ……ばれたら……誰かに……」
「誰にも気づかせない。音も、匂いも、全て俺だけのものだ。だから……任せろ」
右京はもう、力が入らない身体を龍水に預けるしかなかった。
優しく抱きしめられた瞬間、緊張がほどけて、ぽろりと涙が落ちる。
「……きみ、優しいなぁ……僕、また頼ってばっかりで……」
「それがどうした。右京、貴様が頼ってくれるのは、俺だけでいい」
⸻
静かに、二人は寄り添う。
龍水の指が、右京の熱を受け止めるように、少しずつ優しく触れていく。
強くはない。ただ、ひたすらに穏やかで、気遣うような熱。
右京の震えは、やがて甘い吐息へと変わり、声を押し殺すたび、龍水の名前が漏れる。
「……っ、龍水……っ」
「大丈夫だ。貴様のことは、俺が全部……包んでやる」
その夜、右京はようやく、発情の波を越えることができた。
【翌朝】
朝になり、艦橋に顔を出した右京は、すこし頬を赤らめながら席についた。
その様子を見た千空が、ニヤリとしながら言う。
「……昨日、二人で何してたんだよ。五知将共倒れって、シャレになんねぇぞ」
右京は顔を真っ赤にし、龍水を小突く。
「き、きみのせいだよっ……!」
「ハッハー。可愛すぎる反応だな、右京」